エコキュートとは?お湯を作る仕組みと購入前に知っておきたい事

「エコキュートとは?」の疑問に答えます。お湯を沸かす仕組み、追い焚き機能の仕組み、電気温水器の違いなどを解説。またエコキュートの購入方法、各販売メーカーの特徴、工事、寿命や故障・修理など、エコキュート導入前に知っておくべき知識が満載です。

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エコキュートとは?お湯を作る仕組みと購入前に知っておきたい事

目次

エコキュートとは?

2001年にコロナから世界で初めて発売されたエコキュートは、お風呂や台所にお湯を送る給湯器の仲間で、正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」といいます。2016年3月には累計出荷台数が500万台を突破し、順調に利用者を増やしています。

エコキュートを構成する部品と役割

エコキュートは貯湯タンクとヒートポンプユニットに分かれています。

貯湯タンク

ヒートポンプで作り出したお湯を貯めておくタンクです。お風呂や台所へお湯を送るための給湯配管やその他配管、配線関係も、貯湯タンクからつながっています。

貯湯タンクには角型、薄型があり、それぞれサイズが違います。

  • 角型……高さ2m以上×幅60cm程度×奥行き70cm程度
  • 薄型……高さ2m以上×幅1m程度×奥行き40cm程度

角型が一般的な貯湯タンクで、薄型は角型が置けない狭い場所に設置する際に使われます。

ヒートポンプユニット

大気の熱を取り込んで、お湯を沸かします。貯湯ユニットに比べるとサイズも小さいため、広い設置スペースは必要ありません。貯湯タンクと並べて設置されるのが一般的です。

ヒートポンプユニットでお湯を沸かす仕組みについては、次の項目をご覧ください。

エコキュートの仕組み

エコキュートは、ヒートポンプ技術を利用してお湯を沸かします。

  1. ヒートポンプユニットが大気中の熱を取り込みます。
  2. 取り込んだ熱を、「熱交換器」内の自然冷媒(二酸化炭素)が吸収します。
  3. 熱を取り込んだ自然冷媒(二酸化炭素)に圧縮機で圧力をかけ、高温にします。
  4. 「熱交換器」で高温になった二酸化炭素の熱を水に伝えてお湯を作ります。
  5. 「熱交換器」で作られたお湯は貯湯タンクに貯められます。なお、タンクに貯まるお湯の温度は約65~90度です。
  6. 熱を水に渡した自然冷媒(二酸化炭素)は、膨張弁を通って膨張し、再び熱交換器へ移って大気中の熱を取り込みます。

エコキュートは、上記の1~6番のサイクルを延々と繰り返し、お湯を作り出しては貯湯タンクに貯めていきます。大気中の熱を利用してお湯を作るエコキュートは、ガスを燃料に火力でお湯を沸かすガス給湯器よりも、環境に優しくエコな給湯機器です。

用語説明

  • 自然冷媒……自然界に存在する物質で、熱を伝達する性質があります。エコキュートで使用している二酸化炭素(CO2)は可燃性や毒性が無く、オゾン層も破壊しません。自然冷媒は二酸化炭素以外にもアンモニアやプロパンがありますが、可燃性で有害です。
  • 熱交換器……温度の高い流体(液体や気体)から低い流体へと効率的に熱エネルギーを移動させることで、加熱や冷却を行う機器です。エコキュートやエアコンのヒートポンプで使用されているほか、冷蔵庫や産業用ボイラーなどに使用されています。
  • 圧縮機……大気の熱を吸収した二酸化炭素を圧縮して高温にする部品です。コンプレッサーとも呼ばれます。
  • 膨張弁……自然冷媒(二酸化炭素)が外気から熱を取り込めるようにするために、減圧して外気温よりも低温にする部品です。

追い焚き機能の仕組み

エコキュートの追い焚きは、貯湯タンクの中に設置された小型の熱交換器によって行われています。ポンプで汲み上げられたお風呂のお湯は、この貯湯タンク内の熱交換器を通って温め直され、浴槽に戻されます。

なお、熱交換器を使っているため、エコキュートの追い焚きにはほとんど電気代がかかっていません。また、熱交換器内は密閉されていますので、追い焚きの為に汲み上げたお湯が、貯湯タンクに貯められているお湯と接触することもありませんので清潔です。

電気温水器との違いは?

エコキュートと電気温水器の違いは、お湯を沸かす仕組みです。ヒートポンプ技術でお湯を沸かすエコキュートに対して、電気温水器は貯湯タンク内に設置された電気ヒーターでお湯を沸かします。そのため、ヒーターのみの力でお湯を沸かす電気温水器は、大気の熱を利用するエコキュートに比べると、発熱効率で劣ってしまいます。

また、追い焚きの方法も異なります。熱交換器を使うエコキュートに対して、電気温水器は汲み上げたお湯を再び電気ヒーターで温めて戻す方法のため、追い焚きの度に電気代がかかってしまいます。ただ、最近の電気温水器は、エコキュートと同じく熱交換器を使用して追い焚きを行うタイプも登場しています。

エコキュートのお湯は飲めないって本当?

エコキュートの説明書や商品説明を見ると「お湯をそのまま飲用しない」などといった注意書きがあります。その理由として、

  • 長期間の使用によってタンク内に水あかが溜まっている場合がある。
  • 配管材料の劣化で水質が変化している可能性がある。

といった理由が挙げられています。

メーカーの説明に付け加えると、エコキュートは水道水をヒートポンプで沸騰させてタンクに貯めますが、その過程で水道水を消毒している塩素が蒸発してしまいます。そのため、水道法で定められている水質を確保できなくなるため、エコキュート内のお湯はそのまま飲むことが推奨されていません。

エコキュートのお湯を飲む場合は、煮沸してから

上記で説明した理由から、エコキュートを導入している場合、台所から出るお湯はそのまま料理や飲用することができませんので、ヤカンなどで一度煮沸してから使用するようにしましょう。

ただし、水道水についてはエコキュートとは関係なく水道管から供給されているものですので、そのまま飲むことができます。

エコキュートにするメリットあるの?

ガス給湯器や電気温水器からエコキュートに変えるメリットは沢山ありますが、同時にデメリットも存在します。

エコキュートにするメリット

  • オール電化にする場合は、光熱費を電力に一本化して、電気代がお得なオール電化用料金プランを選択することができる。
  • 災害時などに貯水タンクに貯まった水を生活用水として使用できる。ただし、そのまま飲水に使うことはできず、一度沸騰させる必要がある。

エコキュートにするデメリット

  • 停電になったとき、給湯が止まってしまうので、お風呂に入ることができない。また台所でお湯も使えない。
  • オール電化にした場合、電力プランによっては昼間の電気代が高くなってしまう。
  • ヒートポンプから出る低周波によって、隣家などと騒音トラブルになる場合がある。

などなど、エコキュートのメリット・デメリットはまだまだ存在します。

エコキュートのメリット・デメリットについて、より詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

エコキュートで電気代は安くなるの?

メリットでも紹介しましたが、エコキュートは電気料金の安い深夜にお湯を沸かすことによって、電気代を安く抑えることができます。ただし、電気代を抑えるために欠かせない設定や、オール電化時の料金プランなど、見直せばまだまだ安くできる場合があります。

エコキュートの光熱費(ランニングコスト)や導入コストについては「光熱費比較」の記事でも詳しく解説しています。

エコキュートの電気代を安く抑える方法については、こちらの記事をご覧ください。

エコキュートはどこで買えばいいの?

現在、エコキュートを販売しているのは以下のメーカーです。

  • パナソニック(30%)
  • 三菱電機(25%)
  • ダイキン工業(20%)
  • コロナ(15%)
  • その他(10%)
    ※()内はシェア(2014年リフォーム産業新聞調べ)
  • リフォーム産業新聞

パナソニックがシェア1位、次いで三菱電機、ダイキン、コロナ、日立などのその他メーカーと続いています。

次にエコキュートの特徴をメーカーごとに紹介していきます。

パナソニック製エコキュートの特徴

シェア第1位のパナソニック製エコキュートの特徴は省エネ性能。独自技術の「エコナビ」でふろ保温時に最大で約35%の省エネが可能です。他にも「リズムeシャワープラス」、「ぬくもりチャージ」、「温浴セレクト」など独自技術が多いのも特徴。またデザイン性にも定評があり、省エネ性とデザイン性を求める方にはオススメ。

三菱電機製エコキュートの特徴

シェア第2位の三菱電機製エコキュートの特徴はお風呂を快適にする独自機能。お風呂の栓を抜くだけで、洗浄効果に優れたマイクロバブルがお風呂の配管を掃除してくれる「バブルおそうじ」や、入浴中にマイクロバブルを発生させる「ホットあわー」など、毎日のお風呂が快適で楽しくなる機能が満載です。また「かしこいわき上げ制御」などで省エネにも貢献。

ダイキン製エコキュートの特徴

シェア第3位のダイキン製エコキュートの特徴は無駄を省いて家計にも環境にも優しい省エネ技術が満載なこと。長時間のふろ保温や、お湯の出しっぱなし等の無駄を検知すると、リモコン画面で知らせてくれる「エコっ確認」や、生活にスタイルに合った湯量を簡単に設定できる「かしこい湯量設定」などで無駄を少なくしながらお風呂に入ることができます。

コロナ製エコキュートの特徴

シェア第4位のコロナ製エコキュートの特徴は、エコキュートを世界で初めて発売したメーカーだけあり、常にエコキュート業界をリードしてきたいという気持ちが製品にもあらわれていることです。その結果としてグッドデザイン賞や省エネ大賞など、多くの受賞歴があり、消費者からの信頼も厚いメーカーです。

日立製エコキュートの特徴

日立製エコキュートの特徴は高い省エネ性能をもつ貯湯タンク「ウレタンク」。断熱性が高く密閉性にすぐれているため、お湯が冷めにくく経済的です。また浴室と台所で同時にお湯を使っても水圧が弱まらない「パラフルシャワー」も搭載。他メーカーに比べてシェアでは負けていますが、日立製エコキュートも性能では負けていません。

その他、エコキュートを購入するときのポイントについては、こちらの記事をご覧ください。


エコキュートは工事が必要?

エコキュートを購入したら、設置のためには工事が必要です。
工事は購入した店舗に以来する場合もありますし、商品だけ買って工事は別の業者へ依頼する場合もあります。

エコキュートの工事費用や、工事の内容について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。



エコキュートはどのくらい使えるの?

エコキュートの寿命はどのくらい?

エコキュートの寿命は、大体10~15年程度ですが、使用する条件などによっても変わります。

こちらの記事で、エコキュートの寿命を部品ごとに紹介していますので、詳しく知りたい方はご覧ください。

エコキュートは故障したら修理できるの?

エコキュートが故障してしまった場合、故障した部品や使用年数によって、修理できる場合と買い替える必要がある場合に分かれます。

エコキュートが故障したときの対応や修理費用については、こちらの記事で詳しく紹介しています。


エコキュートにすればオール電化になるの?

オール電化とは、給湯設備と調理器具、冷暖房をすべて電気で動く製品にすることをいいます。そのため、エコキュートのみを導入しても、調理器具がガスコンロであればオール電化ではありません。

オール電化住宅にするためには、エコキュート+IHクッキングヒーター+エアコンor床暖房(電気)を導入して、ガスを一切使わない状態にする必要があります。

エコキュートの床暖房ってなに?

エコキュートには床暖房機能を備えた多機能タイプも存在します。
これからエコキュートを導入して、床暖房も検討されている方にはオススメです。

エコキュート床暖房について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。