ガス給湯器からエコキュートへの交換工事費用と工事内容

ガス給湯器からエコキュートへ交換時の標準工事費を紹介。標準工事に含まれる工事内容(基礎工事や配管工事、電気工事など)や、標準工事費に開きがある理由も解説。追加工事(分電盤交換や幹線張替え工事)の費用目安と、工事が必要な条件も。

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ガス給湯器からエコキュートへの交換工事費用と工事内容

目次

必要な標準工事費用(ガス給湯器からエコキュートへ交換時)

ガス給湯器からエコキュートへの取り替え工事は、エコキュートの設置工事の中でも最も多いケースでしょう。

ガス給湯器からエコキュートへ交換時の標準工事費は10~17万円程度です。

インターネットでエコキュートの工事費を依頼する場合、標準工事費(基本工事費)として記載されている価格は、ほとんどの場合がこの「給湯器からエコキュートへ取り替える」場合の金額です。

なお、現在お使いの給湯設備が電気温水器やエコキュートの場合は、こちらの記事をご覧ください。


標準工事の内容(ガス給湯器からエコキュートへ交換時)

標準工事(基本工事)とは、エコキュートを設置する際に、どの家庭でも必要になる工事のことです。

工事業者によって多少の違いはありますが、多くの場合、標準工事(基本工事)には以下の工事が含まれます。

①既存設備の撤去処分

これまで使っていたガス給湯器を撤去・処分する作業です。

②基礎工事

基礎工事は、エコキュートを設置するためにコンクリートで土台を作る工事です。基礎工事には2種類あり、型枠を作って生コン(固まる前のコンクリート)を流し込んで作る「現場打ち」と呼ばれる方法と、「エコベース」という既製品のコンクリート土台を使用する方法です。

現場打ち

「現場打ち」は工事にかかる時間や費用はエコーベスより多く必要ですが、地盤が弱い場所でもしっかり固定できるように対処することができます。費用に余裕があれば、エコキュートの基礎工事は「現場打ち」がオススメです。

エコベース

「エコベース」は既製のコンクリート土台を置くだけですので、現場打ちに比べて作業が短時間で済みますが、地盤が弱い場所だとエコキュートが固定されず不安定になる場合があります。

なお、80cm四方×厚さ10cm程度のコンクリート製スペースがある場合は、基礎工事は必要ありません。

③エコキュート本体据付工事

エコキュート本体据付工事は、おおむね以下の手順で行われます。

  1. 貯湯タンク(エコキュートで使用するお湯を貯めるタンク)を搬入し、エコキュートを基礎工事で作ったコンクリート土台に設置していきます。
  2. まず建物の基礎部分にコア抜きと呼ばれる配管用の穴あけを行い、風呂・給湯・給水用の配管および、電源、リモコン用の配線を通します。
  3. 土台に固定用のアンカーボルトを打ち付け、貯湯タンクを水平になるように調整して設置します。
  4. 設置後はボルトで貯湯タンクの脚部分を土台にしっかりと固定し、エコキュート本体に電気配線と各種配管を繋げていきます。
  5. 配線を隠す脚部カバーを設置して、貯湯タンク部分の設置は完了です。
  6. 次にヒートポンプユニット(エコキュートで使用するお湯を作る機器)も設置します。
    ※基本的に貯湯タンクの近くに設置しますが、隣家との距離が近いなどエコキュートの騒音が気になる場合は、設置する向きを変えるなどすると良いでしょう。
  7. 最後にエコキュートの試運転を行い、本体据付工事は完了です。
    ※試運転は電気工事などすべて完了してからの場合もあります。

④配管工事

エコキュートの配管工事には、給水配管工事、追い焚き配管工事、ドレン排水配管工事などの種類があります。

給水配管工事の工事

水道管をエコキュートで使用できるように配管する工事です。給湯器やエコキュート、電気温水器から取り替える場合は、それまで使っていた配管を利用することもできます。ただし、これまでと設置する場所を変更する場合は、新たに配管工事が必要になるため、工事費が上がる場合があります。なお、工事業者によって異なりますが、水道管が冬場に凍るのを防ぐ保温工事も含まれている場合が多いです。

追い焚き配管工事の工事

追い焚き機能つきエコキュート(オート、フルオート)を設置する場合に必要となる配管工事です。給水配管と同様にガス給湯器などで使用していた配管をそのまま使用することもできますが、長期間使用した配管は湯垢などで汚れているため、新しく交換することをオススメします。

ドレン排水配管工事の工事

エコキュートのヒートポンプや貯湯タンクから出る排水を、排水口に流すために行う配管工事です。ドレン排水配管工事を行わないと、冬場にヒートポンプが凍結する原因になったりします。質の低い工事業者の場合、手抜きをしてドレン排水配管工事を行わない場合もありますので、注意が必要です。

なお、どの配管工事も、配管の距離が長くなると追加費用がかかる傾向にあります。

⑤電気工事

エコキュート設置時の電気工事には、エコキュート専用ブレーカー設置工事、エコキュート専用配線工事、分電盤交換工事、幹線張替え工事、電力会社申請代行などが含まれています。

エコキュート専用ブレーカー設置の工事

エコキュート用のブレーカーを設置します。分電盤に余裕がある場合は分電盤の横に設置するのが一般的ですが、余裕がない場合は分電盤を交換(増設)したり、直接電気メーターから電源をとる必要があります。

エコキュート専用配線工事の工事

エコキュート専用ブレーカーから、エコキュート本体までを繋ぐ配線工事です。価格はブレーカーとエコキュートの距離が近いほど安くなる傾向にあり、逆に距離が長いほど高くなってしまいます。

電力会社申請代行

エコキュートは深夜の安い電力でお湯を沸かすことがメリットのひとつですが、そのためには電力会社のとの契約を変更する必要があります。エコキュート設置業者は、電力会社に契約変更の申請を代行してくれます。しかし、有料ですので希望すれば自分で行うこともできます。

⑥リモコン設置工事

ガス給湯器用のリモコンを取り外し、エコキュート用の室内リモコンを設置します。

エコキュート標準工事費に差がある理由

ガス給湯器からエコキュートへ交換する場合のエコキュート標準工事費は10~17万円で、設置業者により最大7万円の開きがあります。これには以下の理由が考えられます。

標準工事費が安い理由

  • 基礎工事にてエコベースを使用している。
  • 基礎工事を標準工事に含まず、追加工事にしている。
  • 配管工事にて、ガス給湯器の既設配管の使用を前提にしている。

標準工事費が高い理由

  • 工事を下請け業者に外注している。
  • 基礎工事をエコベースを使用せず現場打ちしている。
  • 配管工事にて、新規配管への取り替えを前提にしている。

ここで注意しないといけないのは、標準工事費が高い理由であっても、基礎工事を「現場打ち」にしていたり、配管工事で新規配管の使用を前提にしている場合は、必ずしもマイナス要素であるとは言えないということです。単純に工事費が安いか高いかだけでなく、依頼を検討しているエコキュート設置業者の標準工事費が、本当に内容と見合っているか見極めることが重要です。

追加工事の内容と費用(ガス給湯器からエコキュートへ交換時)

エコキュート設置時の追加工事は、標準工事以外に必要となる工事のことで、標準工事に追加で工事費用がかかります。主にエコキュートと浴槽が遠い場合や地盤がゆるい場所での設置、幹線張替えが必要な場合や分電盤の交換が必要な場合などは、追加工事での対応になります。

配管延長工事

エコキュートと風呂、給湯、給水を繋ぐ配管を延長する工事です。

追加工事が必要なケース
ガス給湯器の既設配管を利用する場合で、現在ご使用のガス給湯器からエコキュートまでの距離が5m以上離れている場合は、配管延長工事が必要です。
※5mは目安です。工事業者によって変わります。

工事費目安:1,080~2,000円/1m毎

配線延長工事

エコキュート用ブレーカーからエコキュート本体に繋ぐまでの配線の長さを延長する工事です。

追加工事が必要なケース
エコキュート用ブレーカーとエコキュート本体の距離が5m以上ある場合は、配線延長工事が必要です。
※5mは目安です。工事業者によって変わります。

工事費目安:1,080~2,000円/1m毎

新規風呂配管工事

エコキュートと風呂を繋ぐ配管を、ガス給湯器の既設配管を使わずに新規で設置したい場合に必要な工事です。

追加工事が必要なケース
ガス給湯器を10年近く使用している場合は、風呂用配管の内部が汚れている場合があります。気になる場合は交換をオススメします。

工事費目安:12,000~28,500円/5mまで(往復)

幹線張替え工事

幹線とは、電線を屋内に引き込んでいる部分から分電盤までの間を繋いでいるケーブルのことです。

追加工事が必要なケース
幹線の張替えは、幹線が200Vの配線を引き込んでいない場合や、200Vの配線が細い場合などに必要になります。

工事費目安:21,600~54,000円

分電盤交換工事

分電盤とは各種ブレーカーを収容している箱のことです。分電盤交換工事とは、より大きな電力容量を使用できるようにするするために、分電盤を交換する工事です。

追加工事が必要なケース
エコキュートは200V機器なので、100Vしか対応していない分電盤の場合は交換の必要があります。また、分電盤で使用できる電力容量は決まっており、エコキュート設置の際に容量に余裕がない場合は交換の必要があります。

工事費目安:35,000~60,000円
※分電盤の回路数が多くなるほど、工事代金は高額になります。

風呂アダプター工事

給湯専用の給湯器を使用していた場合で、浴槽や外壁に穴をあけて、追い焚き用の循環口を設置します。なお外壁に穴をあける場合は、工事費が高くなります。

追加工事が必要なケース
追い焚き機能つきのエコキュートを設置する場合に必要になる工事です

工事費目安(交換のみ):6,480~7,800円
工事費目安(穴あけ含む):10,800~15,000円

転倒防止アングル設置

エコキュート本体(貯湯タンク)の転倒を防止するために、壁とエコキュート本体を固定する工事です。

追加工事が必要なケース
地盤が緩かったり、地震等での転倒の恐れがある場合、転倒防止アングルを設置したほうが安心です。

工事費目安:15,400~

凍結防止ヒーター取付工事

配管の凍結防止のために、凍結防止ヒーターを配管に巻きつけます。

追加工事が必要なケース
主に冬場に配管が凍結するおそれがある寒冷地域では、凍結防止ヒーターの取付が必要になります。

工事費目安:6,000~22,000円

その他、必要となる可能性がある追加工事例

  • 軟弱地盤や狭小地・傾斜地の基礎工事
  • コンセントの増設工事
  • ユニック等での特殊搬入
  • 主開閉器契約への申請