カビ臭いエアコンの掃除方法や防止策。咳や病気の原因にも
目次
カビ以外のエアコン冷房・暖房の悪臭については、以下の記事で原因や対策を紹介しています。 エアコンの冷房暖房が臭いときの応急処置。原因はホコリと水?
エアコンがカビ臭い原因
エアコンがカビ臭い原因には、エアコン内部の「フィルター」や「熱交換器(冷却フィン)」からカビが生えていることが考えられます。ここでは、エアコン内部の部品にカビが生えてしまう原因について解説します。
最もカビが生えやすいのはフィルター
エアコンの中でもっともカビが生えやすいのはフィルターです。なぜかというと、フィルターにはエアコンが吸い込んだ空気に含まれるホコリやゴミを除去する役割があるからです。フィルターがあるおかげで、エアコンの内部にはホコリやゴミがあまり行かないようになっています。
フィルターはその役割上、エアコンを使えば使うほどホコリが溜まっていきます。たまったホコリにはカビの胞子が含まれており、水分があると繁殖してカビが生えてしまいます。カビを繁殖させる水分には、部屋の湿気や冷房後に熱交換器(冷却フィン)から発生する結露水(水蒸気)などがあります。
これらの理由で、フィルターはエアコンの中でも最もカビが生えやすい部品になっているのです。
エアコン内部の熱交換器のカビにも注意
エアコンの中でカビが生えやすい部品には、空気を冷やしたり暖めたりする役割のある熱交換器(冷却フィン)も挙げられます。
熱交換器(冷却フィン)の周りには、空気を冷やしたり暖めたりする際の温度変化により結露水(水蒸気)が発生しやすいのですが、その結露水にフィルターで防ぎきれなかった細かいホコリやゴミが付着し、汚れとして蓄積してしまいます。そして、熱交換器に蓄積したホコリなどに含まれるカビの胞子が、湿気や結露水などの水分によって繁殖してしまうのです。
また、熱交換器(冷却フィン)に生えるカビが厄介なのは、掃除することが難しい点です。スプレーなどを使えば、素人でもなんとか掃除は行えますが、完全に綺麗にすることは難しく、スプレーの噴射位置を間違えると故障の原因にもなってしまうので注意が必要です。
エアコンのカビで病気になる?
エアコンのカビは、放っておくと病気になってしまうこともありますので、あなどってはいけません。ここでは、エアコンのカビが原因で起こる病気について解説していきます。
エアコンのカビは肺炎などの病気に繋がる
カビは専門用語では「真菌」と言い、現在わかっているだけでも世界中で7万種類以上も存在しています。「真菌」の中にはキノコや酵母も含まれ、日本酒やチーズなど、私たちの生活の約にたっているものもありますが、エアコンの中に繁殖するカビはアレルギー性鼻炎や夏型過敏性肺炎などの病気の原因となってしまいます。
エアコン内のカビが原因でかかる病気
- 夏型過敏性肺炎
病名のとおり夏場(6月~10月頃)に多い肺炎で、エアコン内のカビが主な原因となります。主な症状には、乾いた咳や息苦しさなどが挙げられます。夏風邪と思い込む人が多く、重症になってから病院へ行くケースもあります。 - 慢性肺アスペルギルス症
湿った咳や痰(たん)が続くことが特徴で、重症になると血が混じった痰が出るようになり、最悪の場合入院が必要となるケースも存在します。 - アレルギー性鼻炎
くしゃみや鼻水、鼻づまりなどが主な症状です。カビの他、花粉やホコリなどの原因でも発生します。
エアコンから出るカビの種類
夏場のエアコンで繁殖しやすいカビには、「トリコスポロン・アサヒ」と「アスペルギルス・フミガーツス」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
トリコスポロン・アサヒ
「トリコスポロン・アサヒ」は高温多湿を好むカビで、「夏型過敏性肺炎」の原因として知られています。湿気が多く築年数が古い木造住宅などで繁殖しやすいのが特徴で、エアコンの中だけでなく、雨漏りなどで濡れたことがある壁紙の裏などにも繁殖しやすいのが特徴です。
アスペルギルス・フミガーツス
「アスペルギルス・フミガーツス」は、エアコンの中で繁殖しやすいカビで、吸い込んで肺に入ると「慢性肺アスペルギルス症」の原因にもなります。近年アスペルギルス・フミガーツスを原因とする「慢性肺アスペルギルス症」などの病気が増加傾向にありますが、治療法は確率されているため、早期に適切な治療を行うことが重要です。
すぐできるカビ臭・防カビ対策
エアコン内部のカビを完全に取り除くには、エアコンのフィルターや熱交換器の掃除が必要となりますが、手間や時間がかかってしまいます。ここでは、カビ臭いエアコンをすぐなんとかしたい方向けの対処方法をご紹介していきます。
エアコンを運転開始後、10分ほど窓を開ける
エアコンの運転開始直後は、エアコン内部に溜まっているカビの胞子が一斉に吹き出します。そのため、エアコンの運転を開始してから10分ほど窓を開けることで、吹き出したカビの胞子が外に出て、室内がガビ臭くなるのを防ぐことができます。
「内部乾燥モード」を利用する
エアコンの風がカビ臭い理由には熱交換器(冷却フィン)から発生する「結露水」が大きく関わっています。結露水により、エアコン内部のホコリが湿った状態になることで、カビが繁殖しやすくなり、カビ臭いの原因となってしまうのです。
一番良い応急処置はエアコン内部の水気を取ることです。エアコン内部の水気は、「内部乾燥モード」や「内部クリーンモード」などを使用することで、効率的に乾かして脱臭することができます。なお、「内部乾燥モード」は三菱電機エアコンの機能になりますが、他メーカーにも内部を乾燥させることを目的としたモードが搭載されているはずなので、詳しくは説明書をご覧ください。
冷房使用後30分~2時間程度の「送風運転」も効果的!
「内部乾燥モード」などの機能がついていないエアコンの場合は、冷房使用後(結露発生後)に30分~2時間程度「送風運転」を行うことで、冷房で発生した結露を乾燥させてカビの繁殖を防ぐことができます。
カビを防止するならエアコン掃除や買い替え!
カビ臭いエアコンは、カビが生える原因となっているエアコン内部の「フィルター」や「熱交換器(冷却フィン)」を掃除する必要があります。ここでは、フィルターやエアコン吹き出し口のカビ掃除について解説していきます。
カビだらけのフィルターを掃除する方法
カビだらけのエアコンフィルターを掃除するには、まず必要な道具を用意する必要があります。
エアコンのフィルター掃除に必要な道具
エアコンやクーラーのフィルターを掃除するためには、以下の道具を用意してください。
- 毛が柔らかいブラシ(古い歯ブラシでもOK)
- 掃除機
- 重曹や台所用洗剤
- 新聞紙
- 汚れてもいいタオル
フィルター掃除のやり方
フィルター掃除を自分で行う場合は、以下の手順に参考にしてください。
- エアコンの電源を抜いておきます。
- エアコン両端についているボタンを押します。
- エアコンの前面パネルを、持ち上げるように開きます。
- フィルターのつまみを持ち、手前に引っ張ってフィルターを引き出します。
- フィルターが左右で分かれている場合、両方とも引き出します。
- 表面(つまみがある方)→裏面の順に掃除機をかけてホコリを除去します。
- 裏目から表面にむけてシャワーをかけ、汚れを洗い流します。
- 柔らかいブラシや歯ブラシで、汚れが残っている箇所を優しくこすって洗います。
- タバコのヤニや油などで汚れがベタついているときは、少量の台所用洗剤または重曹を溶かしたぬるま湯にしばらく浸けて、汚れを落ちやすくします。
- 汚れが落ちたら、綺麗なタオルで軽く拭きます。
- 新聞紙の上にフィルターを起き、完全に乾くまで陰干し(直射日光が当たらない風通しが良い場所に干すこと)を行ってください。
- フィルターが完全に乾いたら、再度エアコンに取り付けます。このとき、上下を間違えないように注意してください。
- フィルターをエアコンに取り付けたら、前面パネルを閉じます。
パナソニック「カビストッパー」もカビ予防に効果的!
フィルターを乾かして取り付けるとき、一緒にパナソニック「カビストッパー」を取り付けることで、”わさびの防カビ効果”でフィルターのカビを防止する効果が期待できます。使い方は、商品袋を開けると入っているアルミ製袋入りの「わさび防カビパック」に、マジックテープを取り付けてフィルターに装着するだけです。詳しい使用方法などは、商品に付属の取扱説明書をご覧ください。
なお、パナソニック製ですが、全メーカーのエアコンに使用できます。また、交換期間の目安は1年なので、1年毎にフィルター掃除をかねてカビストッパーも交換することをオススメします。 パナソニック カビストッパー 全メーカー製エアコン対応!
エアコン吹き出し口のカビ掃除はエタノール
エアコンの風向きを調節したりする吹き出し口(ルーバー)も、カビが発生しやすいポイントになります。適切な方法で掃除を行えば、フィルターよりもお手入れは簡単ですので、ぜひ試してみてください。
吹き出し口(ルーバー)掃除に必要な道具
エアコンの吹き出し口(ルーバー)を掃除するためには、以下の道具を用意してください。
- 消毒用エタノール
- 霧吹き(100円ショップなどでも売っています)
- ティッシュなど
なお、エタノールはあまり聞き慣れないかもしれませんが、エタノールもアルコールの一種で、アルコール濃度により用途が異なります。”消毒用アルコール”は、アルコール濃度が80%前後のエタノールのことを指し、雑菌などの消毒効果に優れています。消毒用アルコールは、薬局の他、インターネットでも購入することができます。
エアコン吹き出し口(ルーバー)のカビ掃除に!
消毒用エタノール
吹き出し口(ルーバー)掃除のやり方
吹き出し口(ルーバー)の掃除を自分で行う場合は、以下の手順に参考にしてください。
- エアコンの電源を抜いておきます。
- エアコンの電源OFF時は吹き出し口(ルーバー)が閉じているため、手でゆっくりと開きます。(このとき、あまり力を入れすぎるとルーバーが折れてしまう場合があるので、慎重に行いましょう)
- 吹き出し口(ルーバー)が開いたら、「消毒用エタノール」を軽く吹きかけます。
- ティッシュなどで「消毒用エタノール」を吹きかけた部分を拭いていきます。このとき、ティッシュにカビが移ったら、どんどん新しいティッシュと入れ替えるようにしてください。カビだらけのティッシュが綺麗な部分に触れると、カビが再び発生する原因になります。
- 吹き出し口(ルーバー)が十分に綺麗になったら、電源を入れて掃除完了です。
「カビキラー」は故障の原因に?!
「カビの除去ならカビキラーが最適なんじゃない?」と思ってしまうかもしれませんが、カビキラーはエアコンの故障に繋がるため、絶対に使用しないでください。
その理由は、カビキラーはアルカリ性のため、エアコンのアルミ部分にかかると腐食させてしまうためです。そのため、エアコン吹き出し口(ルーバー)はもちろん、エアコン内部のフィルターや熱交換器(冷却フィン)に吹きかけるとエアコンの故障につながるため、絶対に吹きかけてはいけません。
なお、カビが生えやすい熱交換器(冷却フィン)も掃除することは可能ですが、エアコン洗浄スプレーを使用するなどより難しい手順が必要となります。
熱交換器(冷却フィン)の掃除方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
自分でできるエアコン掃除の仕方。効果的なスプレーのやり方も
23,091view徹底的にカビを防止するならエアコン掃除業者に依頼
業者に頼まず自分だけでも、エアコン洗浄スプレーを使用して、熱交換器(冷却フィン)のカビやホコリをある程度除去することは可能ですが、完全に綺麗にすることは難しいです。また、洗浄スプレーの液がエアコンの内部に残りやすく、残った液から再びカビが繁殖してしまうこともあります。
エアコンに溜まったカビや汚れを徹底的に綺麗にしたいのであれば、エアコン掃除業者へ依頼へ依頼するのがオススメです。
エアコン掃除業者は、自分で掃除をする場合に比べて、
- エアコンを分解して内部まで掃除してくれる
- 熱交換器も高圧洗浄するので、薬剤がエアコン内部に残る心配がなく、カビが繁殖しにくい
- 故障や事故に繋がらないようにしっかり養生してくれる
- 自分で掃除するよりも短時間で手間もかからない
- 防カビ用のコーティングなどを施してくれる(オプションの場合も)
などのメリットが存在します。
おすすめのエアコン掃除業者の紹介や、依頼する時の注意点などについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
プロが掃除するエアコンクリーニングおすすめ業者の比較と口コミ
60,297viewエアコンの買い替えも検討
エアコン内部のカビを除去するにはエアコンクリーニングが効果的ですが、あまり経済的ではないかもしれません。
業者に頼むと最低でも1回1万円は必要
エアコンに溜まったカビやホコリを除去するのが最も効果的ですが、自分で掃除をするのは手間がかかりますし、掃除業者に依頼した場合でも1万円程度の費用がかかってしまいます。しかも、エアコンクリーニングは年1回の頻度で行うことが推奨されますので、毎年1万円程度かかってしまうことになります。
エアコンクリーニングに毎年1万円程度かけるなら、新しいエアコンへ買い替えてしまったほうが、確実にカビの悪臭や病気のリスクから開放されるだけでなく、経済的かもしれません。
カビの防止には自動お掃除付きエアコン
エアコン内部でカビが繁殖するのををできるだけ防ぐためには、「自動お掃除機能」つきのエアコンがオススメです。エアコンの自動掃除機能は、フィルターに溜まったホコリやゴミを自動で除去してくれる機能で、お掃除の手間が省けるだけでなく、カビの発生を抑える効果も期待できます。
三菱重工 ルームエアコン 6畳用
ビーバーエアコン SRK22RM
参考価格:49,980円(税込)~(2019年2月8日時点)
また、最近では熱交換器(冷却フィン)のホコリを自動で除去してくれる「凍結洗浄」を搭載したエアコンも発売されています。凍結洗浄は2018年から日立エアコンに搭載された新機能で、熱交換器を冷却して空気中の水分を凍結させ霜にしたあと、一気に解凍して熱交換器の汚れを一緒に洗い流すという機能です。これにより、従来のエアコンではスプレーでしか掃除ができなかった熱交換器を、簡単にお掃除することができます。
日立 ルームエアコン・クーラー 6畳用
白くまくん RAS-G22H
参考価格:64,584円~(2019年2月8日時点)
格安エアコンならカビ対策が重要!
6畳用エアコンであれば、最新機種でも工事費を含めて5万円以下で購入できる機種も存在します。こういった格安エアコンへ買い替えるのも良いですが、冷房使用後(結露発生後)に30分~2時間程度「送風運転」を行ったり、「定期的なフィルター掃除」をするなど、普段から自分でできるカビ防止対策を行うことが重要です。適切なカビ防止対策をしないと、結局またカビが生えてしまうことになります。
おすすめ基本工事費込みセットエアコン!
参考価格:52,100円(税込)~(2019年2月8日時点)
また、以下の記事では「損をしないためのエアコンの選び方」や、「6畳用エアコンのおすすめ人気ランキング」を紹介しています。
エアコンの選び方。サイズや価格・メーカーで選ぶ方法 6畳用エアコンおすすめ人気ランキング