オール電化とガスの光熱費どっちがお得か使用料金を徹底比較
目次
比較の前にオール電化とガスをおさらい
オール電化とは?
オール電化とは給湯設備と調理器具、冷暖房をすべて電気で動く製品にして、ガスをまったく使用しない住宅のことをいいます。設置する設備の例としては「エコキュート+IHクッキングヒーター+エアコンor床暖房(電気)」などです。
都市ガスとLPガス(プロパンガス)の違い
家庭に供給されているガスには、都市ガスとLPガス(プロパンガス)の2種類があります。
都市ガス
天然ガス(メタン)が主成分で、地中に張り巡らされたガス管を通して各家庭に供給されています。またLPガスよりも料金が安いことが多いです。
LPガス
プロパンが主成分で、プロパンガスとも呼ばれています。主に都市ガス用のガス管が整備されていない郊外や地方都市の家庭に供給されています。また都市ガスよりも料金が料金が高い場合が多いです。
オール電化住宅と都市ガス、プロパンガス住宅の光熱費を比較
1kWhあたりのエネルギーコストを比較
- オール電化(昼)の1kWhあたりのエネルギーコスト:25.33円
- オール電化(夜)の1kWhあたりのエネルギーコスト:17.46円
- 都市ガスの1kWhあたりのエネルギーコスト:10.00円
- LPガス(プロパンガス)の1kWhあたりのエネルギーコスト:17.59円
※オール電化の電気料金は東京電力「スマートライフプラン」契約時の場合で算出しています。
※都市ガスの1kWhあたりのコストは、東京ガスの一般契約で1m3当たりの単価128円を元に算出してします。
※※プロパンガスの1kWhあたりのコストは、関東地方の1m3当たりの平均単価491円を元に算出してします。
1kWhとは?
1kWhは1kW(1000W)の家電を1時間使用したときの消費電力量です。kWhは「キロワットアワー」または「キロワット時」と読み、消費電力(kW)×時間(h)で導くことができます。
例)1000Wの電子レンジを1時間使用した場合:1kW×1h=1kWh
世帯人数別に「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコストをシミュレーション比較
シミュレーション全体の前提条件
- オール電化の電気料金は、東京電力「スマートライフプラン 2kW」契約時の場合で算出しています。
- オール電化の電気料金は、電気使用率の割合を「昼4割:夜6割」として算出しています。
- ガス併用時の電気料金は、東京電力「従量電灯B 30A」契約時の場合で算出しています。
- 都市ガスの料金は、東京ガスの一般契約を想定して算出しています。
- プロパンガスの料金は、1m3当たりの単価を関東地方平均の491円として算出してします。
- オール電化の電気使用量は、ガス併用時の電気使用量に、ガス使用量をkWh当たりに変換し、合算した値を使用しています。
- 各エネルギー使用量は、年間を通じた平均値を使用しています。
3人家族の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
お子様が一人のご家庭など、3人家族でのエネルギーコストをシミュレーションで比較します。
1ヶ月のエネルギー使用量
- 3人家族の月間電気使用量(オール電化時):785kWh
- 3人家族の月間電気使用量(ガス併用時):376kWh
- 3人家族の月間ガス使用量(都市ガス):32m3
- 3人家族の月間ガス使用量(LPガス):13.7m3
1ヶ月分の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
- オール電化……16,459円(電気代:15,559円+基本料金:900円)
- 都市ガス+電気……17,270円(都市ガス代:4,096円+ガス基本料金:1,036円+電気代:11,296円+電気基本料金:842円)
- LPガス+電気……20,471円(LPガス代:6,713円+ガス基本料金:1,620円+電気代:11,296円+電気基本料金:842円)
※シミュレーション結果はあくまで目安です。使用する電気・ガス量やライフスタイルにより、エネルギーコストは異なります。
4人家族の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
お子様が二人のポピュラーなご家庭でのエネルギーコストをシミュレーションで比較します。
1ヶ月のエネルギー使用量
- 4人家族の月間電気使用量(オール電化時):906kWh
- 4人家族の月間電気使用量(ガス併用時):394kWh
- 4人家族の月間ガス使用量(都市ガス):40m3
- 4人家族の月間ガス使用量(LPガス):20m3
1ヶ月分の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
- オール電化……18,857円(電気代:17,957円+基本料金:900円)
- 都市ガス+電気……18,841円(都市ガス代:5,120円+ガス基本料金:1,036円+電気代:11,843円+電気基本料金:842円)
- LPガス+電気……24,105円(LPガス代:9,800円+ガス基本料金:1,620円+電気代:11,843円+電気基本料金:842円)
※シミュレーション結果はあくまで目安です。使用する電気・ガス量やライフスタイルにより、エネルギーコストは異なります。
5人家族の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
お子様が三人、お子様一人+祖父母世帯など、大人数のご家庭でのエネルギーコストをシミュレーションで比較します。
1ヶ月のエネルギー使用量
- 5人家族の月間電気使用量(オール電化時):1,096kWh
- 5人家族の月間電気使用量(ガス併用時):456kWh
- 5人家族の月間ガス使用量(都市ガス):50m3
- 5人家族の月間ガス使用量(LPガス):25m3
2人家族の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
定年退職後の夫婦、子供の居ない夫婦など、少人数のご家庭でのエネルギーコストをシミュレーションで比較します。
1ヶ月のエネルギー使用量
- 2人家族の月間電気使用量(オール電化時):557kWh
- 2人家族の月間電気使用量(ガス併用時):325kWh
- 2人家族の月間ガス使用量(都市ガス):20m3
- 2人家族の月間ガス使用量(LPガス):9.2m3
1ヶ月分の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
- オール電化……11,940円(電気代:11,040円+基本料金:900円)
- 都市ガス+電気……14,190円(都市ガス代:2,560円+ガス基本料金:745円+電気代:9,763円+電気基本料金:842円)
- LPガス+電気……16,733円(LPガス代:4,508円+ガス基本料金:1,620円+電気代:9,763円+電気基本料金:842円)
※シミュレーション結果はあくまで目安です。使用する電気・ガス量やライフスタイルにより、エネルギーコストは異なります。
単身世帯の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
一人暮らし世帯でのエネルギーコストをシミュレーションで比較します。
1ヶ月のエネルギー使用量
- 単身世帯の月間電気使用量(オール電化時):344kWh
- 単身世帯の月間電気使用量(ガス併用時):215kWh
- 単身世帯の月間ガス使用量(都市ガス):10m3
- 単身世帯の月間ガス使用量(LPガス):5m3
1ヶ月分の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
- オール電化……7,718円(電気代:6,818円+基本料金:900円)
- 都市ガス+電気……8,606円(都市ガス代:1,420円+ガス基本料金:745円+電気代:5,599円+電気基本料金:842円)
- LPガス+電気……10,514円(LPガス代:2,453円+基本料金:1,620円+電気代:5,599円+電気基本料金:842円)
※シミュレーション結果はあくまで目安です。使用する電気・ガス量やライフスタイルにより、エネルギーコストは異なります。
1ヶ月分の「オール電化」と「ガス+電気」のエネルギーコスト比較
- オール電化……22,623円(電気代:21,723円+基本料金:900円)
- 都市ガス+電気……21,976円(都市ガス代:6,400円+ガス基本料金:1,036円+電気代:13,698円+電気基本料金:842円)
- LPガス+電気……28,410円(LPガス代:12,250円+ガス基本料金:1,620円+電気代:13,698円+電気基本料金:842円)
※シミュレーション結果はあくまで目安です。使用する電気・ガス量やライフスタイルにより、エネルギーコストは異なります。
都市ガスとLPガスで使用量が変わるのはなぜ?
都市ガスとLPガスで使用量が変わる理由として、1m3あたりの熱量(Kcal)の違いがあります。
- 都市ガス:約11,000Kcal
- LPガス:約24,000Kcal
熱量が大きいほど、少ないエネルギーでお湯を沸かしたり、料理をすることができます。都市ガスとLPガスで使用量が異なるのはそのためです。
電気とガスを機器の導入コストで比較
毎月の電気代、ガス代のほかに、電気とガスの比較で忘れてはいけないのは機器の導入にかかる費用です。
ここでは、オール電化とガスそれぞれの導入費用を比較していきます。
オール電化に必要な機器の導入費用
オール電化の導入に必要な機器の合計額は295,000円~1,065,000円程度(保証費含まず)です。各機器の導入額は以下の通りです。
調理器具:IHクッキングヒーター……3~30万円程度+工事費15,000円程度
ビルトイン型IHクッキングヒーターは3万円以上で設置工事も必要ですが、工事が必要ない据え置き型は2万円台から購入することができます。
なお、IHクッキングヒーターの寿命は10~15年程度と言われていますので、その周期で修理または買い替えが必要になります。
IHクッキングヒーターの寿命について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
IHクッキングヒーターの寿命と耐用年数。パーツ毎に解説
37,537view給湯器:エコキュート……15~60万円程度+工事費10~15万円程度
エコキュートは本体も高価ですが、工事費も高額です。給湯専用エコキュートはもっとも安価ですが機能が少なく、機能が豊富なオートやフルオートになるにつれて高価になります。また、貯湯タンクの容量が多くなるにつれて価格は高くなります。
なお、エコキュートの寿命は10~15年程度と言われていますので、その周期で修理または買い替えが必要になります。
エコキュートの寿命について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
エコキュートの寿命は10年?耐用年数が近い時の症状や対策
103,123viewおすすめ!人気エコキュート
ガスに必要な機器の導入費用
ガスの導入に必要な機器の合計額は100,000円~660,000円程度(保証費含まず)です。各機器の導入額は以下の通りです。
調理器具:ガスコンロ……25,000円~20万円程度+工事費2万円程度
ビルトインガスコンロは25,000円程度から購入でき設置工事が必要ですが、ガステーブルは工事が不要で15,000円程度から購入できます。
なお、ガスコンロの寿命は10~15年程度と言われていますので、その周期で修理または買い替えが必要になります。
給湯器:ガス給湯器……3~40万円程度+工事費25,000円~4万円程度
価格の安いガス給湯器は給湯専用タイプが多くなります。フルオートやエコジョーズのガス給湯器は、本体価格も工事費も高くなります。
なお、ガス給湯器の寿命は10~15年程度と言われていますので、その周期で修理または買い替えが必要になります。
ガス給湯器の寿命について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ガス給湯器の故障。お湯が出ないなど対処方法や寿命も
40,030viewお得なエネルギーはオール電化か都市ガス
前述のシミュレーション結果を踏まえて、現時点でお得なエネルギーはオール電化か都市ガス+電気になります。ただし、契約プランや利用条件により光熱費は異なりますので、ご注意ください。
トータルコストでは都市ガスがお得
調理器具や給湯器などの導入費用も含めたトータルコストで見ると、都市ガスがもっともお得です。オール電化とガスの導入費用を比較すると、両者の最低額を比べても20万円近くガスのほうが安くなっています。
電気代の変動によりお得なエネルギーが変わる場合も
2016年4月から始まった電力自由化によって、電気代は今後、価格競争が予想されます。そのため、現在契約している電気よりも安価な電気を供給してくれる会社があらわれる可能性があります。それによって、ガスとのエネルギーコストも変化していくことが考えられます。
電気代とガス代の料金決定方法の違い
電気代と都市ガス、LPガスでは、料金決定方法が異なります。
電気代
これまでは電気事業法に基づき、「総括原価方式」で決定されてきましたが、2016年4月から始まった電力自由化にともない、この「総括原価方式」は廃止され、電力販売会社が自由に価格を設定できるようになりました。しかし、価格競争が進むと見込まれる2020年3月までの間は、これまで通り「総括原価方式」で決定された料金が、各地域の電力会社から提供されることになっています。
※「総括原価方式」とは、人件費、燃料費などの原価に適正な事業報酬を上乗せして料金を決定する方法です。
都市ガス
ガス事業法に基づき、「総括原価方式」で決定されています。住んでいる地域や、契約するガス会社、電力プランにより料金は多少異なります。一般的にLPガスよりも安価で利用できる場合が多いです。
LPガス
ガス会社が料金を自由に決定できる「自由料金」で決定されています。そのため、契約するガス会社によって料金が異なります。一般的に都市ガスより料金が高い場合が多いです。
オール電化はこんな人にオススメ
昼間にほとんど電気を使用しないご家庭
オール電化の料金プランは深夜の電気代が安く設定されていますので、昼間はあまり家に居らず、夜間の電気使用が多いご家庭にはピッタリです。
プロパンガス地域
料金が高いプロパンガスの地域にお住いの方は、オール電化にすることで光熱費が安くなる場合が多いです。
太陽光発電や蓄電池を導入予定
オール電化と組み合わせて太陽光発電の導入を検討されている方は、太陽光で作った電気を使用するため光熱費が不要になったり、電気会社から購入する電気が少なくなるので光熱費の削減に繋がります。また、同時に蓄電池も導入するのであれば、太陽光発電で作り出した電気を蓄電池に貯めておけるため、災害時の備えにもなります。
オール電化のメリット・デメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
ガスはこんな人にオススメ
昼間にも料理をしたり、お湯を沸かすご家庭
昼間に料理やお湯を沢山つかうご家庭では、昼間の電気代が高く設定されているオール電化の料金プランよりも、ガスのほうがお得かもしれません。
都市ガスの地域
都市ガスの地域に住んでいる方は、コスト的にオール電化にしてもあまりメリットが無い場合が多いです。気になる方は、一度オール電化後の光熱費をシミュレーションしてみましょう。
次のページでは、エコキュートとガス給湯器、IHクッキングヒーターとガスコンロのコスト比較をしていきます。