ウォシュレットとは。温水洗浄便座の種類や歴史

ウォシュレットがTOTOの商品名って知っていますか?意外と知らない温水洗浄便座の歴史や、リモコンやサイズによって変わる種類、瞬間式と貯湯式の違い、日本と海外で普及率の違いなど、基礎となる知識を解説。携帯用、和式トイレ用のウォシュレットも紹介。

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ウォシュレットとは。温水洗浄便座の種類や歴史

目次

ウォシュレットの正式名称は温水洗浄便座

「ウォシュレット」という呼び方は、実はTOTOの商品名だったことをご存知ですか?広く普及している「ウォシュレット」の正式名称は「温水洗浄便座」です。

どうして「温水洗浄便座=ウォシュレット」という認識になったかというと、1980年にTOTOが国産温水洗浄便座「ウォシュレット」を発売し、積極的なCMの効果などにより国内に広く認知されたためです。

メーカーごとに違う温水洗浄便座の呼び方

温水洗浄便座の呼び方は、TOTOのウォシュレットが有名ですが、実はメーカーごとに異なります。

  • TOTO……ウォシュレット
  • INAX(LIXIL)……シャワートイレ
  • パナソニック……ビューティ・トワレ
  • 東芝……クリーンウォッシュ

日本と海外でまったく違う温水洗浄便座の普及率

日本での温水洗浄便座の普及率

累計出荷台数4,000万台を突破したウォシュレットをはじめとする温水洗浄便座の普及率は、日本国内の一般家庭で80%を超えています(2016年時点)。

温水洗浄便座がこれだけ日本で普及した要因のひとつには、TOTO「ウォシュレット」のCMなどによる清潔意識の高まりがあります。また、温水洗浄便座の機能向上により利便性が増たことで、現代人にとって無くてはならない存在になったことも挙げられます。

参照:各種統計-統計・資料|トイレナビ

参照:2015年09月01日 ニュースリリース TOTO

海外での温水洗浄便座の普及率

TVのニュースなどで、日本へ観光にきた外国人が、温水洗浄便座を買って帰る映像を見たことがある人も多いと思います。外国人が日本に来てわざわざ温水洗浄便座を買って帰る背景には、海外では温水洗浄便座があまり普及していないため、日本のトイレではじめて温水洗浄便座の存在を知る人が多いためです。

温水洗浄便座が海外で普及していない理由

以下の理由で、温水洗浄便座は海外であまり普及していません。

日本と海外の水質の違い

まずはじめに日本と海外の水質の違いがあります。日本の水道水は硬度が低い軟水ですが、ヨーロッパなどの国々では硬度が高い硬水が水道水に使用されています。硬度が高い水は、水中にカルシウムやマグネシウムが多く含まれており、ウォシュレットなどの温水洗浄便座に使用すると、内部でカルシウムやマグネシウムの凝固が発生し故障の原因になるため、温水洗浄便座には向いていないと言われています。

トイレの周辺にコンセントがない

海外ではユニットバス(トイレと風呂が同室)が普及しているため、トイレにコンセントがある家庭はほとんど無いそうです。そのため、温水洗浄便座を設置するにも電源の確保が難しい現状があるようです。ちなみに日本でも元々トイレにコンセントは無く、温水洗浄便座が普及によってトイレにコンセントをつけるようになったのだそうです。

盗難の危険がある

海外は治安が悪く、公衆トイレなどに温水洗浄便座を設置しても盗難の危険があります。そのため、日本ほど普及していないと言われています。逆に言うと、日本は治安がよいので温水洗浄便座がこれだけ普及したのかもしれません。

ウォシュレット(温水洗浄便座)の歴史

1964年|最初の温水洗浄便座はアメリカからの輸入ではじまった

温水洗浄便座の元となる商品を開発したのはアメリカで、当時は医療・福祉向けの設備として痔の治療などに使用されていました。日本で温水洗浄便座をはじめて商品化したのは東洋陶器(現:TOTO)で、1964年にアメリカから「ウォシュエアシート」を輸入し、販売を開始しました。

1967年|初の国産温水洗浄便座がINAXから発売

その後、TOTOのライバルである伊奈製陶(現:INAX)が1967年10月に初の国産温水洗浄便座「サニタリーナ61」を発売しました。これに対し、TOTOも負けじと「ウォシュエアシート」の国産化のためにアメリカンビデ社より特許を取得し、1969年に生産をはじめました。

1980年|TOTO「ウォシュレット」が発売

TOTO「ウォシュエアシート」を販売するかたわら、独自の研究をすすめ、1980年あたらしい温水洗浄便座「ウォシュレット」を発表しました。「ウォシュレット」はCM等の宣伝効果もあり、日本国民に広く浸透しました。1980年代半ばになるとINAXの温水洗浄便座の呼称が「サニタリーナ」から「シャワートイレ」へ変わったり、松下電工(現:パナソニック)などの企業が温水洗浄便座へ参入するなど、活気を帯びてきました。

1990年|温水洗浄便座は日本の「あたりまえ」に

1990年代になると、温水洗浄便座は新築住宅で多く設置されるようになります。また一般住宅だけでなく、オフィスビルやホテル、デパートなどの商業施設にも、温水洗浄便座の設置は進んでいきます。そして2000年代になると、住宅やオフィスビル、商業施設などへの温水洗浄便座の設置は当たり前になり、それに加えて駅などでも温水洗浄便座が設置されるようになります。

ウォシュレット(温水洗浄便座)の代表機能

洗浄機能

洗浄は温水洗浄便座の基本となる機能です。ボタンを押すことでノズルから温水が噴出し、洗浄します。男性の肛門を洗う「おしり」ボタンと、女性の局部を洗う「ビデ」ボタンが備わっているのが一般的です。また、温水が噴出する強さや噴出位置を調節することができる機種もあります。

乾燥機能

お尻を温水で洗浄後に、熱風で乾かす機能です。すべての機種に備わっているわけではありません。

暖房便座機能

便座カバーを使用しない温水洗浄便座のために、便座自体を暖める機能です。

脱臭・除菌機能

排便時の臭いを取り除く機能です。温水洗浄便座に備え付けられたオゾンや酸素などの脱臭カートリッジに、臭気を吸収させて除菌します。また、一部の温水洗浄便座には、便器内の除菌を行う機能がついた機種も存在します。

便座フタ自動開閉機能

人感センサーにより、人間がトイレに近づいたら自動で蓋が開き、用が済んで立ち去ったら自動でフタが閉じます。すべての機種に備わっているわけではありません。

その他、最新ウォシュレットの機能については、こちらの記事をご覧ください。

「瞬間式」と「貯湯式」2種類の温水洗浄便座の違い

温水洗浄便座は温水の供給方法で「瞬間式」と「貯湯式」の2種類に分類されます。

瞬間式ウォシュレット(温水洗浄便座)の特徴

瞬間式の温水洗浄便座は、洗浄する時に水を温めて噴射する方法です。

瞬間式ウォシュレット(温水洗浄便座)のメリット

  • 貯湯式のようにお湯を保温で溜めておく必要がないので、ランニングコスト(電気代)が安い。
  • 洗浄のたびに水を温めるので、湯切れする心配がない。
  • 貯湯式よりもタンクが無い分、機器サイズがコンパクト。

瞬間式ウォシュレット(温水洗浄便座)のデメリット

  • 貯湯式よりも商品価格が高い。
  • 洗浄の際に噴射する温水量が、貯湯式よりも少ない。(その分、少ない水量でも効果的な洗浄ができるよう工夫されている場合が多い)

貯湯式ウォシュレット(温水洗浄便座)の特徴

貯湯式の温水洗浄便座は、温水洗浄便座本体に内蔵されたタンクに温水を溜めておき、洗浄時にタンクからノズルに温水を供給する方法です。

貯湯式ウォシュレット(温水洗浄便座)のメリット

  • 瞬間式に比べて、商品価格が安い。
  • 洗浄の際に噴射する温水量が豊富。

貯湯式ウォシュレット(温水洗浄便座)のデメリット

  • 常に温水を保温しておかないといけないため、瞬間式よりランニングコスト(電気代)が高い。
  • タンク内のお湯を使い切ってしまうと、湯切れを起こしてしまう。
  • 本体にタンクが内蔵されているため、機器サイズが大きくなりがち。

リモコンの場所で変わるウォシュレット(温水洗浄便座)の種類

温水洗浄便座のリモコンには、本体に設置されている「袖リモコン」と、壁に設置する「壁リモコン」の2種類があります。

袖リモコンの特徴

本体にリモコンが備え付けられており、比較的安価なベーシックタイプの温水洗浄便座に多いタイプです。

袖リモコンのメリット

  • 壁リモコンタイプの温水洗浄便座よりも商品価格が安い。
  • 壁に穴を開ける必要がないため、賃貸物件でも設置できる。

袖リモコンのデメリット

  • リモコン自体に汚れやホコリが溜まりやすい。
  • リモコンが温水洗浄便座本体から張り出しているため、トイレ本体の掃除や床掃除のとき邪魔になる。

壁リモコンの特徴

壁にビス穴を開けて設置するタイプのリモコンで、ミドルグレード以上の温水洗浄便座は壁リモコンの場合が多いです。

壁リモコンのメリット

  • 袖リモコンのように温水洗浄便座本体から張り出していないので、トイレ本体の掃除や床掃除の邪魔にならない。また見た目もスッキリしている。
  • リモコン自体に汚れやホコリが溜まりにくい。

壁リモコンのデメリット

  • 袖リモコンタイプの温水洗浄便座よりも商品価格が高い。
  • 壁に穴を開ける必要があるため、賃貸物件の場合は設置できないこともある。

便器サイズで変わるウォシュレット(温水洗浄便座)の種類

温水洗浄便座を便器に取り付ける場合、便器のサイズにあわせて、適切な温水洗浄便座を選ぶ必要があります。

2種類の便器サイズ

まず、便器のサイズは2種類あります。

  • エロンゲート……大型サイズの便器です。穴のサイズが縦355~380mならエロンゲート便器です。
  • レギュラー……通常サイズの便器です。穴のサイズが縦320~350mならレギュラー便器です。

便器サイズに応じた温水洗浄便座のサイズ

次に、温水洗浄便座のサイズと、設置可能な便器サイズです。

  • エロンゲートサイズ用……エロンゲートサイズの便器に取り付けるサイズの温水洗浄便座です。レギュラー用の便器に取り付けることもできますが、多少出っ張ります。
  • エロンゲート/レギュラー共用……エロンゲートサイズとレギュラーサイズどちらの便器にも取り付けることができる温水洗浄便座です。
  • レギュラーサイズ用(小型)……レギュラーサイズの便器に取り付けるサイズの温水洗浄便座です。

いつでも安心!携帯用ウォシュレット

海外への出張やキャンプなど、ウォシュレットが使えない環境でも、携帯用ウォシュレットさえあれば、お尻を洗うことができます。

たとえばTOTOから発売している「携帯用ウォシュレット」は、携帯時は13cmまで伸縮するので、コンパクトで持ち運びも簡単です。また、洗浄の強弱をワンタッチで切り替えるができます。

ただし、使用のたびに水またはぬるま湯を入れる必要があったり、水道水および飲用可能な井戸水(地下水)以外は使用できないなどの制約もありますので、使用する場合は注意しましょう。

携帯ウォシュレットについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

諦めるのは早い!和式トイレ用ウォシュレット(温水洗浄便座)

少数派だと思いますが、現在も和式トイレを使用されているご家庭もあると思います。

もしも、ご自宅が和式トイレだったら、一度はウォシュレットを夢見たことがあるのではないでしょうか?しかし、そのためには洋式トイレに変更しなくてはならず、ハードルが高いので諦めている方も多いと思います。

しかし、洋式トイレに変更することなく、和式トイレのままウォシュレットに変更できる商品が存在しました!たとえばTOTOの「スワレット」が有名で、設置するだけで洋式の腰掛け便器に早変わりし、ウォシュレットを設置することが可能です。

もし、「和式だから」という理由でウォシュレットを諦めているのであれば、こんな方法も検討してみてはいかがでしょうか。