ガス給湯器を交換で迷いやすいポイントを解説
フルオートのメリット・デメリット
フルオートのメリット
- 豊富な機能で手間がかからない
- スイッチひとつでお風呂が溜まり、自動足し湯もしてくれる
- お風呂の温度は自動で常に一定を保ってくれる
- お湯を抜いた後に自動でふろ配管掃除をしてくれる
フルオートのガスふろ給湯器は、その豊富な機能で手間がかからないことがメリットです。まず、スイッチひとつでお風呂が溜まり、お湯が減ったら自動で足し湯もしてくれます。また、お湯の温度は常に設定した温度を保つように、自動で調節してくれます。
なお、お湯を抜いたあとは自動でふろ配管を掃除してくれる機能がついた機種もあります。
フルオートのデメリット
- オートや給湯専用に比べて価格が高い
フルオートのデメリットは価格がガス給湯器の中ではもっとも高価なことです。
そのため、オートや給湯専用に比べると、初期費用がかかってしまいます。
オートのメリット・デメリット
オートのメリット
- 自動湯はり機能があり、給湯専用よりも手間がかからない
- 追い焚きや自動保温を行ってくれる
- フルオートのガス給湯器よりも価格が安い
オートのガスふろ給湯器は、自動でお湯はりをしてくれるので、給湯専用よりも手間がかかりません。また、追い焚きや自動保温を行ってくれる点も便利です。
初期費用という点に関しても、フルオートのガス給湯器よりも安く抑えることができるのもメリットです。
オートのデメリット
- 機能面ではフルオートに劣ってしまう
- 価格の安さでは給湯専用におよばない
オートのガスふろ給湯器は、自動足し湯や自動ふろ配管お掃除機能が搭載されたフルオートよりも機能面では劣りますし、給湯専用には価格の安さで勝ることはできません。このように、フルオートと給湯専用の真ん中に位置しているオートタイプは、悪く言えば中途半端です。
ただし、この中途半端な面を、デメリットと捉えるかどうかは人それぞれで、「給湯専用は面倒で嫌だけど、フルオートほどの機能は必要ない」と思う方や「フルオートは高すぎる」という方には向いていると思います。
給湯専用のメリット・デメリット
給湯専用のメリット
- シンプルなため使いやすい
- フルオートやオートに比べ価格が安いので、導入しやすい
給湯専用のガス給湯器は、フルオートやオートのガスふろ給湯器に比べて、シンプルです。そのため、使い方に戸惑わないという点は利点になるかもしれません。
また、価格もフルオートやオートのガスふろ給湯器に比べると安いので、導入しやすいという点が最大のメリットです。
給湯専用のデメリット
- 自動湯はり機能がないので、湯はりに手間がかかる
- 保温機能や追い焚きがないので、手動でお湯を足さないといけない
給湯専用のガス給湯器は、一般的には自動お湯はり機能がついていませんので、自分で蛇口をまわしお風呂を溜め、溜まったら蛇口を締めるという手間がかかってしまうのが最大のデメリットです。また、保温機能や追い焚き機能もついていませんので、家族が多い場合で後から入る人はお湯が少なかったり、ぬるくなってしまっている時に、手動で蛇口からお湯を足すしかありません。
※オートストップ機能つきの場合、お湯は自動で止まります。
※高温水供給タイプは自動湯はり機能がついています。
号数の違いで変わること
ガス給湯器には16号、20号、24号があります。
この号数は、ガス給湯器の給湯能力のことをさしており、数字は水温+25℃のお湯を1分間に溜めることができるリットル数になります。
例えば、16号のガス給湯器をお使いの場合、15℃程度が平均水温である4月に、40℃のお湯をお風呂に溜めると、1分間で16リットル溜められることになります。同様に、20号は20リットル、24号であれば24リットルを1分間で溜めることができます。
※なお、号数による給湯能力は、水温やご使用状況によって誤差が生じる場合があります。
家庭にあわせた号数の選び方
号数を選ぶ際に重要なのは、「同時にどれだけお湯を使うか」です。例えば4人家族の場合、台所での洗い物やシャワー、洗面所などで同時にお湯を使う機会があるかもしれません。同時に使う機会が増えることがあらかじめわかっている場合は、24号を選ぶほうがよいでしょう。逆に、家族が多くても同時にお湯を使う機会が少なければ、20号くらいで事足りるかもしれません。なお、一般的に「冬場の夜間」がもっともお湯の使用機会が多くなりますので、「冬場の夜間」を基準に号数を選ぶのがよいかもしれません。
上記をふまえ、ご家族の人数にあわせたオススメの号数をご紹介いたします。
- 15号……単身者やご夫婦など(1~2人家族)
- 20号……お子様がいる世帯など(2~3人家族)
- 24号……ご家族が多い世帯(4~5人家族)
※上記はあくまで参考です。お湯の同時使用量により異なる場合があります。
ガスふろ給湯器:設置フリータイプと浴槽隣接設置タイプの違い
ガスふろ給湯器には、設置フリータイプと浴槽隣接設置タイプがあります。
ここでは、その2つの違いを説明していきます。
設置フリータイプ
ガス給湯器と浴槽の距離が離れていても、お湯をポンプで循環させてお湯はり、追い焚きすることができます。浴槽隣接設置タイプに比べて、浴槽の位置やガス給湯器の位置も自由に変更することができます。また、1つ穴タイプですので、最近の広く浅いオシャレな浴槽にも対応することが出来るので、オススメです。
浴槽隣接設置タイプ
ガス給湯器を浴槽の隣に設置するタイプです。浴槽隣接設置タイプは、「在来工法」と呼ばれるタイル張りの浴室である場合が多く、ユニットバスなどへリフォームする場合は設置フリータイプのガス給湯器へ交換するケースが多いようです。
1つ穴タイプと2つ穴タイプの違い
浴槽とガス給湯器を繋ぐ穴が1つのものが設置フリータイプ、2つのものが浴槽隣接設置タイプになります。違いは以下の通りです。
- 1つ穴タイプ……1cm程度の細い配管2本を、一箇所にまとめて循環アダプターに繋ぎ、お湯を循環させています。2つ穴タイプに比べて配管が細く循環する勢いが強いので、浴槽内のお湯に温度差が起きにくく湯垢もつきにくいのが特徴です。現在の主流であるユニットバスなどに使われているのは、この1つ穴タイプです。
- 2つ穴タイプ……2本の太い配管で、ガス給湯器と浴槽のお湯を循環させています。設置フリータイプに比べると循環の勢いが弱いので、配管に湯垢などがたまりやすかったり、湯船の上下で温度差が生まれたりします。「在来工法」と呼ばれるタイル張りの古いタイプの浴室で多く使用されています。
ガス給湯器:音声ナビタイプと高温水供給タイプの違い
ガス給湯器には、音声ナビタイプと高温水供給タイプがあります。
ここでは、その2つの違いを説明していきます。
オートストップタイプ(音声ナビタイプ)
蛇口を開いて浴槽にお湯を溜めていき、溜まったら自動でお湯が止まります。また、お湯が溜まると台所リモコンが音声でお知らせしてくれます。
高温水供給タイプ
給湯専用ながら自動湯はり機能がついており、設定したお湯の温度でお風呂を溜めてくれます。また、足し湯も行えます。「セミオート」と呼ばれる場合もあります。
設置タイプの違い
ガス給湯器には、設置する場所にあわせて最適な排気を行えるように、様々な形が存在しています。
屋外据置形
主に一戸建て住宅向けのガス給湯器で、屋外に設置するタイプになります。地面やブロックの上に置かれている場合と、据置架台の上に設置されている場合があります。一戸建て住宅に設置されているガス給湯器のほとんどは、この屋外据置形です。
据置架台とは
壁に固定された架台のことです。据置架台を使用している場合、ガス給湯器を交換する際に据置架台の交換も必要になる場合があります。
屋外壁掛形
一戸建て住宅・マンション向けのガス給湯器で、屋外に設置するタイプになります。一戸建ての壁や、マンションのベランダに設置されている場合が多く、最もよく見かける形のひとつです。
PS標準設置形
マンション向けのガス給湯器で、玄関横のパイプスペース内に設置されており、扉はついていません。マンションに設置されているガス給湯器の中では、もっともポピュラーな形です。交換時に注意する点としては、現在のガス給湯器より大きいサイズの機種は設置することができません。なお、小さいサイズを設置する場合は、アダプターで隙間を埋める必要があります。
PS扉内設置形
マンション向けのガス給湯器で、玄関横のパイプスペース内に設置されており、扉がついています。扉に開いた小さい穴から排気を噴出するため、標準設置形よりも遠くに排気を飛ばすことができます。交換時に注意する点としては、PS標準設置形と同様ですが、交換するガス給湯器の排気方向が現在の物と異なる場合、扉に穴を開け直す必要があります。
PSアルコープ設置形
マンション向けのガス給湯器で、アルコープと呼ばれる建築方法が採られているマンション向けの形です。アルコープとは、壁よりも玄関がくぼんで凹状になっている空間のことで、玄関のドアを開けたすぐ横にパイプスペースが設置されていたりします。そのため、排気方向が真正面だと排気が人に当たってしまうため、排気の方向を横にズラしています。
PS扉内上方排気延長形
マンション向けのガス給湯器で、玄関横のパイプスペース内に設置されています。スペースの関係で排気を直接外に出すことができない環境などで用いられ、ガス給湯器の上方から延びるパイプで外に排気されます。
PS扉内後方排気延長形
マンション向けのガス給湯器で、PS扉内後方排気延長型とほぼ見た目や構造は同じです。違いはガス給湯器の裏面からの延びるパイプで外に排気する点です。なお、ガス給湯器が避難通路やエレベーターと接している場合、消防法の関係で後方排気延長形を指定される場合があるようです。
PSってなに?
PSとはパイプスペースのことで、マンションの玄関横に設置されてる場合が多いです。パイプスペースの中には、上下水道管やガス管などの配管が通っています。
屋内壁掛/強制給排気形(FF式)
ガス給湯器を屋内に設置するタイプで、店舗や一戸建て、マンションにて使用されています。強制給排気形(FF式)の特徴は、ガス給湯器に内蔵されたファンで燃焼するための酸素を取り込み、同時に排気ガスを外に排出します。
屋内壁掛/強制排気形(FE式)
ガス給湯器を屋内に設置するタイプで、店舗や一戸建て、マンションにて使用されています。強制排気形(FE式)の特徴は、給湯器本体に付けられた窓から室内の酸素を取り込んで燃焼し、内蔵されたファンで排気ガスを外に排出します。
次のページでは、ガス給湯器を交換する際の注意点や、ガス給湯器交換のタイミングについて解説していきます。