後悔しないためのエコキュートのデメリット。お得の裏に欠点も?!
目次
エコキュートのデメリット、一番は「水圧」
エコキュートの一番のデメリットである水圧に関して詳しく解説していきます。
ガス給湯器と比べるとエコキュートは水圧が落ちるケースが多い
多くのエコキュートではガス給湯器と比べて水圧が弱くなります。
その理由は、水道からの水圧ではなく「エコキュートのタンクで一旦水圧を落としているから」です。
エコキュートは構造上、一旦水道からきた水を貯湯タンクに貯めて、それを温めてお湯を生成します。
水道は常に水圧がかかっていますが、その水圧を減圧弁で弱めて貯湯タンクが耐えれる圧力まで減圧ます。
そのため、エコキュートでは水道圧に比べて水圧が弱くなります。
ガス給湯器は、水道管をそのままバーナーで温めているため、水道管の水圧をそのまま利用することできます。
なお、水道管の水圧も地域によって差がありますが一般的には500kPaと言われていますが、エコキュートの一般タイプの水圧は170~180kPaです。
(マンションの場合は、屋上にある受水槽という大きなタンクから、下の階へ水を送っている場合があり、ガス給湯器でも500kPaより低くなる可能性があります。)
「パワフル高圧タイプ」のエコキュートであれば水圧は強い
一般タイプでは水圧の弱いとされているエコキュートですが、メーカー各社から「パワフル高圧タイプ」と呼ばれる水圧が強い機種が用意されています。
一般タイプの水圧が170~180kPaに比べて、「パワフル高圧タイプ」は280~320kPaと大幅に水圧が上がっています。
「パワフル高圧タイプ」であれば、ガス給湯器と比べてそこまで気にならないという人が多いようです。
日立の「水道直圧」エコキュートは特に水圧が強い
水圧の強いエコキュートの中でも、日立のエコキュート「ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)」は、他メーカーと貯湯タンクでお湯を作る仕組みが異なり、水道圧をそのまま利用することができます。
そのため、日立のエコキュート「ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)」は、標準的な水圧が500kPaとなります。
日立のナイアガラシリーズは、貯湯タンクに貯めたお湯を水と混合させてお湯を作り出す一般的な方式とは異なり、貯めている高温のお湯の「熱だけ」を利用して水道管をそのまま温める方式をとっています。
専門的な用語では「熱交換方式」と言いますが、熱は高い温度の方から低い温度の方に移動します。
冷たいコップを持つと、手が冷たくなりますよね。
これは冷たいコップに、自分の体温が奪われているからですが、それと同じようにエコキュート内で貯めている高温のお湯と、水道管の水を混ぜずに熱だけ移動させます。
オール電化にしたいけど、シャワーを思いっきり使いたい!という方には、日立のエコキュート「ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)」もおすすめです。
水圧の強いエコキュートメーカー
1位:日立「ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)」/ 500kPa
2位:ダイキン「パワフル高圧タイプ」 / 320kPa
3位:東芝「パワフル高圧タイプ 」/ 300kPa
※2021年5月時点
シャワーヘッドを変えることでシャワーの強さは変えられる
エコキュートに交換後「もう少し水圧を高くしたい」…という方はシャワーヘッドを交換することで、シャワー自体の強さは変えることができます。
ただし、シャワーの勢いは強くなりますが水が出る範囲は狭くなったり水量が減ることは理解して選ぶ必要があります。
詳細は「水圧を強くしたい!低水圧用シャワーヘッドの選び方とおすすめ13選」をご覧ください。
水圧を強くする低水圧用シャワーヘッドの選び方とおすすめ14選
63,575viewその他の水圧を強くする方法やエコキュートの水圧についてはこちらで詳しく紹介しています。 エコキュートの水圧が弱いを解決!水圧を強くする方法
キッチンなどから出るお湯を含んだ水は「飲水」として使えない
多くのエコキュートでは、エコキュートで作ったお湯を飲用として飲むことは推奨されていません。
エコキュートは貯湯タンクに水を一旦ためて、そこで水をお湯へ沸かします。
お湯を毎日使用している分、その水は入れ替わりますが「貯湯タンク内が清潔であると言い切れない」ことが理由です。
例えば、長期休暇などでエコキュートを使わない時、お湯を沸かさないと当然高温のお湯の温度が下がって水になっていきます。
日常的に使っていれば貯湯タンク内のお湯は80℃程度と、雑菌が沸きやすい温度ではありませんが、数日沸き上げを停止していると水温が戻ってきます。
このような場合に、雑菌が繁殖しているかも知れない可能性が否定し切れないという理由が1つあります。
また、水道にはマグネシウムやカルシウムなどの成分が含まれており、このような成分が汚れとして固着してくる可能性も否定し切れないため、このような理由から「飲用として推奨していない」わけです。
お湯を含んでいないただの「水」であれば飲んでもOK
エコキュートであっても、お湯を含んでいない通常の水であれば水道水の基準として飲用可能です。
例えば、キッチンの水栓であればレバーを「水」にすることで、通常の水道管からくる水になるため「水」で飲用すれば問題ありません。
お湯を含んでいても煮沸すれば飲んでもOK
エコキュートのお湯を含んだ水でも煮沸すれば飲用として使うことができます。
お茶やコーヒーなど一度お湯を沸騰させてから使う場合は、エコキュートのお湯が含まれていても問題有りません。
日立の「水道直圧」エコキュートは「飲用」として使用可能
エコキュートの中でも日立の「ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)」は、水道管からの水に熱を加えてお湯にしている方式の為、通常の水道と同じように水道水の基準として飲用が可能です。
来客など想定以上のお湯を使うと「湯切れ」を起こす
エコキュートはタンクにお湯を貯めるため「湯切れ」が起こる
ガス給湯器は、使う度に水道管の水をお湯へ温めるため「お湯切れ」を起こすことはありません。
しかしエコキュートは、貯湯タンクにお湯を貯めて使うため、その中に貯めているお湯がなくなる「湯切れ」が発生する恐れがあります。
370Lタイプのエコキュートで使える湯量は「約650L」
エコキュートは貯湯タンクの容量別に370Lタイプ・460Lタイプ・500L以上タイプと大きく3種類の大きさがありますが、例えば370Lタイプでは40℃前後で使えるお湯が370Lというわけではありません。
貯湯タンクの容量自体は370Lなのですが、こちらに貯めてあるお湯は60℃~80℃といった「熱湯」となります。
お風呂やキッチンでお湯を使う際、貯まっている高温のお湯と水を混ぜて、おおむね40℃前後で使用するため、最終的に40℃前後で使える湯量は約650Lとなります。
(貯湯タンク内の温度80℃、給水温度5℃の場合)
4人家族で1日で使う湯量の目安は、1回お湯はり約160~200L、シャワー4人分で約200L、洗面・キッチンで約150L~180Lとなっており、合計でおよそ580L前後と言われています。
普通に使用する分にはそこまでお湯切れの心配をされなくても大丈夫かと思います。
出典元:ダイキン
例えばシャワーの場合、湯切れ後に再び使えるようになるまで約1時間後
湯切れしてしまった場合や湯切れしそうな時、深夜電力での沸き上げを待たずとも、「沸き増し」ボタンで沸かすことはできます。
湯切れを起こしてしまった場合、タンク内の水を沸き上げることになりますが、概ね元の量を使えるようになるためには、4時間以上かかり、シャワー1回分(10分)程度のお湯は約1時間程度かかります。
湯切れを起こさないために出来る対策
湯量の設定を見直す
普段の設定で「節約モード」になっている場合、370Lタイプであれば370L丸まる沸かしているわけではありません。
初期設定でこのモードに設定されているメーカーもありますので、使っていて日常的に湯量がギリギリになる場合は、設定モードを見直してみましょう。
また来客がある場合など、お湯の使用量が多くなるときは、事前に「節約モード」を解除したり、「沸き増し」ボタンで深夜の通常運転以外にお湯の量を増やしたりすることもできます。
残量を確認する
各社のエコキュートのリモコンでは、お湯の残量が確認できます。
詳細な残量をリットルで表示してくれるメーカー(東芝など)もありますが、多くが5段階表示などの大まかな表示方法になっています。
残湯量はお風呂側・台所側の両方のリモコンで確認することができます。
エコキュートは使用湯量から学習する機能も
最近の各社エコキュートには、直近1週間の使用湯量をみて沸かす量を自動的に調整してくれる機能が付いている機種もあります。
ただ、この機能は省エネとしては有効的ですが、急にお湯をたくさん使ったりすると足りなくなる恐れがあるため、そういった事が不安な方や使っていてお湯が足りなくなることが何回かある方は、この機能をOFFにした方が良いかもしれません。
購入の際は家族構成や生活スタイルから適切なエコキュート容量を選択
それでは一体我が家はどのタイプを選べばいいのか?という目安にお答えしていきます。
結論としては、
- 3~4人家族でお風呂のお湯はりを1日1回の場合は、370Lタイプ。
- 3人~5人家族で、お風呂のお湯はりを1日2回する日が多い場合は、460Lタイプ。
- 6人以上の家族の場合、2世帯でもお湯を気兼ねなく使いたい方は、500L以上のタイプ。
4人家族で1日で使う湯量の目安
例として、4人家族で1日で使う湯量の目安がこちらです。
- 浴槽のお湯はり:約160L~約200L/ 1回
- シャワー:約50L(約5分)×4人 = 200L ※パワフル高圧タイプは多くなる
- 洗面・キッチン:約150L~180L
- 合計:580L
その他、エコキュートの容量の選び方についてはこちらの記事でも解説しています。 エコキュート容量別の違いと電気代の比較。4人家族なら460L
新規設置や機器交換のコストが「35万円~」と高い
エコキュートは、貯湯タンクとヒートポンプの2つの機器で構成されています。
この2つがセットになっていることもあり、機器代と共に工事費もガス給湯器に比べると高くなります。
エコキュート本体費用としては安い機種でも約17万円~20万円程度。
工事費用も諸々で18万円程度~となり安いお店でも合計で35万円程度となります。
ガス給湯器であれば安ければ機器代・工事費含めて15万円程度で交換できることと比較するとエコキュートが高額であることがわかります。
工事費用もガス給湯器であれば1人作業でできますが、エコキュートは貯湯タンクが重いことなどから、最低2人は作業に必要なことや、新規設置の場合は貯湯タンクを設置する部分に基礎工事も必要になり工事費は高くなります。
新規設置・交換に必要なコストの内訳
- エコキュート本体費用:約17~20万円程度
- 工事費用:18 ~ 30万円前後(据え付け工事・配管接続工事・試運転・交通費など)
※基礎工事は別途費用となるケース有り - 交換時は撤去費用:数万円
- 有料延長保証費用:3万円前後(必要な場合)
新規導入時は、貯湯タンクとヒートポンプを据え置く基礎の設置工事費用、反対にエコキュートからエコキュートへの交換時は既存品撤去費用がかかってきますので、新規導入でも交換でも総額に変わりはありません。
エコキュートを購入検討する場合には、以下の記事も参考にして買い替えの時のポイントや相場などを掴んだうえで、購入に踏み切ってください。
失敗したくない!エコキュート買い替えポイントと交換費用の相場 エコキュート買い替えポイントと交換費用の相場。失敗しない為に
どこで買えばいいの?賢いエコキュートの購入方法 どこで買う?エコキュートのお得でおすすめな購入方法
補助金が出る市区町村も
現在は少なくなりましたが、補助金が出る市町村もあります。
数万円前後~高額な市町村では10万円前後出る場合もあります。
各市町村のホームページで、おおむね環境関係の項目を確認すると確認ができます。
リースで導入して初期費用を抑えることも
初期費用を抑えたい場合は、リースという選択肢で設置することもできます。
リースとは、購入ではなく「借りる」ことになります。
リースで設置したエコキュートは、契約期間は購入と同じように使用することができます。
また、リース期間中のエコキュートの故障については、基本的に無料で修理してもらうことができるメリットがあります。
関西電力などの電力会社や、地域の電気工事店などで、リースプランを提供しており審査が通れば利用することができます。
ただし、長年使い続けることを考えると、購入の方が結果的にかかる費用は抑えることができます。
例えば四国電力グループで展開しているプランでは、概ね月額5,000円~6,000円です。
仮に5,000円のプランと、エコキュートの機器代工事代35万円を比べれば70ヶ月(約6年)で並んでしまいます。
詳しくは、「購入より30万損する?エコキュートをリースするデメリットや費用」へ エコキュートをリースするデメリットや費用。購入より30万も損?
住宅ローンの借り換えでお得にリフォーム出来る場合も
住宅ローンの借り換えと同時にリフォーム費用を組み合わせると、オトクにリフォームできるかも知れません。
具体例でみていきましょう。
例えば3,000万円を金利2%(ボーナスなし)で35年で借りている場合、月額の住宅ローンは99,378円です。
光熱費として、例えば電気・ガス代合算で平均的に20,000円かかっていたとしましょう。
家からの合算の支出としては、119,378円です。
住宅ローンを返済して10年経過した段階で、残債は約2,400万円です。
現在、金利が非常に安くなっており仮に1%で借り換えをしたとしましょう。
この時に、金融機関によってはリフォーム金額と合算して借り換えすることができます。
例えばガス給湯器からエコキュートへのリフォーム金額、仮に50万円を追加して借り換えをしたとしましょう。
そうなると残債2,450万円の残年数25年で借り換えしたローンが再スタートすることになりますが、月額の支払いとしては92,333円になります。
住宅ローンの差額としては7,045円の節約になりますが、光熱費もオール電化にすることにより減らすことができます。
光熱費が例えば20,000円から15,000円になれば、家からの合算支出としては107,333円となり、12,045円の費用削減になります。
もちろん、金融機関によってこのリフォーム金額+借り換え、という選択ができない場合もありますので、この方式ができる金融機関は確認してみてください。
また、借り換え時の返済能力などの諸条件もあるため、必ずこのやり方ができるわけではないことと、光熱費などの各条件は個々で様々なため、詳しくは金融機関で相談してみてください。
使用時の光熱費(ランニングコスト)はエコキュートがお得
設置工事費用に関しては、ガス給湯器と比べてエコキュートの方が高いですが、ランニングコストはエコキュートの方が得です。
お使いになる地域によって異なりますが、エコキュートの月平均のランニングコストは約2,000円です。
ガス給湯器では都市ガスの場合、光熱費は月平均約5,000円。
LPガスの場合はさらに1.5倍~2倍前後の費用になってくることが多いと言われていますので、エコキュートの光熱費がお得であることがわかります。
実際に使用するご家庭の状況にもよりますが、エコキュートを使い続けることを考えれば、初期導入費用や交換費用を考えても、エコキュートの方がコストを抑えられます。
エコキュートの光熱費(ランニングコスト)や導入コストについては「光熱費比較」の記事でも詳しく解説しています。 エコキュートのランニングコストと他給湯器の比較
故障による交換は、1週間程度の時間が必要なケースが多い
エコキュートの設置を依頼する場合、基本的に多くのお店では契約後メーカーに発注するので、最短でも5営業日ほど必要な場合が多くなります。
ガス給湯器の場合は、在庫を抱えているお店が多いことや、工事自体も3~4時間、長くても半日あれば交換が完了します。
エコキュートは在庫を持っている業者が少ないため時間が必要
最近は、標準的な機種であれば在庫を抱えている業者も増えてきていますが、エコキュートの在庫を持っている店舗はガス給湯器に比べると少ないです。
その理由は
- 商品が高額である
- 商品が大きくスペースを取る
ことが挙げられます。
このため、卸業者からメーカーに発注をかけて工事日までに数日を要するケースもありますので、ガス給湯器に比べて時間がかかることが多い印象です。
最短当日をうたっている業者もあるが、売れ筋の機種限定で選べない
標準的な機種を在庫として抱えている業者で、工事する人の都合が運よく空いていれば当日対応が可能ですが、その場合は標準的な在庫機種になることがほとんどで、機種やメーカーの選択はほとんど出来ないことが多いです。
せっかく高額な費用で交換するなら、と思うとやはり1週間程度はお湯が使えない状態になってしまいます。
ただ、機種やメーカーの選択が制限されることはガス給湯器の場合でも同様のことが起きる可能性があります。
設置までに時間がかかる場合は、バケツヒーター・銭湯・ネットカフェなどで対応
給湯器交換までに時間がかかる場合の、お風呂の代替え案としての対処方法をお伝えします。
最も無難な対処法としては、銭湯に家族でいくことでしょうか。
それ以外に自宅でできる対策としては、バケツヒーターとポータブルシャワーを併用することでシャワーを浴びることができます。
バケツヒーターとは、棒状のヒーターで水に漬けておくことで水を温めるヒーターです。
浴槽に水を張り、このバケツヒーターでお湯を作り出し、ポータブルシャワーを使うことで自宅で緊急的にお湯でシャワーを浴びることができます。
また最近ではネットカフェなどでも、シャワーを利用することもできますので、数日の工事待ちであれば近所の施設を使用するのも良いのではないでしょうか。
エコキュートでは「騒音」でトラブルになるケースも
エコキュートはうるさいの?
エコキュートでよくあるトラブルとして騒音の問題があります。
実際にエコキュートは、深夜電力を活用して深夜に運転するため、設置場所によっては隣家からのクレームや、寝室で音が聞こえるなどの事例があります。
エコキュートは熱を作り出すヒートポンプが運転する際に「ブーン」という運転音が出ます。
具体的には、約50~60dBの音がします。騒音値の幅があるのは、特に冬季に運転量が上がるため音も大きくなります。
ちなみに、50dBは「普通の事務所の中」、60dBは「普通の会話」と同等の騒音となります。
各メーカーの代表機種(460L)では、下記のような騒音値です。
なお、370Lではこの値から1~2dB低くなります。
- パナソニック / HE-NS46KQS:50~57dB
- 三菱 / SRT-WK465D:55~58dB
- ダイキン / EQ46VHV:40~45dB
- 日立 / BHP-F46SU:55~57dB
- 東芝 / HWH-456U:51~57dB
- コロナ / CHP-46AY2:55~57dB
寝室が近く就寝時にうるさいなど「使用者」が被るトラブル
寝室が1階にある場合、エコキュートと隣接していると使用者である自分がうるさく感じることがあります。
1階に寝室があるプランの場合は、エコキュートの設置場所を考えてもらうようにしましょう。
近隣住民から苦情が来るトラブル
また、近隣からクレームが入る場合もあります。
都市部などの土地が近接しており、ヒートポンプが隣家に近くなる場合も想定されます。
そういった場合は、音ももちろんですが、運転時の風も気を付けたいポイントです。
特に夏季、窓を開けて寝ているときに音と風が隣の家に直撃することで、クレームになることも容易に想像できます。
設置の時は、自分の家の配置ももちろんですが、さらに隣家の配置や距離、置き方も考えておきましょう。
自宅や隣家の間取りを考慮するなど、事前にトラブルを避ける対策
それでは対策方法としてどうすれば良いか?について紹介していきます。
なお、騒音の原因となるヒートポンプと、貯湯タンクは本来は数メートル以内に設置してもらうことが、メーカー奨励の設置方法ですが、どうしても配慮しなくてはならない場合、離して設置することも可能です。
ただ、その際には距離が離れるほど温めた熱が、その間に冷えるというデメリットがあります。
このことを知ったうえで、まず寝室からはなるべく離すなど、ヒートポンプの設置場所を検討してください。
2階に寝室がある場合でも、直下にあると気になる場合があります。
また、隣の家の間取りも考慮して設置しましょう。
特に寝室や部屋の位置もさることながら、窓・換気口といったの音が入りやすい場所も確認しましょう。
そして、その位置から動かせない場合は、ヒートポンプの下に緩衝材を敷いたりすると音が軽減させる場合があります。
また、ヒートポンプの周辺はできるだけ壁や塀などがない場所にしましょう。
極端に狭いスペースの場合は、壁や塀に音が反射することを防げます。
場所がどうしても無い場合は、高さを上げるために壁掛けにしてみる方法などもありますので、業者に相談してみましょう。
詳しくは「エコキュートから騒音?低周波音被害の原因と有効な対策」をご覧ください。 エコキュートの騒音。低周波音被害の原因と有効な対策
ガス給湯器と比べると「設置スペース」が必要
エコキュートはタンクとヒートポンプの設置が必要
エコキュートはお湯をためる貯湯タンクと、熱を生み出すヒートポンプで構成されています。
一般的な370Lのエコキュートの大きさは、貯湯タンクが幅・奥行600~700×高さ2000mm前後で、ヒートポンプが幅800~900前後×奥行300前後×高さ700mm前後です。
エコキュート設置に必要なスペースは約2×1m
また、特に貯湯タンクは耐震防止のための基礎が必要となります。
そのため、エコキュートの基礎として、ヒートポンプと隣接して設置する場合、おおむね幅2m×奥行1m程度で作られ、その設置スペースが必要です。
設置スペースが取れない場合は、薄型エコキュートや、コンパクトサイズの機種もありますので、設置業者に相談してみましょう。
エコキュートのメリット、一番は「光熱費」の削減
エコキュートの光熱費(ランニングコスト)や導入コストについては「光熱費比較」の記事でも詳しく解説しています。 エコキュートのランニングコストと他給湯器の比較
光熱費(ランニングコスト)がお得
ランニングコストはエコキュートの方が圧倒的に安いです。
年間のランニングコストを比較すると、エコキュートは約18,000円~約25,000円。
それに対して、ガス給湯器約78,000円(高効率給湯器)~92,000円(通常のガス給湯器)となっています。
- エコキュート算出品番:HE-JPU37KQS(パナソニック・年間給湯保温効率4.0)
- 給湯負荷効率:JIS C 9220の給湯保温モード
- 電気料金:東京電力「スマートライフL」17.78円/kWh・燃料調整費・基本料金を除く
- ガス料金:東京ガス 123.56円/m3(税込)・基本料金含まず
出典元:パナソニック
エコキュートの光熱費は年間約2.4万円(月平均約2千円)
年間 約24,000円(月額平均 約2,000円)
なお、上記は東京での試算になりますが、エコキュートの電気代は気温や地域によって大きく異なってきます。
地域ごとの平均ランニングコスト(月額平均)はこちらです。
- 北海道エリア:月平均 約2,700円
- 本州・四国エリア:月平均 約2,400円~1,800円
- 九州エリア:月平均 約1,500円
- 沖縄エリア:月平均 約1,000円
ガス給湯器の光熱費は年間約6.4万円(月平均約5千円)
年間 約63,600円(都市ガス)/ (月額平均 約5,300円)
LPガスのガス給湯器の場合は更に1.5倍以上の光熱費に
上記のガス給湯器の光熱費は都市ガスの場合の金額ですが、LPガスの場合は更に金額が高くなる可能性があり、都市ガスの1.5倍~2倍前後の費用になってくることが多いです。
深夜の安い電力を使うのでお得になる
エコキュートの基本的な考え方は「安い深夜電力を使って、オトクにお湯を沸かして貯めておくこと」です。
電気代は時間帯別契約という契約形態があり、時間帯によって電気の単価が異なる契約です。
オール電化にしている家庭は、この契約になっている家庭が多いですが、その理由としては「深夜の電気単価が安く設定されているから」です。
東京電力の例を見てみると、「スマートライフプランS/L」では深夜電力が17.78円/kWh、日中の電気単価は28.80円/kWhとなっており、深夜時間帯に運転させるメリットがあります。
太陽光発電で作った電気を使えば光熱費を大幅削減!
昨今は、電気料金の高騰が顕著になりつつあります。先ほどの東京電力の単価を見ても、10年以上前は深夜電力も9円や13円という契約プランが存在していました。
様々な要因で電気料金は、深夜電力を含めて高騰している反面、太陽光発電の売電単価は下がり続けています。
2021年の売電単価は19円/kWh、2022年の売電単価は17円/kWhとなっており、すでに発電した電気を売る単価の方が安くなってしまっています。
そこで、一般的には深夜に運転するエコキュートを、あえて晴れている日中に運転させ、太陽光発電の電気を使ってお湯を沸かすことで光熱費を削減することができます。
ひと昔前は、太陽光発電の電気は売電して儲ける、という立ち位置でしたが、昨今は高い電気代を買わないための防御策として太陽光発電を設置するようになってきています。
エコキュートも消費電力が大きいので、太陽光発電の電気を使うことで、有効的に使うことができます。
オール電化用の電力プランは日中の電力が高い
東京電力の例で示した通り、「スマートライフプランS/L」では深夜電力が17.78円/kWh、日中の電気単価は28.80円/kWhとなっており、日中の電気代が高い設定になっています。
これは東京電力に限らず、各地位の電力会社で用意されている時間帯別契約では日中の電気代が高い単価に設定されています。
そのため、日中に自宅で過ごすことが多い方は電気代に注意が必要です。
一方で、同時に日中に電気を発電して自己消費できる太陽光発電との組み合わせ、そして発電した電気をお湯へ変換できるエコキュートは、この2つをセットで検討すると光熱費削減がさらにできます。
エコキュートの設定・交換でさらに光熱費がお得になる場合も
リモコンの設定で、タンク設定温度を下げることで光熱費を抑えることができる機種もあります。
また、沸き上げる量を減らすことでも電力使用量を抑えることができます。
ただし、この方法は光熱費の節約にはなりますが、使えるお湯の量が減りますので、その点は気を付けて設定を変えてみてください。
また、10年以上前のエコキュートを使っている場合、新品に交換すると光熱費が一気に下がることが想定されます。
理由は「エコキュートの断熱性能が上がっているから」です。
深夜に温めたお湯は、タンクの中に1日使いながら、同時に放熱していきます。最近のエコキュートであれば、真空断熱材など、断熱材のレベルも上がっているため、保温性が良いことや、使用電力自体も節約できるような仕組みにグレードアップしているため、交換すると光熱費の削減になるでしょう。
また、詳しくは「年間5千円も節約!?エコキュートの節電方法4選+12の裏技」も合わせてご覧ください。 エコキュートの節電方法4選+12の裏技。年間5千円も節約?
エコキュートの光熱費(ランニングコスト)や導入コストについては「光熱費比較」の記事でも詳しく解説しています。 エコキュートのランニングコストと他給湯器の比較
電気だけでお湯がわかせるので、災害時なども復旧が早い
震災時復旧が早いのは「電気」
東日本大震災の時も、復旧が一番早かったのは電気です。
厚生労働省の「東日本大震災水道施設被害状況調査報告書(平成23年度災害査定資料整理版)」についてという資料では、一週間後に電気の復旧率は98.6%・水道が66%・ガスは9%と大きな差があります。
ガスは99%普及するのに、約5週間かかっています。
大規模な災害になればなるほど、ガスと電気の普及に差が出てきます。
ガスは水道と同じように地中に埋められており、ガス管の損傷個所の特定・交換・ガス漏れがないように確認、といった作業が念入りにしないといけないため、慎重に行われる必要があり、その分時間がかかってしまいます。
「災害で心配だからオール電化はやめておく」という意見もたまに聞きますが、冷静に判断するとオール電化の方が、ライフラインの普及にかかる時間は早いということになります。
ガス給湯器もガス暖房も…電気がないと使えない
「災害で心配だからオール電化はやめておく」という考えのもと、リスク分散をしているつもりでも、ガス給湯器やガス暖房機などのガス機器も電気でON/OFFなどの操作を行います。
唯一、ガスだけで動くのは電池を入れて使うタイプのガスコンロだけです。
断水時・停電時にもタンクのお湯が使える
水道が使えない断水時でもタンク内のお湯を使える
エコキュートは、断水・停電の両方使えない時でも貯湯タンクにお湯を貯めているため、その貯めているお湯が使えます。
機種によって取り出し方法は異なりますが、おおむねの機種では、
- 脚部カバーを外す
- 緊急時のお湯取り出しコックがあり、そのコックにホースをつなぐ
- バケツなどお湯を受けるものを置く
- コックを開けてお湯を取り出す
このように簡単にお湯が取り出せます。
ただし、高温のお湯が出てくるので火傷にはお気を付けください。
停電だけで水道が使える場合はお湯が使える機種も
エコキュートは、水圧がかかっていれば多くの機種で温度調整ができない可能性が高いが、蛇口からお湯が出てきます。
水圧で貯湯タンクに貯まっているお湯をそのまま押し出してくれるため、キッチンや洗面、シャワーなどからはお湯が出ますが、混合弁の調整が停電時はうまく働かない可能性があるので、温度だけ気を付けてください。
(中には停電直前の設定温度で出てくる機種もあります)
そして、下記の最新の代表的なベーシックな品番での調査結果ですが、おおよその機種でお湯が使えます。
※温度調整ができない機種あり。
停電時に使うポイントとしては、一旦はお湯側に蛇口を全開にせず水との真ん中あたりで使うと良いでしょう(レバー式の水栓の場合)
- パナソニック HE-NS37JQS他:蛇口からお湯が出るが温度調整不可
- ダイキン EQ46VFV他:蛇口からお湯が出るが温度調整不可
- 三菱 SRT-W375他:蛇口からお湯が出るが温度調整不可
- 東芝 HWH-B376他:蛇口からお湯が出るが温度調整不可
- コロナ CHP-37AY3:蛇口からお湯が出るが温度調整不可
- 日立 水道直圧方式タイプ:使用不可(水のみ)
- 日立 通常タイプ:蛇口からお湯が出るが温度調整不可
ガスが原因のトラブルが無くなる
ガス漏れや一酸化炭素中毒の心配はない
ガス漏れや一酸化炭素中毒などのガス特有の不安事項はなくなります。
通常の使い方をしていれば、給湯器なども爆発したりすることは当然ありませんが、コンロなどの機器側の故障によるガス漏れなどのトラブルはなくなります。
CO2の削減効果で環境にも貢献
電気を使う方が実はエネルギー効率が良く、環境にも貢献できます。
CO2の削減効果に関しては、様々な論者がいますので細かい話は割愛しますが、同じように「エネルギーを熱に変換する」時は、ガスに比べて電気からの方が効率は良いのです。
例えば、1Lのお湯を沸かすために必要なエネルギーを見ても、ガスコンロの効率は約50%に対して、IHは約90%のため、ガスの方がエネルギーロスが多いです。
実はガス給湯器と比べて大差がない事
本体が故障するまでの耐用年数
故障に関しては、個体差があるにしても平均的な寿命としては、どちらも10~15年程度です。
ガス給湯器は基盤などの電子機器、エコキュートはヒートポンプ周りの部品や電子基板あたりから、故障してくるケースが多いように思えます。
耐用年数に関しては、客観的に判断しても大きな差はないように思えます。
入浴剤の制限
入浴剤については、エコキュートでもガス給湯器でも使えるものに制限があります。
もっと正確に言えば、入浴剤を使う時の注意事項としては、循環する配管の中に気泡や成分が入り込むことで悪影響を及ぼす可能性があるため、ガス給湯器・エコキュート関係ありません。
実際に入浴剤の注意事項では、「ガス給湯器では使えない」「エコキュートでは使えない」とは記載はなく、追い炊き循環の時に成分を一緒に吸ってしまうことで、配管内の汚れの原因や、気泡により原因不明のエラーが発生する可能性があるためです。
入浴剤を使用する際は、注意事項も念のために読んでみると良いでしょう。
その他、エコキュートとガス給湯器の違いについいては以下の記事で詳しく解説しています。 エコキュートとガス給湯器の比較と違い。エコキュートにかえて後悔