【2026年版】モルタル外壁の塗装ガイド|費用相場・おすすめ塗料・劣化サインまで徹底解説
目次
モルタル外壁とは?特徴とメリット・デメリット
外壁塗装を検討するにあたって、まずは自宅の外壁がどのような素材でできているかを知ることが大切です。ここでは、モルタル外壁の基礎知識をわかりやすく解説します。
モルタル外壁の構造と特徴
モルタルとは、セメント・砂・水を混ぜ合わせて作る建築材料のことです。このモルタルを金属のラス網(金網)の上に塗り重ねて仕上げるのが「モルタル外壁」です。
モルタル外壁の最大の特徴は、継ぎ目のない一体感のある外壁に仕上がることです。現在主流のサイディング外壁はパネルを張り合わせるため、どうしてもつなぎ目(目地)ができます。一方、モルタル外壁は職人が手作業で塗り上げるため、シームレスで美しい仕上がりになります。
サイディング外壁は工場で作られたパネルを現場で張り付ける工法です。施工が早く均一な仕上がりになる反面、目地部分のシーリング(コーキング)が劣化しやすいという特徴があります。モルタル外壁は継ぎ目がないため、シーリング劣化の心配がありません。
モルタル外壁は、1990年代以前に建てられた住宅に多く採用されています。2000年代以降はサイディング外壁が主流となりましたが、現在でもデザイン性を重視する住宅ではモルタルが選ばれることがあります。築年数が古い戸建て住宅にお住まいの方は、モルタル外壁である可能性が高いでしょう。
モルタル外壁のメリット・デメリット
モルタル外壁にはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。塗装メンテナンスを考えるうえで、どちらも理解しておきましょう。
【メリット】
- デザインの自由度が高い:職人の手作業で仕上げるため、曲面や複雑な形状にも対応でき、多彩な模様やテクスチャーを表現できる
- 耐火性にすぐれる:セメントが主成分のため燃えにくく、防火性能が高い
- 継ぎ目がなくシーリング劣化の心配が少ない:サイディングのような目地がないため、シーリングの打ち替えが不要
【デメリット】
- ひび割れ(クラック)が発生しやすい:乾燥収縮や地震の揺れなどでひび割れが起きやすい
- 防水性が低い:モルタル自体には防水性がないため、塗装による防水処理が必要
- 施工に手間と費用がかかる:職人の手作業のため、サイディングと比べて施工期間が長く費用も高くなりがち
とくに注意したいのが、モルタル外壁は経年劣化しやすい性質があるため、定期的な塗装メンテナンスが不可欠という点です。塗装が劣化すると防水機能が失われ、雨水が建物内部に侵入する原因となります。大切なお住まいを長持ちさせるためにも、適切な時期に外壁塗装を行いましょう。
モルタル外壁の主な仕上げパターン(リシン・スタッコ・吹き付けタイル・左官仕上げ)
モルタル外壁にはいくつかの仕上げパターンがあり、それぞれ見た目や特徴がちがいます。仕上げパターンによって適した塗料や費用が変わるため、自宅の外壁がどのタイプかを確認しておきましょう。
| リシン仕上げ | 細かい砂壁のようなザラザラした仕上がり。最も一般的で施工コストが安い。塗膜が薄いため耐久性はやや低め。 |
|---|---|
| スタッコ仕上げ | 厚みのある重厚感のある仕上がり。耐久性が高いが、凹凸が大きいため汚れが溜まりやすく、塗り替え時に塗料の使用量が増える。 |
| 吹き付けタイル仕上げ | スプレーガンで吹き付けて凹凸のある模様をつくる仕上げ。耐久性が比較的高く、表面が滑らかなため汚れが付きにくい。 |
| 左官仕上げ(ジョリパットなど) | 職人がコテや刷毛で仕上げる意匠性の高い工法。デザインのバリエーションが豊富で、おしゃれな外観にできる。 |
たとえば、リシン仕上げは塗膜が薄いため劣化が早く、塗り替えのサイクルが短くなる傾向があります。スタッコ仕上げは凹凸が大きいため、塗料を多く使うぶん費用がかさみます。このように、仕上げパターンを把握しておくことが、塗料選びや費用の見積もりに役立ちます。
モルタル外壁の劣化症状と塗り替えサインの見分け方
モルタル外壁の塗り替えを検討するうえで重要なのが、劣化のサインを見逃さないことです。ここでは、代表的な劣化症状とその危険度を解説します。ご自宅の外壁をチェックしてみてください。
チョーキング(白亜化)現象
チョーキング現象とは、外壁の表面を手で触ったときに白い粉が付く症状のことです。「白亜化(はくあか)」とも呼ばれます。
これは、紫外線や雨風によって塗膜の樹脂が分解され、顔料がむき出しになった状態です。チョーキングが発生しているということは、塗膜の防水機能が低下しているサインです。
この状態を放置すると、雨水がモルタルに浸透しやすくなります。水分が建物内部に入り込むことで、下地の劣化やカビの発生につながる可能性があります。チョーキングを確認したら、塗り替えの検討を始めましょう。
ひび割れ(クラック)の種類と危険度
モルタル外壁で最も発生しやすい劣化症状が、ひび割れ(クラック)です。モルタル外壁のクラックは大きく2種類に分けられます。
| ヘアークラック(幅0.3mm未満) | 髪の毛のように細いひび割れ。塗膜の表面だけに生じている状態で、すぐに大きな問題にはなりにくい。経過観察でも可だが、数が増えてきたら塗り替えを検討。 |
|---|---|
| 構造クラック(幅0.3mm以上) | モルタルの下地にまで達している深いひび割れ。雨水が侵入し、建物の構造材が腐食するおそれがあるため、早急な補修が必要。 |
ひび割れが起きる主な原因は、乾燥による収縮・地震などの振動・経年劣化の3つです。モルタルは性質上、乾燥すると収縮するため、新築から数年でヘアークラックが発生することも珍しくありません。
幅0.3mm以上の構造クラックを放置すると、雨水が内部に浸入し、柱や土台などの構造材が腐食する原因になります。最悪の場合、雨漏りが発生し、大規模な修繕が必要になることもあります。ひび割れを見つけたら、まずは幅を確認し、0.3mm以上であれば早めに専門業者に相談しましょう。
カビ・コケ・藻の発生と塗膜の剥がれ・膨れ
モルタル外壁の表面に緑色や黒色の汚れが目立つ場合は、カビ・コケ・藻が発生しています。とくに日当たりの悪い北面や、湿気がたまりやすい場所に発生しやすい傾向があります。
カビやコケの発生は、塗膜の防水機能が低下しているサインです。見た目が悪くなるだけでなく、モルタルの劣化を早める原因にもなります。
また、塗膜の剥がれや膨れが見られる場合は、塗膜と下地の密着力が失われている状態です。これは外壁の防水性がほぼ機能していないことを意味し、美観だけでなく建物の寿命にも影響する深刻な劣化症状です。このような症状が出たら、早めの塗り替えを検討してください。
塗り替え時期の目安は築何年?
モルタル外壁の塗り替え時期の一般的な目安は、前回の塗装から8〜12年程度と言われています。ただし、使用した塗料のグレードや建物の立地環境によって大きく異なります。
たとえば、シリコン塗料で塗装した場合は10〜15年、アクリル塗料の場合は5〜8年が目安です。年数にかかわらず、劣化症状が出ていれば塗り替えを検討すべきです。
【セルフチェックリスト】
- チョーキング:外壁を手で触ると白い粉が付く
- クラック:ひび割れが見える(とくに幅0.3mm以上は要注意)
- 変色・色あせ:新築時と比べて外壁の色が薄くなっている
- カビ・コケ:緑色や黒色の汚れが目立つ
- 塗膜の剥がれ・膨れ:塗装が浮いたり剥がれたりしている
上記のうち1つでも当てはまる場合は、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
モルタル外壁塗装に適した塗料の種類と選び方
モルタル外壁の塗装で仕上がりと耐久性を大きく左右するのが塗料の選択です。塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や価格がちがいます。ここでは塗料の比較と、モルタル外壁にとくにおすすめの塗料を紹介します。
塗料の種類別比較(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機)
外壁塗装に使われる主な塗料を、耐用年数と費用の目安で比較します。
| アクリル塗料 | 耐用年数:5〜8年/単価目安:1,000〜1,800円/㎡。低コストだが耐久性が低く、現在の外壁塗装ではあまり使われない。 |
|---|---|
| ウレタン塗料 | 耐用年数:8〜10年/単価目安:1,500〜2,500円/㎡。柔軟性がありモルタルとの相性は良いが、耐久性はシリコンに劣る。 |
| シリコン塗料 | 耐用年数:10〜15年/単価目安:2,000〜3,500円/㎡。コストパフォーマンスが良く、モルタル外壁塗装で最も人気がある定番塗料。 |
| フッ素塗料 | 耐用年数:15〜20年/単価目安:3,500〜5,000円/㎡。高耐久で長期間メンテナンスが不要だが、初期費用が高い。 |
| 無機塗料 | 耐用年数:20〜25年/単価目安:4,000〜5,500円/㎡。最高クラスの耐久性を持ち、長期的に見るとコストメリットがある。 |
モルタル外壁塗装で最もおすすめされているのはシリコン塗料です。価格と耐久性のバランスが良く、多くの塗装業者が標準グレードとして採用しています。長期的なコストを重視する方には、フッ素塗料や無機塗料も選択肢に入るでしょう。
モルタル外壁に特におすすめの塗料とその理由
モルタル外壁には、一般的な塗料に加えて「弾性塗料」がとくにおすすめです。
弾性塗料とは、ゴムのように伸び縮みする性質を持った塗料のことです。塗膜に柔軟性があるため、モルタル外壁にひび割れが発生しても塗膜が追従して伸び、防水性を保つことができます。
モルタル外壁はひび割れが起きやすい特性があるため、弾性塗料(弾性シリコンなど)を使うことで、クラックに対する高い防水性を発揮します。実際の施工では、下塗りに「微弾性フィラー」と呼ばれる弾力のある下塗り材を塗り、その上にシリコンやフッ素などの上塗り塗料を重ねる方法が一般的です。
また、モルタル外壁の塗料選びでは透湿性(とうしつせい)も重要なポイントです。透湿性のある塗料は、外部からの水は通さずに内部の湿気を外へ逃がすことができます。モルタルは湿気を含みやすいため、透湿性のない塗料を使うと内部の水分が逃げ場を失い、塗膜の膨れや剥がれの原因になります。
さらに近年は、ラジカル制御型塗料も人気が高まっています。ラジカル制御型塗料は、塗膜の劣化原因となる「ラジカル」という物質の発生を抑える技術を使った塗料で、シリコン塗料と同等の価格帯ながら耐久性が高いのが特徴です。
水性塗料と油性(溶剤系)塗料の違い
塗料は成分の違いによって「水性塗料」と「油性(溶剤系)塗料」に分けられます。
| 水性塗料 | 水で薄めて使うタイプ。臭いが少なく、環境にやさしい。近年は技術の進歩により耐久性も大幅に向上している。 |
|---|---|
| 油性(溶剤系)塗料 | シンナーなどの有機溶剤で薄めるタイプ。下地への密着性が高いが、臭いが強く、施工時に近隣への配慮が必要。 |
モルタル外壁にはどちらも使用可能ですが、近年の外壁塗装では水性塗料が主流になっています。水性塗料は臭いが少ないため施工中の生活への影響が少なく、性能面でも油性塗料に引けを取らないレベルまで進化しています。
ただし、下地の状態が悪い場合や密着性を重視する場合には、油性塗料が選ばれることもあります。塗料の種類については、現地調査をした業者と相談して決めるのがよいでしょう。
モルタル外壁塗装の費用相場と内訳
外壁塗装を検討するうえで最も気になるのが費用ではないでしょうか。ここでは、モルタル外壁塗装の費用相場と内訳をくわしく解説します。
モルタル外壁塗装の費用相場(坪数・延床面積別)
30坪(延床面積約100㎡)の戸建て住宅の場合、モルタル外壁塗装の費用相場は60〜120万円程度が目安です。この金額には足場代・高圧洗浄・下地処理・塗装費用が含まれます。
費用に幅があるのは、使用する塗料のグレードによって大きく変わるためです。
- シリコン塗料の場合:60〜90万円程度
- フッ素塗料の場合:80〜110万円程度
- 無機塗料の場合:90〜120万円程度
上記はあくまで一般的な目安です。建物の形状・階数・劣化状況によって金額は変動します。正確な費用を知るためには、複数の業者に現地調査と見積もりを依頼しましょう。
費用の内訳(足場・洗浄・下地処理・塗装)
外壁塗装の費用は、おもに以下の項目で構成されています。
| 足場費用 | 600〜1,000円/㎡。外壁塗装には必ず足場が必要で、全体の費用の約20%を占める。 |
|---|---|
| 高圧洗浄 | 100〜300円/㎡。塗装前に汚れやカビ、古い塗膜を洗い流す工程。 |
| 下地処理(クラック補修含む) | 劣化状況により変動。モルタル外壁はクラック補修が必要になることが多く、範囲が広いほど費用がかかる。 |
| 塗装費用 | 塗料代+施工費。塗料のグレードにより1,000〜5,500円/㎡と幅がある。下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本。 |
| 養生費・諸経費 | 窓や車などを保護するための養生費や、運搬費・廃材処理費などの諸経費も発生する。 |
見積もりを確認する際は、これらの項目がそれぞれ明記されているかを必ずチェックしましょう。
モルタル外壁はサイディングより費用が高い?
モルタル外壁の塗装は、サイディング外壁の塗装と比べてやや費用が高くなる傾向があります。その主な理由は、モルタル外壁はひび割れ補修などの下地処理に手間がかかるためです。
ただし、サイディング外壁の場合はシーリング(目地のコーキング)の打ち替え費用がかかります。シーリングの打ち替えは1mあたり700〜1,200円程度が相場で、建物全体では数万円〜10万円以上になることもあります。
このように、モルタルとサイディングではかかる費用の内訳がちがうため、トータルコストで比較することが重要です。どちらが高くなるかは建物の状態によって異なりますので、両方の知識を持ったうえで見積もりを比較しましょう。
外壁塗装で使える補助金・助成金制度
外壁塗装の費用を抑える方法のひとつに、自治体の補助金・助成金制度があります。
多くの自治体では、住宅リフォームに対する補助金制度を設けています。とくに遮熱塗料や断熱塗料を使った省エネリフォームの場合は、補助金の対象になるケースがあります。補助金の金額は自治体によって異なりますが、一般的には工事費用の10〜20%程度、上限10〜30万円というケースが多いようです。
補助金・助成金は、原則として工事の着工前に申請が必要です。工事が始まってからの申請は受け付けてもらえないケースがほとんどです。業者との契約前に、お住まいの自治体の制度を確認しましょう。
補助金制度は自治体ごとに内容や条件がちがい、年度によって変更されることもあります。最新の情報はお住まいの自治体の公式サイトや窓口で確認することをおすすめします。
モルタル外壁塗装の施工手順と工期
外壁塗装の工事がどのように進むのかを事前に知っておくと、工事中の不安が軽減されます。ここでは、モルタル外壁塗装の具体的な施工手順と工期を解説します。
施工の流れ(全工程を解説)
モルタル外壁塗装の施工は、以下の流れで進みます。
- 足場設置(1日):安全に作業するための足場を建物のまわりに組み立てる。飛散防止用のメッシュシートも張る。
- 高圧洗浄(1日):高圧の水で外壁の汚れ・カビ・コケ・古い塗膜などを洗い落とす。洗浄後は乾燥させるため1〜2日置く。
- 下地処理・クラック補修(1〜2日):ひび割れの補修や劣化した部分の補修を行う。モルタル外壁では特に重要な工程。
- 養生(1日):窓・玄関ドア・車など、塗料が付いてはいけない場所をビニールやテープで保護する。
- 下塗り(1日):上塗り塗料と下地の密着を高めるための塗料を塗る。モルタル外壁では微弾性フィラーが使われることが多い。
- 中塗り(1日):仕上げ用の塗料を1回目塗る。塗膜に厚みを持たせるための工程。
- 上塗り(1日):仕上げ用の塗料を2回目塗る。中塗りと同じ塗料を使い、ムラなく仕上げる。
- 点検・足場撤去(1日):仕上がりを確認し、問題がなければ足場を解体して工事完了。
全体の工期は10日〜2週間程度が一般的です。天候不良による作業中断があると、さらに数日延びることもあります。
モルタル外壁で特に重要な下地処理・クラック補修
モルタル外壁塗装の中で、最も重要な工程と言えるのが下地処理です。下地処理の質が、塗装の仕上がりと耐久性を大きく左右します。
構造クラック(幅0.3mm以上のひび割れ)の補修には、「Uカット工法」がよく使われます。
Uカット工法とは、ひび割れ部分をU字型に削り広げ、そこにシーリング材(コーキング材)を充填して補修する方法です。ひび割れに直接コーキングを詰めるだけの簡易的な補修と比べて、密着性が高く長持ちします。
また、ヘアークラック(幅0.3mm未満の細かいひび割れ)に対しては、下塗りに微弾性フィラーを使うことで細かいひび割れを埋めながら下塗りを行う方法が一般的です。
下地処理を適切に行わないと、せっかく塗った塗料が数年で剥がれてしまうこともあります。実際に、手抜き工事で下地処理が不十分だったために、塗装後わずか2〜3年で塗膜の剥がれや膨れが発生したという事例もあります。業者を選ぶ際は、下地処理の工程をしっかり説明してくれるかどうかも重要な判断基準です。
塗装に適した時期・季節
外壁塗装にはおすすめの時期があります。一般的に塗装に最も適しているのは、春(4〜5月)と秋(9〜11月)です。気温が安定しており、雨も比較的少ないため、塗料がしっかりと乾燥しやすい時期です。
塗装が可能な気象条件は、気温5℃以上・湿度85%以下とされています。この条件を満たさない場合は、塗料の乾燥不良や密着不良が起きるおそれがあり、施工を見送ることになります。
- 梅雨の時期(6〜7月):雨による作業中断が多く、工期が延びやすい
- 真冬(12〜2月):気温が低く結露も発生しやすいため、地域によっては施工が難しい
- 真夏(7〜8月):施工は可能だが、直射日光による急激な乾燥で仕上がりに影響が出ることがある
なお、季節よりも業者の繁忙期を避けることで、費用を抑えられる場合もあります。繁忙期は春と秋に集中するため、あえて閑散期(夏や冬)に依頼すると、値引き交渉がしやすいケースがあります。
モルタル外壁塗装で失敗しないための注意点
外壁塗装は高額な工事だけに、失敗は避けたいものです。ここでは、よくある失敗パターンと、トラブルを回避するためのポイントを紹介します。
業者選びで注意すべきポイント
外壁塗装で失敗しないために最も重要なのが業者選びです。以下のポイントを意識しましょう。
- 相見積もりは最低3社から取る:1社だけでは価格が適正かどうか判断できない。複数の見積もりを比較することが大切。
- 極端に安い見積もりには要注意:下地処理の省略、塗料のグレードダウン、塗り回数の削減など、品質を犠牲にしている可能性がある。
- 塗装専門業者・地元業者を検討する:大手リフォーム会社やハウスメーカー経由の場合、中間マージンが上乗せされることがある。塗装専門の地元業者に直接依頼することでコストを抑えられる。
- 資格・保証・実績を確認する:「塗装技能士」の資格を持つ職人がいるか、施工後の保証内容はどうか、過去の施工実績や口コミはどうかを確認する。
見積書のチェックポイント
業者から見積書をもらったら、以下の点をチェックしましょう。
- 「一式」表記ばかりの見積もりは要注意:各工程の費用が「一式」としかかれていない場合、工事内容があいまいで、あとからトラブルになるおそれがある。
- 塗料名・メーカー名が明記されているか:具体的な塗料名(例:日本ペイント パーフェクトトップなど)が記載されているか確認する。
- 塗り回数が明記されているか:外壁塗装は「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗りが基本。2回塗りになっていないか注意する。
- 塗装面積の妥当性:延床面積×1.2〜1.4倍程度が外壁面積の目安。面積が不自然に小さい(または大きい)場合は確認が必要。
不明な点があれば遠慮せず業者に質問しましょう。丁寧に説明してくれる業者は信頼できる可能性が高いです。
DIYでモルタル外壁を塗装するのは可能か?
費用を抑えるために「自分で塗装できないか」と考える方もいるかもしれません。結論から言うと、部分的な補修はDIYで可能ですが、全面的な外壁塗装はプロに依頼すべきです。
DIYによる全面塗装をおすすめしない理由は以下のとおりです。
- 高所作業の危険性:2階以上の外壁を塗装するには足場が必要で、はしごでの作業は落下事故のリスクが高い
- 仕上がりの品質差:均一に塗るには専門的な技術が必要で、ムラや塗り残しが出やすい
- 下地処理の技術不足:適切な下地処理ができないと、塗装が早期に劣化する原因になる
DIYで対応できる範囲としては、手の届く範囲の小さなヘアークラックに市販のコーキング材を充填する応急処置や、部分的なタッチアップ(小さな剥がれの補修)程度が目安です。ただし、これらはあくまで応急処置であり、根本的な解決には専門業者による塗装工事が必要です。
モルタル外壁を長持ちさせるメンテナンス方法
塗装工事が完了したら、それで終わりではありません。日ごろのメンテナンスによって、モルタル外壁の状態を良好に保ち、次回の塗り替えまでの期間を延ばすことができます。
定期点検と日常のセルフチェック
年に1〜2回は外壁の目視チェックを行いましょう。ひび割れ・色あせ・カビの発生がないか、建物のまわりをぐるりと確認します。
とくに台風や大きな地震の後は、注意して点検することが大切です。強風による飛来物で外壁が傷ついたり、地震の揺れで新たなクラックが入ったりすることがあります。
また、自分では確認しにくい高所や屋根に近い部分は、5年ごとを目安に専門業者による定期点検を受けることをおすすめします。早期に劣化を発見できれば、小さな補修で対応でき、費用も抑えられます。
モルタル外壁の汚れを落とす方法と注意点
モルタル外壁に付いた汚れは、柔らかいブラシと水を使ってやさしく洗うのが基本です。
- 一般的な汚れ:柔らかいブラシやスポンジに水を含ませて、やさしくこすり洗いする
- カビ・コケ:市販の外壁用カビ取り洗剤を使用する。根が深い場合は専門業者に相談する
家庭用の高圧洗浄機は水圧が強すぎると塗膜を傷つけるおそれがあります。使用する場合は弱めの水圧で、ノズルを外壁から30cm以上離して使いましょう。また、硬いブラシやスクレーパー(ヘラ)で強くこするのも塗膜を傷める原因になるため避けてください。
次回の塗り替えまでの寿命を延ばすコツ
日ごろのちょっとした心がけで、モルタル外壁の寿命を延ばすことができます。
- 小さなひび割れは早めに補修する:ヘアークラックのうちに対処すれば、構造クラックへの進行を防げる
- 植栽を外壁に密着させない:庭木やつる植物が外壁に接していると通気性が悪くなり、カビやコケの原因になる。外壁との間に適切なすき間を確保する
- 雨樋の詰まりを放置しない:雨樋が詰まると雨水があふれ、外壁に直接水がかかる。定期的に落ち葉やゴミを取り除く
これらの小さなメンテナンスを習慣にすることで、外壁を長持ちさせ、次の塗り替えまでの期間を最大限に延ばすことができます。
まとめ:モルタル外壁塗装を成功させるために
ここまで、モルタル外壁の塗装について費用相場・塗料の選び方・施工の流れ・注意点まで幅広く解説してきました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
モルタル外壁塗装のポイントまとめ
- 劣化症状を見逃さず、適切なタイミングで塗り替える:チョーキング・クラック・カビなどのサインが出たら早めに検討する
- モルタルに適した塗料を選ぶ:弾性塗料や透湿性のある塗料がモルタル外壁との相性が良い
- 下地処理の品質が塗装の持ちを決める:クラック補修を含む下地処理が最も重要な工程
- 複数社の見積もりを比較し、内容を確認する:最低3社の相見積もりを取り、塗料名・塗り回数・面積が明記されているか確認する
- 塗装後も定期的なメンテナンスを行う:日常の点検と早めの補修で外壁を長持ちさせる
モルタル外壁は適切にメンテナンスすれば、長く美しい状態を保てる外壁材です。この記事を参考に、信頼できる業者を見つけて、満足のいく外壁塗装を実現してください。
よくある質問
モルタル外壁の塗装は何年ごとに必要ですか?
モルタル外壁の塗り替えは、一般的に8〜12年ごとが目安です。ただし、前回使用した塗料の種類によって異なります。シリコン塗料なら10〜15年、フッ素塗料なら15〜20年が目安です。
年数はあくまで目安であり、チョーキングやクラックなどの劣化症状が出ていれば、年数に関係なく塗り替えを検討すべきです。迷ったら専門業者に点検を依頼しましょう。
モルタル外壁のひび割れは自分で補修できますか?
ヘアークラック(幅0.3mm未満の細いひび割れ)程度であれば、ホームセンターで購入できる市販のフィラーやコーキング材を使って応急処置をすることは可能です。
ただし、構造クラック(幅0.3mm以上)は専門業者に補修を依頼してください。自己補修ではひび割れの奥まで適切に処理することが難しく、雨水の侵入を防ぎきれないおそれがあります。自己補修はあくまで応急処置であり、根本的な解決には塗装工事が必要です。
モルタル外壁にサイディングを上から張ることはできますか?
はい、「カバー工法」と呼ばれる方法で、モルタル外壁の上から金属サイディングを張ることは可能です。既存のモルタルを撤去する必要がないため、張り替えに比べて工期が短く、費用も抑えられます。
ただし、外壁材が二重になるため建物の重量が増し、耐震性に影響する可能性があります。カバー工法を検討する際は、建物の構造を確認したうえで判断することが大切です。
モルタル外壁の状態が塗装で十分に対応できる場合は、塗装のほうがコストを抑えられるケースが多いため、まずは塗装での対応を検討してみるとよいでしょう。
モルタル外壁の塗装費用を安くする方法はありますか?
モルタル外壁の塗装費用を抑える方法には、以下のようなものがあります。
- 相見積もりで適正価格を見極める:3社以上の見積もりを比較することで、相場から大きく外れた金額を避けられる
- 自治体の補助金・助成金制度を活用する:省エネリフォームなどの要件を満たせば補助金が受けられる場合がある
- 屋根塗装と同時施工で足場代を節約する:足場は設置するだけで15〜25万円程度かかるため、屋根と外壁をまとめて塗装すれば足場代が1回分で済む
大幅な値引きを提示する業者には注意が必要です。塗料のグレードダウンや塗り回数の削減、下地処理の省略など、品質を犠牲にしている可能性があります。安さだけで業者を選ぶと、数年で再塗装が必要になり、結果的に費用が高くつくこともあります。
モルタル外壁とサイディング外壁、塗装の違いは何ですか?
モルタル外壁とサイディング外壁では、塗装時に重視すべきポイントがちがいます。
| モルタル外壁の塗装 | ひび割れ(クラック)補修が重要。弾性塗料の使用が推奨される。下地処理に手間がかかるため、やや費用が高くなる傾向がある。 |
|---|---|
| サイディング外壁の塗装 | 目地部分のシーリング(コーキング)の打ち替えが必要。弾性塗料は熱によるふくれのリスクがあるため使用しないことが多い。 |
モルタル外壁のほうが下地処理に手間がかかるぶん、サイディングと比べてやや費用が高くなる傾向があります。ただし、サイディングはシーリングの打ち替え費用が加わるため、トータルで見ると大きな差がないケースも多くあります。いずれの外壁材でも、信頼できる業者に現地調査を依頼し、適切な工事内容と見積もりを提示してもらうことが大切です。