最近CMしてるスマート電化ってなに?メリットとデメリットは?

CMなどでお馴染みのスマート電化について徹底解説!スマート電化ってそもそもなに?メリットやデメリットは?など、今さら聞けないスマート電化の正体がまるわかり。各電力会社の「スマート電化プラン」の特徴や料金も紹介。オール電化との違いも。

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最近CMしてるスマート電化ってなに?メリットとデメリットは?

目次

スマート電化ってなに?

スマート電化とは、一般的にはエコキュートやIHクッキングヒーターを導入して、いわゆる「オール電化」の状態と同じことだと思われています。

しかし、実際にはスマート電化の定義は共通しておらず、電力会社や家電メーカーごとに定義が異なっているのが現状です。

電力会社(東電・関電)に問い合わせところ、スマート電化の定義は、「スマート電化プランへ加入していること」という返答をいただきました。

つまり、最近CM等で耳にする「電力会社のスマート電化」は
ほぼ「スマート電化=オール電化」
ということになります。

この記事では各社電力会社のスマート電化プランに加入条件を満たした状態を「スマート電化」と呼ぶことにし、スマート電化プランの加入条件や、メリット・デメリット、電力プランなどを解説します。

>> スマート電化とオール電化の詳しい違いはコチラ

スマート電化の導入は大きく2ステップ

これからスマート電化を導入したいと思っている方に向けて、必要な機器や手続きについてご紹介していきます。

1.スマート電化に必要な住設機器の設置

エコキュート

お風呂や台所にお湯を送る給湯器の仲間で、正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」といいます。ヒートポンプユニットで取り込んだ空気の熱を利用してお湯を温めています。

IHクッキングヒーター

電磁誘導加熱(磁力線の働きによる発熱)により、金属の鍋やフライパンなどを温める調理器具です。「Induction(誘導)」と「Heating(加熱)」の頭文字をとってIHと呼ばれています。

電気温水器

ガスを使用せず、電気で加熱したヒーターでお湯を温める給湯器です。

2.電力プランの加入申請

電力会社のスマート電化プランへ加入

スマート電化を導入するためには、各電力会社が用意しているスマート電化プランへ加入する必要があります。

以下は、主要電力会社のスマート電化プランです。

電気会社へ電気申請を行う

スマート電化の導入には、電気メーターをスマート電化に対応したスマートメーターに変更するために、電力会社へ変更申請を行う必要があります。この電気申請は自分で行うこともできますが、エコキュートやIHクッキングヒーター設置時に、設置業者へ代行申請を依頼するのが一般的です。

スマート電化のメリット

ここでは、スマート電化を導入した場合のメリットをご紹介します。

「スマート電化プラン」に加入することで、夜間の電気代が安くなる

電力会社が用意している「スマート電化プラン」を契約することで、従来の電気料金に比べて夜間の電気代が安くなります。
そのため、エコキュートなどは夜間にお湯を沸かす設定にしておけば、安い電気代で運用することができます。

電力会社によってはエコキュートのみでスマート電化プランを始められる

東京電力や関西電力などの電力会社では、エコキュートさえ設置していれば、夜間の電気代がお得になる「スマート電化プラン」に加入することができます。
そのため、エコキュート+IHクッキングヒーターが必要だったオール電化に比べると、スマート電化の導入費用のほうが安く抑えられるというメリットがあります。

調理時に火を使わないので、火事などの危険が減る

スマート電化の導入時にIHクッキングヒーターも導入すれば、調理時に火を使わなくなるため、調理中の火事などの危険を減らすことがでるというメリットがあります。
また、一酸化炭素中毒の心配もなくなり、二酸化炭素で室内の空気が汚れることもありません。

家庭内のエネルギーを電気に一本化することが可能

スマート電化の導入時にエコキュートに加えてIHクッキングヒーターも導入することで、ガスを使用しなくなり、家庭内のエネルギーを電気に一本化することができます。そのため、プロパンガスやガスの使用量が多いご家庭では、光熱費の削減に繋がるメリットが期待できます。

ガスよりも災害に強い

スマート電化(エコキュート+IHクッキングヒーター)を導入してエネルギーを電気に一本化した場合、災害が起きてライフラインが麻痺してしまっても、ガス・水道に比べて電気の復旧が最も早いと言われています。

また、エコキュートの貯湯タンクに貯まっている水を、生活用水として使用することもできるため、万が一の場合に役立ちます。

スマート電化のデメリット

ここでは、スマート電化を導入した場合のデメリットをご紹介します。

エコキュートのみでスマート電化を導入した場合、光熱費は一本化されない

エコキュートのみでスマート電化を導入した場合、電気で動く家電だけにはならないため、光熱費を電気に一本化することはできません。
もし光熱費を電気に一本化したい場合は、エコキュートに加えてIHクッキングヒーターを導入する必要があります。

「スマート電化プラン」を導入すると、昼間の電気代が高くなる

電力会社の「スマート電化プラン」を契約すると、夜間の電気代が安くなるというメリットはありますが、かわりに昼間の電気代が高くなってしまうというデメリットもあります。

スマート電化を導入後は、できるだけ「夜間に電気を使う」ライフスタイルを心がけることで、電気代を抑えることができます。

エコキュートの運転音に対策が必要な場合も

スマート電化の導入に必要なエコキュートの運転音は、一般的に静かだと思われていますが、実は低周波音が発生しています。この低周波音は、昼間は特に気になりませんが、夜間の寝静まった状況だと睡眠妨害などの被害をもたらす場合があります。

そのため、エコキュートを設置する場合は、エコキュートの騒音に対してこちらの記事のような対策が必要です。

IHクッキングヒーターも導入する場合、こんなデメリットも

スマート電化をはじめる際に、エコキュートに加えてIHクッキングヒーターも導入する場合は、以下のようなデメリットにも注意しましょう。

  • IHクッキングヒーターから発生する電磁波が、ペースメーカーに対して悪影響を及ぼす懸念があるといわれています。
  • IHクッキングヒーターで調理をする際、専用の鍋やフライパンなどの調理器具が必要になります。
  • 調理時など、日常生活で火を使う機会が減るため、子供に対して「火が危険」と教える機会を失う恐れがあります。
  • 停電時にガスコンロでお湯を沸かしたり、調理したりすることができなくなってしまいます。

IHクッキングヒーターの詳しいメリット・デメリットは、こちらの記事をご覧ください。

東京電力のスマート電化プラン「スマートライフプラン」の解説

「スマートライフプラン」の特徴

東京電力のスマート電化プラン「スマートライフプラン」の特徴は、設置から10年までのエコキュート、IHクッキングヒーターなどの住宅設備の修理を無制限で受けることができる「住宅設備修理サービス」です。

住宅設備修理サービスの詳細

  • 保証期間:設置から10年
  • 修理回数:無制限(1回の修理につき、上限1台50万円まで)
  • 修理受付:24時間365日

「スマートライフプラン」の料金体系

東京電力のスマート電化プラン「スマートライフプラン」の料金体系は、時間帯を2つに区分し、午前1時から午前6時までの時間帯は電気代が割安に設定されています。

基本料金

契約電力1kWあたり:458.33円

昼間時間(午前6時~翌日午前1時)

1kWhあたりの電力量料金単価(税込):25.80円

夜間時間(午前1時~午前6時)

1kWhあたりの電力量料金単価(税込):17.78円

「スマートライフプラン」の加入条件

東京電力のスマート電化プラン「スマートライフプラン」へ加入するための条件は、「総容量が1kVA以上の夜間蓄熱式機器(エコキュート、電気温水器など)またはオフピーク蓄熱式電気温水器を使用していること」となっています。

東京電力「スマートライフプラン」の加入に必要な住設機器

エコキュート、電気温水器のうちいずれか1つ

東京電力「スマートライフプラン」

関西電力のスマート電化プラン「はぴeタイムR」の解説

「はぴeタイムR」の特徴

関西電力のスマート電化プラン「はぴeタイムR」は、エコキュートなどを設置しているご家庭で加入できる電気プランです。さらに、IHクッキングヒーターなどを設置することで電化割引で5%お得になります。

「はぴeタイムR」の料金体系

関西電力のスマート電化プラン「はぴeタイムR」の料金体系は、季節や時間帯によって電力量料金単価が異なるのが特徴です。

基本料金

  • 最初の10kWまで:2,200円(1契約)
  • 10kW超過時:396円(1kW)

デイタイム(平日10時~17時)

1kWhあたりの電力量料金単価(税込):28.96円(夏季)/26.33円(その他季)

リビングタイム(平日7時~10時、17時~23時/土日祝日7時~23時)

1kWhあたりの電力量料金単価(税込):22.89円

ナイトタイム(毎日23時~翌朝7時)

1kWhあたりの電力量料金単価(税込):15.20円

電化割引

電化割引額 = 割引対象額(基本料金+電力量料金 ※)× 5%
※燃料費調整額は含みません。

「はぴeタイムR」の加入条件

関西電力のスマート電化プラン「はぴeタイムR」へ加入するための条件は「低圧で電気の供給を受け、電灯または小型機器を使用し、デイタイムからリビングタイムまたはナイトタイムへの負荷移行が可能で、かつ、総容量が原則として4kVA以上の夜間蓄熱式機器(エコキュートや電気温水器(370L以上)など)またはオフピーク蓄熱式電気温水器(多機能型ヒートポンプ給湯機など)をご使用される方」となっています。

関西電力「はぴeタイムR」の加入に必要な住設機器

エコキュート、電気温水器(370L以上)のうちいずれか1つ

関西電力「はぴeタイムR」

北海道電力のスマート電化プラン「eタイム3プラス」の解説

「eタイム3プラス」の特徴

北海道電力のスマート電化プラン「eタイム3プラス」は、ヒートポンプ式暖房機やロードヒーティング等を使用している場合、冬期間(12~3月分)に限り電力量料金の「10%」を割引してくれる「暖房融雪割引額」が特徴です。

「eタイム3プラス」の料金体系

北海道電力のスマート電化プラン「eタイム3プラス」の料金体系は、時間帯によって電力量料金単価が異なり、冬期は特定の住設機器を使用している場合「暖房融雪割引額」が適用されます。

基本料金

  • 6kVAまで:2,215.48円(1契約)
  • 7kVA・8kVA:2,724.74円(1契約)
  • 9kVA・10kVA:3,234円(1契約)
  • 10kVA超過時:473円(1kVA)

午後時間(毎日13時~18時)

1kWhあたりの電力量料金単価(税込):40.67円

朝晩時間(毎日8時~13時)

1kWhあたりの電力量料金単価(税込):30.90円

夜間時間(毎日18時~翌朝8時)

1kWhあたりの電力量料金単価(税込):14.63円

料金割引

暖房融雪割引額(冬期間):電力量料金の(燃料費調整前)10パーセント
※ヒートポンプ式暖房機やロードヒーティング等を使用している場合のみ

暖房融雪割引の上限額と割引機器上限容量

  • ヒートポンプ式暖房……1,375円/5kVA
  • ヒートポンプ式暖房+ヒーター式暖房……825円/5kVA
  • ヒートポンプ式ロードヒーティング……880円/5kVA
  • ヒーター式ロードヒーティング……440円/5kVA
  • ヒートポンプ式暖房+ヒートポンプ式ロードヒーティング……1,210円/5kVA
  • ヒートポンプ式暖房+ヒーター式ロードヒーティング……935円/10kVA
  • ヒートポンプ式暖房+ヒーター式暖房+ヒートポンプ式ロードヒーティング……825円/10kVA
  • ヒートポンプ式暖房+ヒーター式暖房+ヒーター式ロードヒーティング……715円/10kVA

「eタイム3プラス」の加入条件

以下の電化機器のうち、いずれか1つ以上を所有していること。

  • ヒートポンプ式給湯機(エコキュートなど)
  • ヒートポンプ式暖房機(温水暖房・エアコンなど)
  • ロードヒーティング

北海道電力「eタイム3プラス」の加入に必要な住設機器

エコキュート、温水暖房、エアコン、ロードヒーティングのうちいずれか1つ以上

北海道電力「eタイム3プラス」

その他、主要電力会社の「スマート電化プラン」について

その他の主要電力会社の「オール電化プラン」についてはこちらの記事をご覧ください。

※その他の主要電力会社……中部電力、九州電力、中国電力、四国電力、北陸電力、東北電力、沖縄電力

スマート電化とオール電化の違い

スマート電化とオール電化は一般的にほぼ同じものであると認識されていますが、実際は全く同じではありません。オール電化には共通の定義がありますが、スマート電化の定義は複数の企業・団体が提唱しており共通していないからです。

まず、共通しているオール電化の定義から見てみましょう。

オール電化の定義

オール電化とは、給湯設備と調理器具、冷暖房をすべて電気で動く製品にして、ガスをまったく使用しない住宅のことをいいます。設置する設備の例としては「エコキュート+IHクッキングヒーター+エアコンor床暖房(電気)」などです。

これに対し、スマート電化の定義は企業・団体により異なります。
各家電メーカー・電力会社に問合せた内容をまとめると、スマート電化の定義は以下のように分かれます。

電力会社が提唱するスマート電化の定義

電力会社(東京電力・関西電力)では、「各電力会社が用意している【スマート電化プラン】へ加入することでスマート電化となる」ということでした。
つまりはスマート電化プラン加入条件である「エコキュート、電気温水器」のいずれかを導入することでスマート電化となります。

三菱電機が提唱するスマート電化の定義

三菱電機では、「オール電化に太陽光発電システムを加えること」ということでした。また、リンナイもサイト上で同様のスマート電化の定義を載せています。

スマート電化普及協議会が提唱するスマート電化の定義

コロナや東芝、日立といった企業が会員になっているスマート電化普及協議会では、「給湯・暖房にヒートポンプ機器を利用した住宅」となっています。

パナソニック

パナソニックでは、スマート電化について特に定義はしておらず、「電力会社がはじめたもの」ということでした。

以上のように、オール電化に対してスマート電化の定義は決まっておりませんが、この記事では「電力会社が提唱するスマート電化の定義」に則って、スマート電化のメリット・デメリットを紹介させていただきました。

ただし、今後はスマート電化の認知度アップと共に、共通の定義が作られていく可能性もありますので、その際はまたこの記事で取り上げたいと思います。