
パワコンで高い信頼度!田淵電機蓄電池「EIBS」の機能と価格
目次
一般の方には、あまり馴染みの少ない「田淵電機」ですが、太陽光発電の分野においては、特にパワーコンディショナーにおいては、大手メーカーを凌ぐ出荷量を誇るメーカーです。そんな田淵電機の住宅用蓄電池はどういったものか、みていきましょう。
田淵電機ってどんな会社?パワコン販売数は大手に匹敵!
田淵電機の歴史は、1925年に大阪で鋼板のプレス加工を行う会社としてスタートしました。1940年には株式会社美登里製作所から、田淵電機へと会社名を変更しトランス・変成器(電圧を上げたり下げたり調整する機械)を作る会社となりました。
そして、再生可能エネルギーの分野に進出してきたのが2002年に、業界初のマルチストリング方式パワーコンディショナーの生産を開始しました。
マルチストリング方式とは
マルチストリング方式とは、太陽光発電システムは基本的には、1個のパワーコンディショナーに対して4枚の直列×4系統、5枚の直列を3系統、など同じ枚数×MAX3~5系統という繋ぎ方をします。
日本の家屋のいびつな形状、特に寄棟屋根の場合などは、同じ枚数でシステムが組めない場合もあり、そういった際に枚数を合わせなくても、昇圧という作業をして電力のバランス調整を自動で行ってくれるパワーコンディショナーのことです。
また田淵電機のマルチストリング方式は、太陽光発電の多入力ポートの高効率という位置づけのみならず、風力、燃料電池、といった複数のエネルギーに対応し独立に制御でき、エネルギー損失を最小限にする役割も持っています。
このマルチストリング方式のパワーコンディショナの製品化、太陽光発電のFIT制度や全量買い取り制度の施行により、産業用を軸に大きな需要を獲得していき、2011年には「Ene Telus(エネテラス)」というブランドを発表し、事業を現在まで拡大してきています。
田淵電機という会社名が一般的には認知度はあまりないかも知れませんが、OEM(他社へ自社の名前を隠して製品を販売する)で様々なメーカーにパワーコンディショナーを供給して、その販売数は大手に匹敵するレベルになっていたり、身近なところではゲーム大手の任天堂にも部品供給を行っているメーカーであります。
田淵電機の蓄電池:EIBS(アイビス)
環境省のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の認定蓄電池の1つとしても、国からの認定も受けている、こちらの田淵電機のアイビスという住宅用蓄電池です。
まず田淵電気ならではの特徴として、自社で太陽光発電を作っていないことから、ほとんどのメーカーの太陽光発電システムと接続することができるようになっていることと、太陽光発電と連携がしやすいハイブリッド型であることが大きな特徴になります。
様々な太陽光メーカーと接続可能
国内メーカーのほとんどの太陽光パネルと接続が可能な蓄電池になっています。そのため、新築は勿論のこと、既に太陽光パネルが家に設置されている方の、蓄電池リフォームにも汎用性があるため重宝されます。(※接続の可否は、メーカーや品番、製造ロッド等によって決まるため事前に調査は必要です)
ハイブリッド型蓄電池
住宅用の蓄電池には大きく分けて2つ種類があり、ハイブリッド型と単機能型と呼ばれるものがあります。何が違いうか?それは停電時に太陽光パネルで作った電気を、有効的に蓄電池に充電できるかどうか?になります。
単機能型は、安価な反面この太陽光パネルとの有効的な連携はできないタイプです。勿論、太陽光が発電している電気を充電することはできなくはないですが、例えば曇ってきたりした際に、リアルタイムに足りない分を蓄電池から住宅側へ補ったり、蓄電池で受け取れる電圧もハイブリッド型に比べると少なくかったりします。
また直流から交流へ変換をするタイプではロスが発生し、当初の発電から1割程無駄になってしまう場合もあります。
その点ハイブリッド型は、太陽光パネルとうまく連携して、これからは「高い電気代をいかに買わないようにするために、蓄電池をうまく活用するか」にピッタリなものになります。
EIBSは4つの運転モード
1日2回の充放電で経済メリット増大!「新機能・スマートモード」
この新機能のスマートモードは1日に2回の充放電ができるモードで、経済メリットを増大することができるモードになります。
国内メーカーの蓄電池は、基本的には1日1度の充放電を想定しているものが多い反面、1日に2回の充放電するスマートモードのメリットは2つあります。
- 朝・夕の「両方の時間帯の自給自足を最大化」できること
- 「安い深夜電力を利用できる」
この両方のメリットを1日に同時に享受できます。
他メーカーの蓄電池は、下記の2つの運転モードのどちらかしか選択できません。
- 太陽光発電で作った電気を、蓄電池へ昼間充電、夕方のみ放電を行うモード。使い切ったら深夜と朝は基本的には稼働せず、翌日晴れたら充電を再開します。(他メーカーではエコモードや環境優先モード等)
- 深夜電力の安い電気を貯めるモード。朝に電気を使ってしまうと、昼間の太陽光で作った電気は売電をするため蓄電池へは充電しません。夕方は少ない状態のまま、という状態になります。(他メーカーでは、経済優先モードや売電優先モード等)
この2点を解決するために、「安い深夜電力を充電して朝に放電」して、さらに「昼間の太陽光パネルで作った余剰電力を蓄電池へためて、夕方に放電」することで、両方のモードの良いところどりができるようになりました。
これによって、朝も夕方~夜も、高い時間帯の電気を買わずに自給自足に近い生活ができるということです。しかし、このモードは蓄電池の良さを最大限使える反面、デメリットとしては2倍の充放電で電池への負担も2倍になり、電池の劣化が倍のスピードになるため寿命が早まります。
太陽光で作った電気を蓄電池に充電「節エネモード」
節エネモードは先ほどの「スマートモード」でも紹介した、太陽光発電で作った電気を売電せず、優先的に蓄電池へ充電するモードになります。
太陽光発電で作った電気を売電せず、優先的に蓄電池へ充電するモードです。このモードは充放電を1日に1回だけです。
売電価格が比較的安い方(20円台)は、売るより自分で消費した方がトクなので、このモードを使っていただくことをおすすめします。
また、このモードがお勧めの方は、
- 日中あまり在宅していない
- 朝方電気をあまり使わない
- 売電価格が20円台
という方になります。
深夜電力を蓄電池へ充電する「ノーマルモード」
こちらのモードは、先ほどとは反対に「安い深夜電力をためて朝や夕方に放電する」モードになります。
このモードは、売電価格が比較的高い方(30円前半以上)がおすすめです。特に40円前後以上で買取を現状してもらっている方は、自分で使ってしまうより売った方がトクなため、このモードをFIT制度の権利失効(設置から丸10年)まで使っていただくことになると思います。
このモードに向いている方は、
- 深夜電力が安いオール電化契約の方(特に深夜の契約単価が10円前半)
- 売電単価が30円前半以上
という方になります。
災害に備え常に蓄電池に充電しておく「蓄電モード」
このモードは、上記の3つとは異なり、万が一の災害や停電時に常に備えて、蓄電池を満充電に保つモードになります。
リチウムイオン電池は自然放電をするため、自動的に昼間は太陽光発電の電気で充電し、夜間は深夜電力から充電をして停電や災害に備えるモードになっています。
停電時の機能
容量は4kWh(初期実行容量3.4kWh)
蓄電容量は4kWhとなっております。停電時に使用されると想定される機器で、例えば液晶テレビ、LED照明、冷蔵庫、スマートフォンの充電で約10~13時間程度の運用が可能になっています。
太陽光発電が連携されていれば、ハイブリッド型の蓄電池の為、晴天時に発電した電気は蓄電に充電することができるので、天気任せになってしまいますが使い切ったら終わり、という訳ではありませんので、ご安心ください。
特定負荷タイプ・最大出力
田淵電機のアイビスは特定負荷の蓄電池になります。
特定負荷とは、停電時に予め電気を供給する部分を決めておいて、そこにしか電気がいかないタイプです。このタイプは停電時の切り替え用の分電盤があり、普段は電力会社からの電気をバイパスして通していますが、停電時には蓄電池からの電力供給側へ切り替えます。
特定負荷に対して、全負荷と呼ばれるタイプの蓄電池もありますが、こちらの蓄電池は家全体に電気を送れるメリットがあります(最大容量は勿論ありますが)。ただし、普段と変わらないため、使い過ぎてしまう危険性もあるため、一長一短でご自身の好みや、生活スタイルに合わせて選択してみてください。
アイビスの最大出力は100Vの2000kVAになります。
普段のコンセントで使える最大電力は1500Wになりますので、これの1.25倍までは使用可能です。200Vの容量の大きいエアコンや、ファンヒーターやドライヤー等の電力を一気に多く使う家電製品を一気に使用することはできませんが、非常時に重要なテレビや、スマートフォンの充電などには十分です。
高耐久な電池品質を有効活用するEIBS
アイビスは、12,000回の充放電を行っても初期容量の約70%の容量を維持する国内メーカーのリチウムイオン電池を使っており、耐久性については高性能な性能を持っています。
先ほどスマートモードの箇所で説明した通り、リチウムイオン電池は充放電を繰り返すと電池が劣化していきます。
ただ、皆さんが想像されるスマートフォンの電池とは異なり、満充電/完全放電させないような工夫が、住宅用蓄電池には各社されています。スマートフォンの電池が、数年で明らかに劣化する原因の1つは、「充電し過ぎ」にあります。
リチウムイオン電池の性質上、100%まで充電してしまうと劣化が早まってしまうため、一般的な住宅用蓄電池は10%~90%の間の、全体の充電容量の80%の中で運用するようになっています。
ただ、アイビスの場合は高耐久の蓄電池を使用しているため、実際に充電容量の約93%で運用を行うことができ、容量を有効的に使うことができます。
その他の機能について
インターネットで電気の見える化
リモコンをインターネットに接続することで、現在蓄電池の残量や、どれだけ発電しているか等の情報がスマートフォンで見ることができます。発電電力をグラフで確認することができ、過去のデータとの比較も可能です。
また機器の故障や系統連携の異常をメールでお知らせしてくれる機能もあり、安心して使っていただける機能があります。
※設置宅に、インターネット環境と常時接続ルーターが必要です
HEMS規格に対応
HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)のECHONET Liteに対応しており、各種HEMSでの計測ができるようになっております。
出力制御への対応
出力制御とは、地域で太陽光発電の供給が需要に対して多すぎる場合に、発電をしていても送電網の側で電気が受け取れない場合があります。
その際に、蓄電池がないと売電ができず無駄になってしまいますが、アイビスがあれば出力制御されて無駄になる分を、蓄電池へ充電して無駄を最小限にできます。
保証について
田淵電機のアイビスの保証は、有償保証制度となっております。詳細金額はカタログ等に記載がありませんでしたが、10年プラント15年プランがあります。(15年は蓄電システムパッケージでの購入に限る)
各保証の内容は、初期容量の60%までの蓄電容量の保証と、製品機器の保証なっております。
EIBSの製品詳細と価格
- 品番:PKG-EHD-S55MP3B
- 容量:4kWh(初期実行容量3.4kWh)
- 充電電力:最大2.0kW
- 放電電力:最大2.2kW
- 蓄電池重量:85kg
- 設置場所:パワコンは屋外想定・リチウムイオン電池は屋外屋内可
- 外形寸法:幅476mm×高850mm×奥行305.5mm(蓄電池ユニット)
- 価格:オープン価格