蓄電池の種類は?太陽光と連携可能な機種や工事不要のタイプも

家庭用蓄電池は、停電時に長時間電気を使いたい(系統連系型)や、太陽光発電と無駄なく連携したい(創蓄連携)、工事なしで室内に設置したい(コンセント接続型)、電気自動車を活用したい(V2H)といった用途に合わせて、最適な種類を選択可能です。

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蓄電池の種類は?太陽光と連携可能な機種や工事不要のタイプも

目次

家庭用蓄電池の種類は大きく分けて4つ

家庭用蓄電池(家庭の家電に電力を供給する蓄電池・蓄電システム)は、

大まかに分けて

が存在します。

大容量でスタンダードな「系統連系型」蓄電池

現在の主流となっているのは、系統連系型の蓄電池です。「系統連系型」というのは聞き慣れない言葉かもしれませんが、屋外に設置して使用するタイプの蓄電池で、「定置型」などとも呼ばれます。

なお「系統接続」とは、電力会社で発電した電気を電線を使って送ったり、各家庭に配ったりする「電力系統システム」に、蓄電池を接続することを指します。「系統接続」を行うことによって、電力会社の電気を直接、蓄電池に貯めることができるようになります。

系統連系型は太陽光発電と接続可能

系統連系型(定置型)蓄電池は、太陽光発電とも連携が可能です。

卒FIT(売電10年目で終了の人)で自家消費型へ移行する人にもオススメ

たとえば、次の項目で紹介するコンセント接続型蓄電池では不可能な、「太陽光発電で創った電気を蓄電池に直接充電する」といったこともできます。

これによって、卒FIT(売電10年目で終了の人)をきっかけに「自家消費型太陽光発電」へ移行した人でも、自宅で使いきれなかった余剰電力を貯めておき、太陽光発電が発電できない時間帯に使用することで「エネルギーの自給自足」に近づけることもできます。

「押し上げ効果なし」でシングル発電を維持可能

系統連系型蓄電池の中には、「押し上げ効果あり」の機種と、「押し上げ効果なし」の機種が存在します。

「押し上げ効果」というのは、太陽光発電が電気を創っている時間帯に、蓄電池の電気を利用して家庭内の消費電力をまかなうことで、「太陽光発電の売電量を増やす(押し上げる)効果」という意味です。また、この「押し上げ効果」を利用して売電料を増やすと、「ダブル発電」という扱いになり、2018年以前に太陽光発電を設置されているご家庭ではFIT(固定価格買取制度)の売電単価が下がってしまいます。

そのため、2018年度以前に太陽光発電を設置した人は、「押し上げ効果なし」の蓄電池を選ぶことで、売電価格が下がる「ダブル発電」になるのを回避することができます。

「押し上げ効果あり」ならダブル発電も可能

上記でもご説明したましたが、「ダブル発電」とは「押し上げ効果あり」の蓄電池に電気代が安い夜間の電気を貯めておき、日中に家庭内で使用する電力は貯めておいた蓄電池の電気でまかない、太陽光発電で売電できる電力量を増やすというものです。

「ダブル発電」の売電単価は、2019年度からシングル発電と同じ「24円」に設定されています。そのため、2019年以降に太陽光発電を設置する場合は、「押し上げ効果あり」の蓄電池でダブル発電にしたほうがお得です。

太陽光発電とより無駄のない連携を望むなら「創蓄連携」

上記のとおり、系統連系型の蓄電池でも太陽光発電との連携は可能ですが、太陽光発電で創った電気を蓄電池に貯める際、それぞれのパワーコンディショナーを通す必要があるので、6~10%の変換ロスが発生します。

「創蓄連携システム」なら、この変換ロスを無くすことができますので、太陽光発電とより無駄のない連携を希望される方にオススメです。

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「特定負荷型」と「全負荷型」の2種類がある

「系統連系型」蓄電池には、「特定負荷型」と「全負荷型」の2種類があり、それぞれ停電時の電気供給に違いがあります。

「特定負荷型」は特定家電にだけ電気を供給

「特定負荷型」蓄電池は、停電が起こるとあらかじめ選んでおいた特定の家電にだけ電力を供給します。たとえば、一階のリビングの電気と台所の冷蔵庫などを選んでいた場合、その他の家電の電気は使用することができません。

「特定負荷型」蓄電池の場合は、停電時にあらかじめどの家電を使うか?を決めておく必要があります。また、「停電時出力」が100Vの機種が多いため、200Vの家電(IHクッキングヒーターや一部の畳数が大きいエアコン)は動かすことができません。

「全負荷型」は家全体に電気を供給

「全負荷型」蓄電池は、停電が起こると家全体の電力を瞬時にバックアップするため、すべての家電を使用することができます。そのため、「特定負荷型」蓄電池のように、どの家電を動かすべきか頭を悩ませる必要もありません。

ただし、一部のエアコンやIHクッキングヒーターなど200Vの家電を動かすためには、「停電時出力」が200Vの蓄電池を選ぶ必要があります。また、家全体の電力が使えるといっても、蓄電池の「定格出力」を超える量の家電は同時に動かせません。

工事が必要な系統連系型(定置型)

系統連系型蓄電池の特徴は、導入にあたって設置工事や電気系統工事が必要になることです。

まず設置工事ですが、こちらは「基礎工事」を行った上で「蓄電池設置」を行います。また、「幅100cm×奥行30cm×高さ120cm程度」のスペースを確保する必要があります。

電気系統工事は、蓄電池の配線などに関する工事で、「専用分電盤取り付け」、「配線工事」、「モニター取り付け」、「太陽光発電との接続連携」などがあります。

系統連系型(定置型)のメリット

大容量な機種が多く停電時も電気を長時間使用できる

系統連系型(定置型)蓄電池は、「コンセント接続型蓄電池」に比べて大容量な機種が多く、停電が起きた場合でも長時間、電気を使用することができるので安心です。

なお、実際に停電が起きた場合に消費する1日あたりの電力は5,500W(5.5kW)程度ですので、5kWhの蓄電池なら約1日、10kWhの蓄電池なら約2日ほど電気をまかなうことが可能です。

いざ停電になったとき、蓄電池の電気だけでどのくらい保つのかについて、さらに詳しくはこちらの記事をご覧ください。

電気代を削減可能

系統連系型(定置型)蓄電池は、電力会社から夜間の安い電力を購入して蓄電池に貯めておき、昼間に使用することで電気代を削減することが可能です。

停電時でも、同時にたくさんの家電を動かせる

系統連系型(定置型)蓄電池は、コンセント接続型にくらべて蓄電池のスペックのひとつである「定格出力」や「定格電圧」の値が大きいため、同時にたくさんの家電を動かすことができます。

太陽光発電で創った電気を蓄電池に貯められる

太陽光発電を設置している場合、太陽光発電で創った電気を系統連系型蓄電池に貯めることができます。これによって、非常時でも太陽光発電が創った電気を家庭内で使用し、使いきれなかった余剰電力を蓄電池にためておいて夜間に使用することで、停電が長引いても電気を使用した生活を送ることができます。

補助金を利用することができる

系統連系型蓄電池は今でも非常に高額ですが、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)や地方自治体から交付されている補助金を利用することで、お得に購入することができます。

停電時でも自動で通電してくれる

停電時に家全体の家電に電力を供給する「全負荷型」は、停電時に自動で家全体の電気をバックアップしてくれます。バックアップにかかる時間もほぼ一瞬ですので、停電後に「暗くてなにもできない」といった状態も防げます。また、200Vの家電を動かすことができる機種が多いため、IHクッキングヒーターや一部の畳数が大きいエアコンも動かすことができます。

なお、「特定負荷型」蓄電池の場合、あらかじめ設定しておいた家電にだけ、停電時に自動で通電を行ってくれます。

系統連系型(定置型)のデメリット

初期費用(商品代+工事費)が高額

系統連系型(定置型)蓄電池とデメリットは、初期費用がコンセント接続型よりも高額なことが挙げられます。その理由は、「容量が大きいこと」と「設置工事費用が必要なこと」が原因です。

現在、家庭用蓄電池は容量が大きくなるほうが高額になる傾向があり、5kWhと10kWhの蓄電池では1.5~2倍くらいの価格差があります。また、設置工事費用は「約20万~約40万円」が相場です。

  • 容量5kWh前後:税込90万円前後
  • 容量10kWh前後:税込150~200万円前後
  • 設置工事費用:約20~40万円

導入のために工事が必要

系統連系型(定置型)蓄電池は、コンセント接続型のように、購入したらすぐ使えるというわけではありません。使えるようになるためには設置工事が必要なので、コンセント接続型よりも手間と工事費用が余計にかかります。

一度設置したら移動できない

系統連系型(定置型)蓄電池は重量が重いので、一度設置した場所から移動することや持ち運びすることは基本的にできません。どうしても移動の必要がある場合は、設置を頼んだ業者へ依頼しましょう。

代表的な「系統連系型」蓄電池

伊藤忠商事「スマートスターL」

  • 容量:9.8kWh
  • 定価:2,850,000円(税別)
  • 保証期間:10年間/充電可能容量60%以上を保証

ニチコン「ESS-H1L1」

  • 容量:12kWh
  • 定価:4,200,000円(税別)
  • 保証期間:15年間/充電可能容量50%以上を保証

コンセント接続型蓄電池は、「スタンドアロン」型や「据え置き」型、「ポータブル」型とも呼ばれる蓄電池で、小型で自宅のコンセントに差して使用することができます。また、「ポータブル」型には持ち運びも可能なタイプも存在します。

工事不要で使用できるコンセント接続型

スタンドアロン型やポータブル型とも呼ばれる「コンセント接続型」蓄電池の最大の特徴は、設置工事が不要で家の中のコンセントに電源を差せばすぐに使用できるという点です。

系統接続(据え置き・定置)型の蓄電池が屋外に置くタイプが多いのに比べて、コンセント接続型の蓄電池は屋内に置くことができます。例えば、リビングのちょっとしたスペースなどに設置することも、小型のタイプが多いので可能です。

また、蓄電池の足にキャスター(車輪)がついていて、簡単に移動できる機種あります。家庭だけでなく、会社のノートパソコンやお店のレジなどの電源確保にも使用されている場合があります。

コンセント接続型と太陽光発電は接続不可

コンセント接続型蓄電池は、太陽光発電で創った電気を貯めることはできません。

そのため、太陽光発電を設置しているご家庭や、蓄電池と一緒に太陽光発電を設置しようと思っているご家庭は、コンセント接続型蓄電池よりも「系統連系型蓄電池」か「創蓄連携システム」を導入したほうが良いでしょう。

※ただし、例外としてパナソニック「LJ-SF50B」など一部の機種では、停電時に条件を満たすことで太陽光発電からの充電が可能な場合もあります。

>>系統連系型蓄電池はコチラ

>>創蓄連携システムはコチラ

コンセント接続型のメリット

設置工事が不要ですぐ使える

コンセント接続型蓄電池のメリットは、工事が不要で購入してからコンセントに繋げばすぐに使用が可能になることです。

定置型よりリーズナブル

コンセント接続型は、小型で容量が小さい上に工事費も不要なので、系統接続(据え置き・定置)型の蓄電池よりも低価格で購入することができます。

室内の空スペースを活用できる

コンセント接続型は、小型で屋内設置可能な機種が多いので、部屋の中のちょっとしたスペースや、階段の裏のデッドスペース等にも設置が可能で邪魔になりません。

コンセント接続型のデメリット

容量が小さい(5kWh以下が主流)

コンセント接続型蓄電池のデメリットは、系統連系型の蓄電池に比べて容量が小さいことです。系統連系型は10kWh以上の機種も多くありますが、コンセント接続型は5kWh以下が主流となっています。

容量が小さいため、停電時もあまりたくさんの電気を長時間使用することはできません。

停電時に同時に使用できる家電の数が少ない

コンセント接続型は、同時に家電を使用できる容量も系統連系型の蓄電池に比べて少なく、電源も100Vの機種がほとんどなので、200VのIHクッキングヒーターや畳数が広いエアコンといった200V電源の家電は動かすことができません。

太陽光発電との連携ができない

コンセント接続型の蓄電池は、太陽光発電で創った電気を貯めることはできません。

ただし、例外としてパナソニック「LJ-SF50B」など一部の機種では、停電時に条件を満たすことで太陽光発電からの充電が可能な場合もあります。

停電時に自動で家電に電気を送ることができない

コンセント接続型の蓄電池は、系統連系型の「全負荷型」や「特定負荷型」のように、停電時に家全体の電力をカバーすることや、特定の家電に自動で電気を送ったりすることができません。

代表的な「コンセント接続型」蓄電池

パナソニック「LJ-SF50B」

  • 容量:5kWh
  • 定価:1,280,000円(税別)
  • 保証期間:7年間/定格容量60%以上を保証

太陽光発電との連携に優れた「創蓄連携システム」

「創蓄連携システム」とは、太陽光発電と蓄電池を連携させて、発電と蓄電の無駄を減らす画期的な技術です。ここでは、そんな「創蓄連携システム」の仕組みやメリット・デメリットについてご紹介していきます。

太陽光発電と蓄電池を無駄なく連携させる「創蓄連携」

「創蓄連携システム」は、太陽光発電と蓄電池のパワーコンディショナーを一体化した「パワーステーション」と呼ばれる機器によって制御されています。パワーコンディショナーが一体化することによって、従来のシステムで発生していた「変換ロス」を抑えることができるようになりました。

従来のシステムの場合

創蓄連携ではなく、太陽光発電と蓄電池を「併設しただけ」の場合、パワーコンディショナーは太陽光発電と蓄電池それぞれに必要になります。そして、太陽光発電で創った電気を蓄電池へ送る場合などに、それぞれのパワーコンディショナーで直流電気と交流電気の変換をする必要があり、そのたびに3~5%の変換ロス(損失)が発生していました。

  1. 太陽光発電で創った「直流」電気を、パワーコンディショナーで「交流」電気に変換して分電盤へ送る。(3~5%のロス)
  2. 分電盤から「交流」電気を蓄電池へ送る。
  3. 蓄電池のパワーコンディショナーで、「交流」電気を直流に変換する。(3~5%のロス)

創蓄連携システムの場合

創蓄連携システムの場合、太陽光発電と蓄電池のパワーコンディショナーを一体化させることによって、太陽光発電で創った直流電気を、そのまま蓄電池へ貯めることが可能となりました。

これにより、太陽光発電から蓄電池へ電気を貯める場合は、従来システムで発生していた変換ロスが無くなり、発電した電気をより無駄なく運用することができるようになりました。

  1. 太陽光発電で創った「直流」電気を、「パワーステーション」へ送る。
  2. 「パワーステーション」から「直流」電気を蓄電池へ送って貯める。

創蓄連携システムは太陽光発電と一番無駄なく接続可能

上記でご紹介した通り、創蓄連携システムは太陽光発電と蓄電池を連携させるために生まれたようなシステムです。

そのため、もちろん太陽光発電との相性はバッチリで、系統連系型蓄電池のときに太陽光発電から蓄電池へ電気を貯める際に発生していた3~5%の「変換ロス(損失)」も解消されています。

創蓄連携のベストな導入タイミングはパワコン買い替え時

ただし、価格は系統連系型蓄電池やコンセント接続型蓄電池よりも高い傾向にあります。また太陽光発電に後付けする場合、太陽光発電の接続箱とパワーコンディショナーは廃棄され、創蓄連携システム用のものが新たに設置されますので、パワーコンディショナーを交換するタイミング(10年程度)で創蓄連携システムへ切り替えるのがベストだと思います。

その他、創蓄連携システムの詳しいメリットなどは次の項目をご覧ください。

創蓄連携システムのメリット

太陽光発電と連携時の「変換ロス」を無くすことができる

創蓄連携システムの最大のメリットは、従来の蓄電池・太陽光発電の連携で発生していた6~10%程度の変換ロスを無くすことができる点です。これにより、太陽光発電で創った電気を無駄なく活用できるようになります。

電気代を節約できる

創蓄連携システムを導入により、昼間は太陽光発電で創った電気を使用し、太陽光が発電できない朝や夕方などは蓄電池の電気を使用することで、電力会社からの買電量を減らし電気代を節約することが可能となります。

停電が長引いても電気を使用し続けられる

創蓄連携システムを導入すると、停電時でも昼間は太陽光発電で創った電気を使用し、夜はあらかじめて貯めておいた蓄電池の電気を使用することで安心して電気を使用可能になります。

また、停電が長引いた場合でも、家庭内で使用しきれなかった太陽光発電の「余剰電力」を蓄電池に貯めて使用することで、電気の自給自足が可能となるので安心です。

メーカーによっては「HEMS」により電力の見える化も可能

メーカーによっては、創蓄連携システムに「HEMS」が含まれいます。「HEMS」とは電力の使用状況や、太陽光発電による発電状況、蓄電池に貯まっている電気の残量などが、モニターでひと目で分かるようになるシステムです。

「HEMS」によって、蓄電池の導入による電気代削減効果などがわかりやすくなるので、節電や省エネのモチベーションを高めることにも役立ちます。

創蓄連携システムのデメリット

初期費用が高額

創蓄連携システムのデメリットとしては、太陽光発電が未設置の場合は新たに太陽光発電を設置する必要があるため、蓄電池のみを購入する場合に比べて初期費用が高額になってしまう点が挙げられます。

現在の接続箱とパワコンは廃棄する必要がある

太陽光発電が既に設置されている場合は、既存の接続箱とパワーコンディショナーを廃棄し、新たに創蓄連携システム用の接続箱とパワーコンディショナーを設置する必要があります。パワーコンディショナーの交換時期である10年程度が経過していれば問題ないですが、設置して数年も経たないうちだと少しもったいないかもしれません。

代表的な創蓄連携システム

パナソニック「創蓄連携システム(LJB1156)」

  • 容量:11.2kWh(5.6kWh✕2台)
  • 定価:2,980,800円(税別)
  • 保証期間:10年間/充電可能容量60%以上を保証

シャープ「クラウド蓄電池システム(JH-WB1821)」

  • 容量:8.4kWh
  • 定価:549,800円(税別)
  • 保証期間:10年間/充電可能容量60%以上を保証

電気自動車を蓄電池として使う「V2Hシステム」

V2Hは、簡単に言ってしまうと電気自動車を蓄電池がわりとして使用するシステムになります。通常の電気自動車(V2H非対応)の場合は、家庭内の電気で電気自動車を充電することはできますが、電気自動車の電気を家庭内で使用することはできません。

V2Hシステムを利用することで、電気自動車に貯まっている電気を家庭内で使用したり、太陽光発電で創った電気を電気自動車に充電するなど、電気自動車を蓄電池のように使用することが可能となります。

V2Hシステムで可能なこと

  • 自宅の電気を電気自動車へ充電できる
  • 電気自動車の電気を自宅で使用できる
  • 太陽光発電で創った電気を電気自動車に充電できる
  • 夜間の割安な電気で電気自動車の充電ができる

ちなみにV2Hは「Vehicle to Home」の略称で、「車(Vehicle)から家(Home)へ」という意味になります。

V2Hシステムの仕組み

V2Hを実現するためには、V2Hに対応した電気自動車が必要です。現在発売されている車種はそれほど多くありませんが、今後増えていくことが期待されています。

また、V2Hに欠かせないのが「EV用パワーコンディショナー」と呼ばれる機器です。

EV用パワーコンディショナーで直流から交流に変換

電気自動車に貯まっている電気は直流電流です。一方、家庭内の家電などで使用する電気は交流電流となり、そのままでは使えません。

「EV用パワーコンディショナー」は、電気自動車に貯まっている直流電流の電気を、家庭内で使用できる交流電流の電気に変換する働きをもっています。これにより、従来は不可能だった「電気自動車に貯めた電気を家庭内で使用する」といったことが可能となります。

なお、「EV用パワーコンディショナー」は、メーカーによって「EVパワーステーション」などと呼ばれることもあります。

V2Hシステムのメリット

V2Hシステムを導入するメリットは次のとおりです。

普通の蓄電池よりも大容量!

V2Hシステムで蓄電池の代わりとなる電気自動車は、普段は車として運用されるため、通常の蓄電池よりも容量が大きいという特徴があります。

以下、主要なV2H対応の電気自動車の電池容量ですが、

  • 日産「リーフ」:電池容量40kWh
  • 日産「ノート e-POWER」:電池容量40kWh
  • 三菱自動車「i-MiEV」:電池容量16kWh
  • 三菱自動車「アウトランダーPHEV」:電池容量13.8kWh

このようになっています。

もっとも容量が少ない三菱自動車「アウトランダーPHEV」ですら、大容量蓄電池(12kWh程度)に匹敵する電池容量を持っています。

容量が大きければ、それだけ停電時に長時間の電気を使用することができるため、「もしも」の停電時に重宝するでしょう。

自動車と蓄電池2つの役割を担える

家庭用蓄電池は、当然ですが電気を貯める蓄電池の役割しか果たせません。しかし、V2Hシステムならば、電気自動車を「乗り物」と「蓄電池」2つの役割で活用することができます。

しかも、家庭用蓄電池も電気自動車と変わらないくらい高額ですので、乗り物としての活用もできるV2Hのほうがお得という考え方もできると思います。なお、V2Hシステムには電気自動車の他に「EV用パワーコンディショナー」を購入する必要もありますが、こちらは最近40万円程度の安いタイプのものも出始めています。

停電時も電気が使える

V2Hシステムを導入することで、定置型やコンセント接続型の蓄電池と同じように停電時でも電気を使用できるようになります。そのため、災害時など突然の停電でも電気が使えるので、普段と同じように生活することが可能です。

ただし、電気自動車だけですと貯められる電気に限りがあるので、太陽光発電と一緒に使用すると、長期間の停電でも安心です。

電気代の削減になる

オール電化プランを契約しているご家庭では、夜間の安い電力を電気自動車に貯めておき、電気代が高い昼間に使用して電気代を削減することができます。

また、太陽光発電を設置しているご家庭では、太陽光発電で創った電気を電気自動車に貯めておき、太陽光発電が発電できない朝方や夕方に電気自動車の電気を使用することで、電力会社からの買電量を減らすことが可能です。

「ピークシフト」にも貢献可能

夏場など電力使用が多くなる季節では、電気の「ピーク時間帯」というものが設けられています。ピーク時間帯は電力会社ごとに違いますが、東京電力では「夏季の平日(土曜日を含みます)の午後1時から午後4時まで」と定められており、その他の電力会社も大体同じ時間帯です。

このピーク時間帯に電力の使用が集中しすぎると、電力の供給が追いつかなる場合があります。それを防ぐためには、ピーク時間帯の電力消費を蓄電池や太陽光発電でまかなう「ピークシフト」をおこなう必要があります。

V2Hシステムも蓄電池などと同様にこの「ピークシフト」に貢献することが可能です。また「ピークシフトプラン」に加入しているご家庭では、電気代が極端に高くなる「ピーク時間帯」の買電を避けることで、電気代の節約につげることもできます。

V2Hシステムのデメリット

電気自動車の他にEVパワーステーションの購入が必要

V2Hシステムは、電気自動車の他にもEVパワーステーションを購入する必要がありますので、通常の蓄電池よりも出費は大きくなります。

電気自動車とEVパワーステーションの価格の目安は以下の通りです。

  • 電気自動車:190~267万円(日産「ノート e-POWER」)
  • EVパワーステーション:40~90万円

※価格は税別です。

ただし、電気自動車の普及や蓄電池の需要拡大によって、今後は価格競争が進み、もっとリーズナブルな車種や機種が発売される可能性もあります。

駐車場が必要になる

V2Hシステムは、電気自動車を導入するための駐車場が必要となります。そのため、駐車スペースがある一軒家でないと導入することができません。

また、駐車スペースの他にも、EVパワーステーションを設置するためのスペースも確保する必要があります。

運転している間は蓄電池として使用できない

電気自動車を運転している間は、当然ですが蓄電池としての役割は果たせません。

そのため、電気自動車を頻繁に運転する予定の人は、「昼間に電気自動車の電気を家庭内で使用して電気代を削減する」といった使い方は難しいかもしれません。

代表的なV2H対応の電気自動車

V2Hに対応した電気自動車は、現在のところ以下の車種が発売されています。

  • 三菱自動車:i-MiEV、MINICAB-MiEV、MINICAB-MiEV Truck、アウトランダーPHEV
  • 日産自動車:リーフ、e-NV200

まだ車種は少ないですが、今後も新しい電気自動車がどんどん発表されることが期待されています。

今後は格安の家庭用蓄電池が続々登場?!

2019年から始まる卒FIT(FIT10年目で売電が終了すること)により、蓄電池の需要が今後高まることが見込まれています。これに合わせて、各メーカーからこれまでより安価な家庭用蓄電池が続々登場することが期待されています。

実際に、定価99万円(税別)の「パワーウォール2」という蓄電池の発売がテスラ社から予定されています。また、ニチコンは2019年1月から定価39万8千円(税別)という低価格のV2Hシステムを発売しています。(V2Hシステムとは、太陽光発電と電気自動車を繋ぐシステムのこと)

このように、今後も続々と低価格でお求めになりやすい家庭用蓄電池が登場すると思いますので、期待して発表を待ちましょう。

リチウムイオン以外も!様々な蓄電池の種類

家庭用蓄電池などで使用されている「リチウムイオン電池」は有名ですが、実はそれ以外にも様々な蓄電池が存在しています。

ここでは「リチウムイオン電池」、「鉛蓄電池」、「ニカド電池」、「ニッケル水素電池」、「NAS電池」についてご紹介していきます。

家庭用蓄電池で使われている「リチウムイオン電池」

現在、ほとんどの家庭用蓄電池で使用されているのが、この「リチウムイオン電池」です。小型化や高密度化に優れており、電池内の充電状態や残りの容量が把握しやすく扱いやすいのが最大の特徴です。

そのため、家庭用蓄電池だけではなく、スマートフォンやノートパソコン、電気自動車のバッテリーなどでも利用されています。

非常用電源などに使われる「鉛蓄電池」

「鉛蓄電池」は、蓄電池の中でもっとも歴史が長く、開発されたのは1859年までさかのぼります。安価で多くの使用実績があり、現在もフォークリフトなどの電動車用主電源や非常用電源として用いられています。

電動工具用蓄電池などに使われる「ニカド電池」

「ニカド電池」は自然放電(蓄電池の容量が自然に減少する現象)が大きいため、長時間稼働させる機械には向いていません。そのかわり、短時間で高出力が必要となるモーター等には最適です。

また、放電で電圧がほぼゼロになっても、充電と放電を数回繰り返すだけで容量の回復が可能なため、現在でも電動工具やラジコンの蓄電池として利用されています。

乾電池などに使われる「ニッケル水素電池」

1990年に実用化された「ニッケル水素電池」は、欠点の多かった「ニカド電池」の代わりとして普及しました。高容量のため、携帯機器の電源としても使用されましたが、リチウムイオン電池の登場によって需要は減っていきました。

なお、現在でもハイブリッド車の蓄電部や、乾電池などで使用されています。

工場のバックアップ電源に使われる「NAS電池」

「NAS電池」は非常に効率よく充放電を行える蓄電池ですが、硫黄とナトリウムを使用しているため、運用する場合は専門家(危険物取扱者)のもとで行う必要があります。

そんな扱いが難しい「NAS電池」は、工場などの大規模施設にてバックアップ電源などとして利用されています。また、将来的には再生可能エネルギーの出力安定化のための利用が期待されています。