リチウムイオン蓄電池の寿命は何年?メーカー別に耐用年数を比較

家庭用蓄電池の寿命を表す「サイクル回数」の意味や、耐用年数の導き方を紹介。また、パナソニックやシャープ、京セラなどメーカー別の寿命や保証年数を比較。「25度を超えない場所に設置する」「充電をこまめに行う」など、蓄電池の寿命を伸ばす方法も。

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リチウムイオン蓄電池の寿命は何年?メーカー別に耐用年数を比較

目次

蓄電池の寿命を表す「サイクル回数」

蓄電池の寿命を表すのに使われるのが、「サイクル回数」です。蓄電池の寿命を理解するためには、まずこの「サイクル回数」について知る必要があります。

「サイクル回数」とは「満充電から完全放電」をした回数

「サイクル回数」とは、「満充電から完全放電までを行った回数」のことを指しています。満充電と完全放電の意味は以下をご覧ください。

  • 満充電:蓄電池に残量100%まで充電すること
  • 完全放電:蓄電池が残量0%になるまで放電すること

つまり、100%まで充電した蓄電池を0%まで放電して完全に電気を使い切った状態が「1サイクル」としてカウントされます。

ただし、正確にはメーカーごとに定められている「放電深度」によって、「1サイクル」の定義が変わります。

メーカーごとに変わる「放電深度」

「放電深度」とは、簡単に言うと1サイクル時に「蓄電池を何%まで放電するか」を表す値です。

たとえば、蓄電池の寿命を「6000サイクル」と表記しているメーカーがあったとします。ここで当然、1サイクルは「満充電(100%)から完全放電(0%)」までと思いますが、このメーカーの「放電深度」が80%だった場合、「満充電(100%)から残量20%までの放電」が1サイクルということになります。

この「放電深度」はメーカーによって異なり、放電深度が100%でサイクル回数を出しているメーカーもあれば、80%で出しているメーカーもあります。

蓄電池の寿命は「放電深度」込みで見るべき

上記の通り、蓄電池の寿命を表す「サイクル回数」には「放電深度」という概念があり、その「放電深度」はメーカーごとに異なります。

ここで重要なのは、「サイクル回数が多くても、放電深度が低ければあまり意味がない」という点です。たとえば容量10kWhで、「3000サイクルで放電深度100%」の蓄電池Aと「3000サイクルで放電深度80%」の蓄電池Bがあったとします。どちらも「3000サイクル」で寿命は一緒ですが、蓄電池Bのほうは実質的に使える容量は「8kWh」ということになってしまいます。なぜなら、蓄電池Bは残量20%を見越した寿命なので、20%以下まで放電した場合は蓄電池が劣化して「3000サイクル」を下回る可能性が高いためです。

家庭用蓄電池で使用されるリチウムイオン電池は、基本的に0%まで完全放電すると劣化が早くなってしまいます。そのため、放電を残量20%で止めておけば、より長く使用できるようになるわけです。

なお、「放電深度」はカタログにも記載されていないケースが多いので、気になる方はメーカーに問い合わせてみましょう。

「サイクル回数」から寿命年数を割り出せる

上記でご紹介した「サイクル回数」を元に、大まかな寿命年数を割り出すこともできます。「サイクル回数」は、1日1回の充放電を元にしていますので、

寿命年数=サイクル回数÷365

で導き出すことができます。

サイクル回数が5000回の蓄電池の場合は、

5,000÷365=13

で、「約13年」が寿命ということが分かります。

ただし、蓄電池のサイクル回数もあくまで目安ですので、必ずしも上記の期間使用できることを保証するものではありません。

※急速充電に対応した一部メーカーでは、1日2回充電を想定している場合もあります。詳しくはメーカーのカタログなどをご覧いただくか、メーカーへお問い合わせください。

※上記の計算方法で導き出した寿命は、あくまで蓄電池のバッテリー寿命です。バッテリー以外の部品の劣化などにより、上記の寿命より早く蓄電池が故障することはありえます。

蓄電池は寿命を過ぎても使用可能?!

「寿命(サイクル回数)が過ぎた蓄電池は使えなくなる」と思っている人も多いかもしれませんが、実はそうではありません。寿命(サイクル回数)を過ぎても、蓄電池の最大容量が少なくなるだけで、使用自体に問題はありません。

寿命をむかえた蓄電池の容量は10~50%減少

寿命(サイクル回数)が過ぎた蓄電池は、メーカーによって異なりますが、大体10~50%ほど最大容量が減少します。元々10kWhの蓄電池を使用していたとしたら、9~5kWhまで減少してしまうということになります。

寿命後も蓄電容量は減り続ける

寿命が過ぎて容量が10~50%減少してしまった蓄電池でも使い続けることは可能ですが、容量は減り続けてしまいます。どのくらいの容量が残っていれば良いかは使用用途などによって違うので一概には言えませんが、一つの目安として非常時に備えるのであれば「5kWh」は最低限あったほうが良いでしょう。

というのも、長時間の停電になった場合、LED照明や食材を腐らせないための冷蔵庫、情報収集のための携帯充電器、テレビ、パソコンなど、最低限の家電を使用したと想定しても、「約5,500W」は使用するためです。そのため、蓄電池の容量が最低でも「5kWh」は残っていないと、1日も保たずに容量が無くなってしまうことになります。

劣化した蓄電池は危険な可能性もある

劣化した蓄電池は、電気の流れが内部でうまくいかずに発火する恐れがあります。
発売されているメーカーの蓄電池は、発火しないよう異常検知の機能はほとんど付帯されていますので、いきなり爆発したりする可能性はきわめて低いですが、劣化したものを無理矢理使っていたりすると、そういった可能性が僅かながらあります。

寿命が来た蓄電池は「買い替え」がオススメ

使用している蓄電池が寿命をむかえたら、蓄電池の「バッテリーのみ」を交換するか、蓄電池の「本体まるごと交換」かを選ぶことができます。
「バッテリーのみの交換」はメーカーにより対応が異なり対応できるメーカーと、対応できないメーカーがあると想定され、後者の方が多数と想定されますので、基本的には買い換えることになると思われます。

しかし、今から蓄電池を購入して、寿命をむかえるのは早くても10年後くらいですので、その頃には蓄電池の本体価格は多少下がっていると予想できます。そのため、蓄電池が寿命をすぎて容量が劣化したら、買い替えたほうが無難かと思います。

各メーカーの蓄電池の寿命

家庭用蓄電池の寿命を表すサイクル回数は、メーカーや機種ごとに異なります。ここでは、メーカーごとの「サイクル回数」と、サイクル回数から算出した「寿命年数」、また「容量保証」の年数や条件についてご紹介していきます。

パナソニックのコンセント接続型蓄電池の寿命は3,000サイクル(8年)

パナソニックのコンセント接続型蓄電池「LJ-SF50B」の寿命は「3,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約8年」程度となっています。

容量保証は7年
パナソニックのコンセント接続型蓄電池「LJ-SF50B」の容量保証は「7年間」で、蓄電池の最大容量が「60%」以上を保証しています。

もし、7年以内に蓄電池の最大容量が60%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:パナソニック
  • 型番:LJ-SF50B
  • 定格容量:5kWh
  • 実質容量:不明
  • サイクル数:3,000回
  • 放電深度:不明
  • 寿命年数:8年
  • 保証年数:7年
  • 保証容量:60%以上

パナソニックの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

パナソニックの創蓄連携システムの寿命は10,000サイクル(27年)

パナソニックの創蓄連携システム「LJB1156」の寿命は「10,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約27年」程度となっています。

ただし、バッテリー以外の部品の劣化などにより、10~15年程度で蓄電池が故障してしまう場合もあります。

容量保証は10年
パナソニックの創蓄連携システム「LJB1156」の容量保証は「10年間」で、蓄電池の最大容量が「60%」以上を保証しています。

もし、10年以内に蓄電池の最大容量が60%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:パナソニック
  • 型番:LJB1156
  • 定格容量:5.6kWh
  • 実質容量:4.5kWh
  • サイクル数:10,000回
  • 放電深度:60%
  • 寿命年数:27年
  • 保証年数:10年
  • 保証容量:60%以上

パナソニックの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

シャープ蓄電池の寿命は12,000サイクル(33年)

シャープの4.2kWhタイプの蓄電池「JH-WB1621」と8.4kWhタイプの蓄電池「JH-WB1821」の寿命は「12,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約33年」程度となっています。

ただし、バッテリー以外の部品の劣化などにより、10~15年程度で蓄電池が故障してしまう場合もあります。

容量保証は15年
シャープ蓄電池の容量保証は「15年間」で、蓄電池の最大容量が「60%」以上を保証しています。

もし、15年以内に蓄電池の最大容量が60%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:シャープ
  • 型番:JH-WB1621/JH-WB1821
  • 定格容量:4.2kWh/8.4kWh
  • 実質容量:4.0kWh/8.0kWh
  • サイクル数:12,000回
  • 放電深度:100%
  • 寿命年数:33年
  • 保証年数:15年
  • 保証容量:60%以上

シャープの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

京セラ蓄電池の寿命は6,000サイクル(16年)

京セラ蓄電池には、太陽光発電で創った電気をダイレクトに充電できるマルチDCリンクタイプの蓄電池「EGS-ML0650」と、大容量タイプの蓄電池「EGS-LM1201」などがあります。

マルチDCリンクタイプ蓄電池「EGS-ML0650」の寿命は6,000サイクル(16年)

京セラのマルチDCリンクタイプ蓄電池「EGS-ML0650」の寿命は「6,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約16年」程度となっています。

ただし、バッテリー以外の部品の劣化などにより、10年~15年程度で蓄電池が故障してしまう場合もあります。

容量保証は10年
京セラのマルチDCリンクタイプ蓄電池「EGS-ML0650」の容量保証は「10年間」で、蓄電池の最大容量が「50%」以上を保証しています。

もし、10年以内に蓄電池の最大容量が50%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:京セラ
  • 型番:EGS-ML0650
  • 定格容量:6.5kWh
  • 実質容量:5.4kWh
  • サイクル数:6,000回
  • 放電深度:不明
  • 寿命年数:16年
  • 保証年数:10年
  • 保証容量:50%以上

京セラの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

大容量タイプ蓄電池「EGS-LM1201」の寿命は6,000サイクル(16年)

京セラの大容量タイプ蓄電池「EGS-LM1201」の寿命は「6,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約16年」程度となっています。

ただし、バッテリー以外の部品の劣化などにより、10年~15年程度で蓄電池が故障してしまう場合もあります。

容量保証は10年
京セラの大容量タイプ蓄電池「EGS-LM1201」の容量保証は「15年間」で、蓄電池の最大容量が「50%」以上を保証しています。

もし、15年以内に蓄電池の最大容量が50%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:京セラ
  • 型番:EGS-LM1201
  • 定格容量:12kWh
  • 実質容量:10.3kWh
  • サイクル数:6,000回
  • 放電深度:不明
  • 寿命年数:16年
  • 保証年数:15年
  • 保証容量:50%以上

京セラの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

オムロン蓄電池の寿命は8,000サイクル(22年)

オムロン蓄電池には、6.5kWhタイプの蓄電池「KP-BU65-A」と、9.8kWhタイプの蓄電池「KP-BU98-B」などがあります。

6.5kWhタイプ蓄電池「KP-BU65-A」の寿命は8,000サイクル(22年)

オムロンの6.5kWhタイプ蓄電池「KP-BU65-A」の寿命は「8,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約22年」程度となっています。

ただし、バッテリー以外の部品の劣化などにより、10年~15年程度で蓄電池が故障してしまう場合もあります。

容量保証は10年
オムロンの6.5kWhタイプ蓄電池「KP-BU65-A」の容量保証は「10年間」で、蓄電池の最大容量が「60%」以上を保証しています。

もし、10年以内に蓄電池の最大容量が60%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:オムロン
  • 型番:KP-BU65-A
  • 定格容量:6.5kWh
  • 実質容量:5.9kWh
  • サイクル数:8,000回
  • 放電深度:不明
  • 寿命年数:22年
  • 保証年数:10年
  • 保証容量:60%以上

オムロンの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

9.8kWhタイプ蓄電池「KP-BU98-B」の寿命は8,000サイクル(22年)

オムロンの9.8kWhタイプ蓄電池「KP-BU98-B」の寿命は「8,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約22年」程度となっています。

ただし、バッテリー以外の部品の劣化などにより、10年~15年程度で蓄電池が故障してしまう場合もあります。

容量保証は10年
オムロンの6.5kWhタイプ蓄電池「KP-BU98-B」の容量保証は「10年間」で、蓄電池の最大容量が「60%」以上を保証しています。

もし、10年以内に蓄電池の最大容量が60%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:オムロン
  • 型番:KP-BU98-B
  • 定格容量:9.8kWh
  • 実質容量:8.8kWh
  • サイクル数:8,000回
  • 放電深度:不明
  • 寿命年数:22年
  • 保証年数:10年
  • 保証容量:60%以上

オムロンの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

ニチコン蓄電池の寿命は6,000サイクル(16年)

ニチコン蓄電池には、12kWhタイプの蓄電池「ESS-H1L1」があります。

12kWhタイプ蓄電池「ESS-H1L1」の寿命は6,000サイクル(16年)

ニチコンの12kWhタイプ蓄電池「ESS-H1L1」の寿命は「6,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約16年」程度となっています。

ただし、バッテリー以外の部品の劣化などにより、10年~15年程度で蓄電池が故障してしまう場合もあります。

容量保証は15年
ニチコンの12kWhタイプ蓄電池「ESS-H1L1」の容量保証は「15年間」で、蓄電池の最大容量が「50%」以上を保証しています。

もし、15年以内に蓄電池の最大容量が50%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:ニチコン
  • 型番:ESS-H1L1
  • 定格容量:12kWh
  • 実質容量:10.3kWh
  • サイクル数:6,000回
  • 放電深度:不明
  • 寿命年数:16年
  • 保証年数:15年
  • 保証容量:50%以上

ニチコンの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

スマートスターL(伊藤忠)蓄電池の寿命は6,000サイクル(16年)

スマートスターL(伊藤忠)の蓄電池には、9.8kWhタイプの蓄電池SmartStarL「LL3098HOS」があります。

9.8kWhタイプ蓄電池のSmartStarL「LL3098HOS」の寿命は6,000サイクル(16年)

スマートスターL(伊藤忠)の9.8kWhタイプ蓄電池SmartStarL「LL3098HOS」の寿命は「6,000サイクル」で、1日1サイクル使用した場合の寿命年数は「約16年」程度となっています。

ただし、バッテリー以外の部品の劣化などにより、10年~15年程度で蓄電池が故障してしまう場合もあります。

容量保証は10年
スマートスターL(伊藤忠)の9.8kWhタイプ蓄電池のSmartStarL「LL3098HOS」の容量保証は「10年間」で、蓄電池の最大容量が「60%」以上を保証しています。

もし、10年以内に蓄電池の最大容量が60%未満になった場合は、保証を受けることが可能です。

  • メーカー名:スマートスターL(伊藤忠)
  • 型番:LL3098HOS
  • 定格容量:9.8kWh
  • 実質容量:8.8kWh
  • サイクル数:6,000回
  • 放電深度:不明
  • 寿命年数:16年
  • 保証年数:10年
  • 保証容量:60%以上

スマートスターLについては以下の記事でも解説しています。

4Rエナジー蓄電池の寿命は10年

4Rエナジーの蓄電池には、12kWhタイプの蓄電池「EHB-240A04B」があります。

12kWhタイプ蓄電池の「EHB-240A04B」の寿命は10年

4Rエナジーの12kWhタイプ蓄電池「EHB-240A04B」のサイクル回数は不明ですが、メーカーによると寿命は「10年」が想定されています。

容量保証は10年
4Rエナジーの12kWhタイプ蓄電池の「EHB-240A04B」の容量保証は「10年間」です。

  • メーカー名:4Rエナジー
  • 型番:EHB-240A04B
  • 定格容量:12kWh
  • 実質容量:11kWh
  • サイクル数:不明
  • 放電深度:不明
  • 寿命年数:16年
  • 保証年数:10年
  • 保証容量:不明

4Rエナジーの蓄電池については以下の記事でも解説しています。

テスラ蓄電池パワーウォールの寿命は?

テスラの蓄電池「パワーウォール」のサイクル回数は不明ですが、保証期間は「10年」となっております。

細かい劣化率や10年での劣化下限等の条件は、公式ホームページには記載されておらず寿命に関しては不明です。
ただ、電池性能はお墨付きの性能があり、劣化対策に関しては国内メーカー同等以上の性能があると推測されます。

テスラ蓄電池パワーウォールについては以下の記事で詳しく解説しています。

蓄電池の寿命を延ばす方法5選!

家庭用蓄電池の寿命は、使い方を工夫するだけでも延ばすことが可能です。蓄電池を設置する前に、どんな使い方をすれば寿命を延ばせるのか知っておきましょう。

25度を超えない場所に設置する

蓄電池の設置場所は、15℃~25℃を超えない場所が理想です。温度が25℃を超えてしまうと、蓄電池の容量を超えて充電してしまう「過充電」が発生し、蓄電池の劣化を早めてしまう可能性があります。

また、その他にも、湿度の高い場所、直射日光が当たる場所、積雪する場所、風通しの悪い場所などは避けたほうが良いでしょう。

充電をこまめに行う

よくバッテリーなどは「最後まで使い切ってから充電したほうがいい」みたいな話を聞きますが、家庭用蓄電池で使用されている「リチウムイオン電池」は例外で、充電した電気をすべて使い切る前に再び充電を行ったほうが、寿命が長持ちするという特性があります。具体的には、50%くらいまで使用したら充電するようにすると、寿命を長持ちさせることができます。

なお、家庭用蓄電池にはメーカーごとに「サイクル回数」という寿命の目安がありますが、これはあくまでも20%~0%まで放電した場合の寿命目安ですので、50%くらいで充電した場合はこのサイクル回数を超えても劣化せずに使用できる可能性が高くなります。

就寝前の充電に注意する

主にコンセントに接続するタイプの蓄電池に限られますが、就寝前に充電を行って、数時間後に満充電になると、蓄電池は充電をやめるのではなく、細かい間隔で放電と充電を繰り返して満充電を維持しようとします。

1%にも満たない充放電のため寿命への影響はそんなに無いと思いますが、できれば充電が完了したらすぐに充電ケーブルを外すようにしましょう。

なお、定置型蓄電池の場合は、内部のシステムによって充放電を管理するため気にする必要はありません。

過充電や過放電は行わない

蓄電池の容量上限(100%)を超えて充電する「過充電」や、容量が空(0%)になっても放電を続ける「過放電」は、どちらも蓄電池を劣化させて寿命を短くしてしまうのでやめましょう。

なお、一般的な家庭用蓄電池である「定置型蓄電池」や一部のコンセントに接続するタイプの蓄電池では、蓄電池自体のシステムによって自動的に「過充電」や「過放電」を防いでくれるため、あまり心配する必要はありません。

倉庫などに保管する場合は満充電状態にする

小型のポータブル蓄電池を、非常時に備えて倉庫や物置で保管しておく場合、充電は100%の満充電の状態にしておきましょう。蓄電池は使用していなくても自然に電気が放電してしまうため、充電池が残り少ない場合だと0%になり、「過放電」状態になって劣化を早めてしまう可能性があります。

また、満充電の状態で保存しておけば、停電時などいざというときにすぐ電気を使用することができます。

リチウムイオン以外の蓄電池の寿命

鉛蓄電池の寿命は3,150サイクル/17年

蓄電池の中でもっとも歴史が古く、現在はフォークリフトの電動車用主電源などで使用されている「鉛蓄電池」の寿命は、

  • サイクル回数:3,150回
  • 寿命年数:17年

と、蓄電池の中でもかなり長い寿命をもっています。

鉛蓄電池の寿命を延ばすポイント

鉛蓄電池は、以下2つのポイントを気をつけることで、寿命を長持ちさせることが可能です。

  • 容量が空(0%)になっても放電を続ける「過放電」を行わない。
  • 蓄電池の電気を使用後は、すばやく充電する。

ニッケル水素電池の寿命は2,000サイクル/5~7年

ハイブリッド車の蓄電部や、乾電池などに使用されている「ニッケル水素電池」の寿命は、

  • サイクル回数:2,000回
  • 寿命年数:5~7年

と、蓄電池の中ではもっとも短い寿命となっています。また、使い方次第で更に寿命が短くなってしまいますので、注意が必要です。

ニッケル水素電池の寿命を延ばすポイント

ニッケル水素電池は、以下2つのポイントを気をつけることで、寿命が短くなるのを防ぐことができます。

  • 高温の場所では使用しない
  • 急速充電は行わない

NAS電池の寿命は4,500サイクル/15年

工場などの大規模施設にてバックアップ電源などとして利用されている「NAS電池」の寿命は、

  • サイクル回数:4,500回
  • 寿命年数:15年

となっています。

また、高温多湿などの使用環境による寿命の劣化がもっとも少ないという特徴も備えています。そのため、どんな使用環境や使用状況でも、あまり寿命に変化はありません。

太陽光で卒FIT(売電10年目)を迎える人は蓄電池を付けるべき?

太陽光発電を設置してから10年目をむかえる人は、FITで定められた固定価格買取期間が終了するため、これまでの高い価格では売電を行えなくなってしまいます。

売電終了後は、家庭用蓄電池を導入することで電力会社からの買電量を減らすなど様々なメリットがあります。

卒FITと家庭用蓄電池の関係について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。