蓄電池とは?FIT売電10年目が終了する人の救世主って本当?

FIT10年目で売電が終了する「卒FIT」の人にとって、家庭用蓄電池が救世主になるかもしれません。蓄電池と連携して自家消費型太陽光発電として活用する方法や、ダブル発電(押し上げ効果)について解説。容量ごとの価格や補助金などについても説明。

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蓄電池とは?FIT売電10年目が終了する人の救世主って本当?

目次

家庭用蓄電池とは?

蓄電池とは、簡単に言ってしまうと「電気を貯めることができる電池」です。
昨今の大型台風や地震による停電が増加してきている状況から、家族を守るためにという理由から、また太陽光発電システムは普及がだいぶ浸透してきましたが、蓄電池自体の価格もまだ高額とはいえ以前に比べれば、手の届きやすい価格になってきたこともあり、「家庭用蓄電池」を導入する人が増えてきています。

家庭用蓄電池には、大きく分けて以下の種類があります。

  • 容量が小さく持ち運び可能な「ポータブル型」
  • 室内に設置可能な「コンセント接続型(スタンドアロン型)」
  • 工事が必要で屋外に設置した移動できない「住宅用定置型」

容量が少なく、コストも数万円〜で導入できる簡易型の蓄電池で、アウトドア等にも使いたい方はポータブル型がお勧めです。ポータブル蓄電池については、容量にもよりますがお手軽な数万円で購入できるものでも、スマートフォンの充電とLED照明(小型ランプ)が数十時間使用可能です。

ポータブル蓄電池については、こちらの詳しい記事をご覧ください。

太陽光発電を設置していない、または太陽光発電をマンション等で設置できないが、冷蔵庫やテレビ、スマートフォンの充電などを3日間ぐらいは使えるような本格的なタイプを検討したい!という方は「コンセント接続型(スタンドアロン型)」がおすすめです。

コンセント型はこちらに詳しく紹介しています。

太陽光発電との連携で更なる節約として普段使いしたい方や、停電時の非常用電源として不安の少ない大容量を選択する場合は「定置型蓄電池」を選ぶと良いでしょう。

こちらの記事では、住宅用の定置型蓄電池を詳しく紹介していきます。

定置型蓄電池でできること

「定置型蓄電池」を導入することで、電力会社から単価の安い深夜電力等を購入する、もしくは太陽光発電で創った電気を、蓄電池のなかに貯めておくことができます。これにより、災害時などの「もしも」の停電時にも、蓄電池に貯めた電気を使用することができます。

その他にも、オール電化プラン(時間帯別契約)を契約しているご家庭では、単価が安い深夜電力を蓄電池に貯めて朝や夕方~夜に使用することで電気代を節約したり、太陽光発電で創った電気を充電して自給自足を目指す電力運用も可能です。(各モードや設定、機種により運用方法異なります)

以下、定置型蓄電池で可能になることをまとめています。

  • 蓄電池に電気を貯めておき、停電時の非常用電源として活用できる。
  • 【押し上げ無しの蓄電池】単価が安い深夜電力を蓄電池に貯めて、早朝や夜・もしくは雨天時の日中等(発電量より、家の電力使用量が上回る場合)に使用することで、単価の高い時間帯に電気を買わず節約に繋がる。(時間帯別契約時)
  • 【押し上げありの蓄電池】単価が安い深夜電力を蓄電池に貯めて、日中(発電量に関係なく)に使用することで売電量を増やしたり、または安い単価で貯めた電気や太陽光発電で貯めた電気を使って、早朝や夜など単価の高い時間帯に電気を買わず節約に繋がる。(時間帯別契約時)
  • 定置型蓄電池なら、太陽光発電の電気をダイレクトに蓄電池に貯めるなど、太陽光発電と上手に連携できる。

押し上げとは

簡単に言えば太陽光発電が稼働している状態で、家庭内の電気が「発電量≦家庭内の電力使用量」の場合に蓄電池から、住宅側へ放電できるか?できないか?です。
放電できるタイプを「押し上げあり」、放電できないタイプを「押し上げなし」と言います。押し上げという言葉の由来ですが、太陽光発電で例えば3kwの電気を作って、1kw宅内で消費して余剰電力が2kwあったとします。その場合に、蓄電池から宅内の電気をまかなえば3kw分丸々売電できることになります。本来1kw分は自己消費されるはずですが、蓄電池の電気によって、売電する量を「押し上げる」ので押し上げと言います。
要するに蓄電池からの電気で住宅で使っている電気を賄い、太陽光発電の電力は全て売電にまわしてしまうことを「押し上げ効果」と言います。

太陽光と蓄電池でダブル発電という選択肢も

「ダブル発電」とは、蓄電池やエネファームといった電気を発電できたり、貯めたりすることができる商材を併用してに電気代が安い夜間の電気を貯めて、日中に家庭内で使用する電力は貯めておいた蓄電池の電気でまかない、太陽光発電で売電できる電力量を増やすというものです。ただし、2018年以前の太陽光発電を設置した方は、売電価格が今の単価より下がってしまうので、その点だけご注意ください。

詳細は、こちらの記事をご覧ください。

停電時は非常用電源になる蓄電池

家庭用蓄電池は、停電時でも家電を使用することができるので、非常用電源としても活用することができます。

蓄電池には「特定負荷型」と「全負荷型」があり、それぞれで停電時の働きが異なります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。

家庭用蓄電池はほとんどが「リチウムイオン電池」

蓄電池にはさまざまな種類がありますが、家庭用蓄電池に採用されているのはほとんどが「リチウムイオン電池」です。リチウムイオン電池が家庭用蓄電池に採用されている理由には、小型化が可能な割にエネルギー密度が高いことです。簡単に言うと、「小さい割に大容量の電気を蓄えることができる」ということになります。

なお、「リチウムイオン電池」は、家庭用蓄電池の他にも携帯電話やノートパソコンのバッテリーなどとしても活躍しています。

家庭用蓄電池の種類について、さらに詳しくはこちらの記事をご覧ください。

家庭用蓄電池は卒FIT(売電10年目で終了の人)の救世主?!

記事の初めに、家庭用蓄電池が太陽光発電で創った電気も貯められることについて軽く触れました。実は今、家庭用蓄電池が太陽光発電の「卒FIT」と呼ばれる人々の救世主になるかもしれないと注目を集めています。

そもそも卒FIT(売電10年目で終了の人)とは?

「卒FIT」とは、「FIT(固定価格買取制度)の満期を迎える人」のことを指しています。

10年間電気の買取価格が保証されるFIT(固定価格買取制度)の前身となる「余剰電力買取制度」が2009年にスタートし、2009年以前に太陽光発電を設置していた方、そして2009年以降に「余剰電力買取」となっている方(10kW以上の全量余剰除く)は設置から10年で高額な電力の固定価格買取が終了します。(11年目以降は単価が変更になりますが、売電は継続できます)

こうした太陽光発電を設置してから10年が経過して固定価格での売電期間が終了した人のことを「卒FIT」と呼んでいて、2019年以降は毎年この「卒FIT」を迎える人が増えていきます。

「卒FIT」を迎えた人の選択肢は、大きく分けて

  • 電力会社と契約し直して売電価格を見直して売電継続
  • 定置型蓄電池を増設して「自家消費型」太陽光として活用

の2つです。

電力会社と契約し直して売電価格を見直して売電継続

FITが満期を迎えたら、電気の買い取りを行っている電力会社と契約を結び直し、売電を行うというのが1つ目の選択肢です。ただし、売電価格は「6~9円」程度が相場となっていますので、FIT制度で売電していた頃と比べると大幅に下がってしまいます。

単純には48円で買取されていた方が、例えば8円になった場合は6分の1になりますので、仮に月額平均で15,000円前後の売電が出来ていた場合、2,500円前後になってしまい、月額で12,500円の収入減です。

定置型蓄電池を増設して「自家消費型」太陽光として活用

2つ目の選択肢は、定置型の蓄電池を増設して自家消費型太陽光発電として利用する方法です。自家消費型とは、太陽光発電で作った電気を自宅で優先的に使用し、余った電気を売電せずに蓄電池へ貯めて、早朝や夜に使用することで節約につなげることです。これにより電力会社から購入する高い単価の電気を減らせるため、電気代の節約につながります。

「自家消費型」太陽光の方が1kWhあたり20円~30円前後、経済的

現在の全国の電力会社の、電気代の単価をみても売電するより、電力会社からの電力購入を抑えたほうが、結果的には経済的です。

要するに8円という安い単価で売電するより、自分で売らずに蓄電池にためておき、単価28円以上(再生可能エネルギー賦課金含む)の高い電気を買わないようにする、という考え方です。

東京電力「夜トクプラン」の場合
  • 電力会社へ電気を売る(売電)価格:6~9円/1kWh
  • 電力会社から電気を買う(買電・日中)価格:35.69円/1kWh

※売電単価は契約する電力会社や売電プランにより異なります。
※電気を買う場合のみ、再生エネルギー賦課金:2.95円/1kWhを含む
※電気の価格は、2020年3月2日時点での情報です

太陽光発電単体では、太陽が出ていない夜間や雨の日などは発電を行えないので、電力会社から電気を購入しないといけない状態や、晴れている日中も安い単価で電気がどんどん売られていく状態をカバーしてくれるのが、住宅用の定置型蓄電池です。

蓄電池を導入することで、家庭内で自家消費しきれなかった太陽光発電の余剰電気や、夜間の安い電気を貯めておき、太陽光発電が稼働しないときに使用することが可能となります。(夜間の電気代が安いのは「時間帯別契約」を契約している場合のみ)

蓄電池の導入より、電力会社からの買電をさらに減らすことができ、よりお得なエコライフを送ることができるでしょう。

家庭用蓄電池の主な運転モード

蓄電池の運転モードには、太陽光発電の売電を優先する「経済モード」と、自宅での電力消費を優先して電力会社からの買電量を減らす「グリーンモード」の2つがあります。「経済モード」と「グリーンモード」の詳細については、以下をご覧ください。

なお、以下は一般的な家庭用蓄電池の運転モードの紹介です。メーカーや機種によっては、上記の名称ではない場合や、運転モードの内容が異なる場合がありますのでご注意ください。

経済モード(自動)

定置型蓄電池の経済モード(自動)は、夜間時間帯に割安な電力を充電し、その電力を夜間以外の太陽光発電が発電を行えない時間帯(朝方や夕方など)に自動的に放電する運転モードです。

グリーンモード(夜間充電なし・1サイクル/日)

グリーンモード(夜間充電なし)は、太陽光発電で創った電気を家電などで消費し、余った「余剰電力」を定置型蓄電池へ充電するモードです。
蓄電池に貯めた電気は、太陽光発電が発電を行えない時間帯(朝方や夕方、雨天時の日中)に放出し、電力会社からの買電をできるだけ抑えます。なお夜間の割安な電気の充電は行いません。(蓄電池からの充電と放電を1日1回ずつ行うことを1サイクルと言う。晴天に日中に充電・夜間に放電となります)

グリーンモード(夜間充電あり・2サイクル/日)

グリーンモード(夜間充電あり)は、太陽光発電を自家消費して余った「余剰電力」や、夜間時間帯の割安な電力を定置型蓄電池へ充電するモードです。蓄電池に貯めた電気は、太陽光発電の発電量が全く無い、もしくは発電量≦使用量の場合の時間帯(朝方や夕方、雨天時の日中)に放出し、電力会社からの買電をできるだけ抑えます。(蓄電池からの充電と放電を1日2回ずつ行うことを2サイクルと言う。具体的には深夜に充電・早朝に放電・晴天の日中に充電・夜間に放電となります)

蓄電モード

蓄電モードとは、定置型蓄電池への充電を最優先に行い、災害などの非常時に備えるための運転モードです。また、その他にも何らかの理由で充電が減ってしまった家庭用蓄電池を、すぐに充電したい場合などにも使用します。

蓄電池は何日くらい使えるの?

蓄電池の導入を検討していて気になるのが、「いざ停電になったとき、蓄電池の電気だけでどのくらい保つの?」という点だと思います。

ここでは、停電時に必要となる電力と、「どのくらいの容量があれば何日くらい使える」という情報をご紹介します。

1日で必要な電力は約5,500W

実際に長時間の停電になった場合、食材を腐らせないための冷蔵庫、情報収集のためのテレビやパソコン、携帯電話の充電など、様々な家電を使うと思います。

以下、停電時に使用頻度が高そうな家電の、1日あたりの使用時間とワット数をリストアップしてみました。

  • LED照明(40W):夜間5時間使用/200W
  • 冷蔵庫(年間438kWh):24時間使用/1200W
  • 携帯充電器(15W):5時間使用/75W
  • テレビ(150W):3時間使用/450W
  • パソコン(100W):6時間使用/600W
  • 洗濯機(250W):2時間使用/500W
  • 炊飯器(1300W):1時間使用/1300W
  • 電子レンジ(1000W):30分使用/500W
  • エアコン(700W):3時間使用/600W

上記を合計すると「5,425W」となります。
つまり、最低でも5kWh以上の容量がないと、1日も保たずに蓄電池の容量が空になってしまいます。

ただし、季節によってはエアコンの使用量が増えたりもすると思いますので、上記の消費電力はあくまでも参考程度にお考えください。

また、蓄電池は定格出力によって、同時に使用できる家電の数(消費電力量)が決まっています。そのため、すべての家電を同時に動かせるわけではありません。

「もしも」の停電に備えるなら5kWh以上の容量がオススメ

上記の通り、停電時に最低限の家電を稼働させるだけでも、約5,500Wが必要です。つまり、最低でも5kWh以上の容量がないと、単純には1日も保たずに蓄電池の容量が空になってしまいます。

蓄電池を非常用電源として購入するのであれば、5kWh以上、できれば10kWh程度の容量の蓄電池を購入しておくと安心です。

さらに太陽光発電が自宅に設置されている場合は、この計算に「太陽光発電の発電した分を補充」というポイントが出てきますので、太陽光発電と併用して頂くと、1~3日程度は天気によっては最低限の暮らしが可能です。

蓄電池の容量について、詳しくは次の項目をご覧ください。

家庭用蓄電池の容量はどのくらい?

家庭用蓄電池は、「1kWh」程度の小型(小容量)のタイプから、「12kWh」程度の大型(大容量)のタイプまで、豊富な種類が取り揃えられています。

蓄電池の容量は「kWh」で表示される

家庭用蓄電池の容量の単位は「kWh」で表わされます。「kWh」というのは、1時間あたりの電気使用量を表しており、

例えば3kWh(3,000Wh)の蓄電池なら、

  • LED照明(40W)なら75時間
  • テレビ(150W)なら20時間
  • エアコン(700W)なら4.2時間

程度の時間、家電を動かすことが可能です。なお、家電の稼働可能時間は、家電ごとのワット数によって変化します。

実際に1日で必要な電力は約5,500W

上記はあくまでも家電単体での使用可能時間ですが、停電時にLED照明だけ使う人はいないと思います。実際は照明のほかにも、冷蔵庫やテレビ、携帯充電器、電子レンジやパソコンなども使用しますよね。

実際に1日で必要な電力は約5,500W程度と予想できます。詳しくは、以下のリンク先をご覧ください。

>>蓄電池は何日くらい使えるの?

同時に動かせる家電は「定格出力」で決まる

蓄電池は、同時に好きなだけ家電を動かせるわけではありません。家庭用蓄電池には機種ごとに「定格出力」というものがあり、その値の範囲内であれば家電を動かすことができます。

たとえば、定格出力が「2000W」の場合ですと、

  • 40WのLED照明
  • 150Wのテレビ
  • 250Wの洗濯機
  • 1300Wの炊飯器

例えば、このように合計が2000Wの範囲であれば、同時に家電を動かすことができます。

実際に販売されている蓄電池の容量

それでは、実際に販売されている蓄電池の容量や定格出力、最大消費電力(定格出力一杯まで使用した場合)での使用可能時間を見ていきましょう。なお、以下の定格出力は停電時(自立運転時)の数値になります。

下記の家電製品を、各々の時間使ったと仮定します。

  • LED照明(40W):夜間5時間使用/200W
  • 冷蔵庫(年間438kWh):24時間使用/1200W
  • 携帯充電器(15W):5時間使用/75W
  • テレビ(150W):3時間使用/450W
  • パソコン(100W):6時間使用/600W
  • 合計 約2,500W(24時間)

    シャープ「JH-WB1621」

    • 容量:4.2kWh
    • 定格出力:1.5kW
    • 使用可能時間:約1日半前後

    パナソニック「LJ-SF50B」

    • 容量:5kWh
    • 定格出力:1.5kW
    • 使用可能時間:約2日前後

    オムロン「KPACシリーズ」

    • 容量:9.8kWh
    • 定格出力:2kW
    • 使用可能時間:約3日半前後

    ニチコン「ESS-H1L1」

    • 容量:12kWh
    • 定格出力:5.9kW
    • 使用可能時間:約4日半前後

    なお、上記でご紹介した蓄電池はほんの一例です。まだまだ多くの蓄電池が販売されています。

    家庭用蓄電池の価格はいくら?

    以下、容量ごとの大まかな蓄電池の相場になります。

    • 容量5kWh前後:税抜100万円前後
    • 容量10kWh前後:税抜150~200万円前後

    家庭用蓄電池の価格は、大きく分けて以下の2つで構成されています。

    • 商品本体代金
    • 設置工事費用

    ただし、通常は商品本体のみ販売している店舗は少なく、設置工事費用が込みとなった価格で販売している場合がほとんどです。

    家庭用蓄電池の価格は「容量」で変わる

    家庭用蓄電池の価格を一番左右するのは商品本体の「容量」です。単純に、2kWhなど少ない容量の蓄電池は安く、10kWhなど大容量になるにつれて高額になります。

    また、定置型蓄電池には

    • 太陽光発電とうまく連携できる「ハイブリッド型」
    • 太陽光発電システムから独立している「単機能型」

    の2種類が存在しており、太陽光で発電した電気を有効に使える「ハイブリッド型」の方が高額となります。

    そのため、価格だけでなく使い方をよく考えて蓄電池を選択する必要があります。

    ハイブリッド型

    太陽光発電システムのパワコンとうまく連携を行い、発電した電気を有効的に蓄電池へ貯めることができたり、停電時には太陽光発電で発電する電気を単機能型に比べて、有効的に貯めることができます

    単機能型

    太陽光発電システムからは独立しているタイプの為、蓄電池の容量の割には安価ではある反面、停電時に太陽光発電の電気をしっかり蓄電池へ貯めることが苦手です。(停電時には、太陽光発電の自立運転で1500Wしか取り出しができませんが、その1500Wの中から、照明やテレビ等で使った余った電気を蓄電池へ回すためです。)

    参考までに、容量ごとの大まかな蓄電池の価格をご覧ください。

    • 容量5kWh前後:税抜100万円前後
    • 容量10kWh前後:税抜150~200万円前後

    タイプ別での市場価格では、

    • ハイブリッド型:15万円~20万円前後/kWh
    • 単機能型:10万円~20万円前後/kWh<

    ハイブリッド型・単機能型の違いについては、以下の記事で解説しています。

    最近では低価格の蓄電池も登場

    テスラより発売開始されている、容量13.5kWhで定価99万円(税別)の「パワーウォール2」という蓄電池が圧倒的に安価です。
    10kWh前後で150~200万円程度が相場だったこれまでの蓄電池に比べると、驚異的な価格と言えるでしょう。

    ただ、テスラの場合は電気自動車を製造しているラインと同じラインで、住宅用蓄電池の電池も製造しているため、他社に比較して圧倒的な量の電池の製造を行っている点が強みののため、他社が追従してマネすることは非常に困難な領域にきていると推測されます。

    家庭用蓄電池の工事費用はいくら?

    容量の大きな「定置型」家庭用蓄電池を導入する場合、以下2つの工事が必要となります。

    • 設置工事
    • 電気系統工事

    設置工事

    設置工事とは、蓄電池を設置する工事です。工事の内容としては、「基礎工事」、「蓄電池設置」などがあります。

    電気系統工事

    電気系統工事とは、蓄電池の配線などに関する工事です。工事の内容としては、「専用分電盤取り付け」、「配線工事」、「モニター取り付け」、「太陽光発電との接続連携」などがあります。

    家庭用蓄電池の工事費用は約30万~約50万円

    上記でご紹介した「設置工事」と「電気系統工事」を合わせて、大体約30万~約50万円が家庭用蓄電池の工事費用の相場となっています。

    ただし、インターネットの販売店などの場合、「商品代金+工事費用」という形で蓄電池の販売価格を表示している店舗もあります。その場合は、見積もりをとってみないと正確な工事費用はわかりません。

    家庭用蓄電池の工事にかかる日数

    家庭用蓄電池の工事ですが、通常は「2日~1週間程度」で完了します。
    太陽光発電の有無、蓄電池の配置場所、パワーコンディショナーの設置位置などによって期間が変動します。特に基礎をうって蓄電池やパワーコンディショナーを設置する場合は、基礎工事から考えると1週間程度はかかります。
    また、工事を行う前の現地調査には「1時間程度」の時間がかかります。

    蓄電池の設置に必要なスペース

    家庭用蓄電池を導入する場合、屋外または屋内に設置スペースを確保する必要があります。

    容量の大きな「定置型」家庭用蓄電池を設置する場合、幅60cm~120cm×奥行30cm~60㎝×高さ70cm~120cm程度のスペースが必要になります。また蓄電池本体のサイズだけでなく、メーカーそれぞれで蓄電池の周囲から何cmはモノを置かないでください、という離隔距離が設定されている場合がありますので、設置の際は工事業者と事前にしっかり確認しましょう。
    またスペース以外にも、「高温や低温になりすぎない」や「結露しない」といった条件も満たさないといけないため設置場所は、屋外であれば建物の北側、風通しが良いところ。屋内であれば密閉されていない納戸やクローゼット、玄関周辺などがおすすめです。

    また、蓄電池本体とパワーコンディショナー以外に必要なものとしては、

    • リモコン(壁付けのタイプが多い)
    • 電力切替分電盤(特定負荷タイプの場合)
    • 計測機器(メーカーによる)

    が想定されます。各メーカーやタイプによって設置する周辺機器は変わってきますので、工事前に確認してみて下さい。

    家庭用蓄電池の補助金(2019年度)

    家庭用蓄電池は非常に高額ですが、補助金を利用することで、負担をある程度軽減することができます。ここでは、2019年度に利用できる家庭用蓄電池の補助金をご紹介していきます。

    また、以下の記事でも蓄電池の補助金について詳しく解説しています。

    SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)の補助金

    SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)から交付されている家庭用蓄電池の補助金の詳細は以下のとおりです。

    商品代金に対する補助金額

    蓄電池の容量1kwhあたり20,000円を補助。

    工事費用に対する補助金額

    工事費用の1/2を支給。上限5万円まで。

    補助金を受け取る条件

    災害時は「グリーンモード」で蓄電池を運転すること。

    グリーンモードとは、太陽光発電を自家消費して余った「余剰電力」や、夜間時間帯の割安な電力を家庭用蓄電池へ充電するモードです、蓄電池に貯めた電気は、太陽光発電が発電を行えない時間帯(朝方や夕方、夜間の電力ピーク時など)に放出し、電力会社からの買電をできるだけ抑えます。

    受付開始時期

    2019年5月末頃から受付開始予定

    100万円の蓄電池(5kWh)を購入した場合の例

    100万円の蓄電池を購入するとして、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)の補助金を利用した場合、

    合計25万円の補助金を受け取ることが可能です。

    詳しい補助金の内訳は以下をご覧ください。

    • 商品代金の補助金:10万円(5kWh×2万円)
    • 工事費用の補助金:15万円(工事費30万円として、その半分)

    補助金を活用することによって、
    100万円の蓄電池が75万円で購入可能になります。

    ただし、上記はあくまでも一例であり、購入する蓄電池の容量などによって貰える補助金の額は変わりますので注意してください。

    自治体からの補助金

    家庭用蓄電池の補助金は、地方自治体からも給付されています。ただし、補助金を受けるための条件や金額などは各自治体によって異なります。たとえば、東京都が交付している補助金は蓄電池単体の設置でも受け取ることができますが、中には太陽光発電など蓄電池以外の設備が必要な場合もあります。

    自治体からの補助金について詳しくは、お住まいの地域の自治体へお問い合わせください。

    家庭用蓄電池の寿命は何年くらい?

    ほとんどの家庭用蓄電池では、リチウムイオン電池が使用されています。

    リチウムイオン電池の寿命ですが、時間にすると大体10年~15年程度と言われます。
    ただし寿命と言ってもいきなり使えなくなる訳でなく、徐々に電池自体が劣化していき、初期容量のメーカーにより50~60%までの容量を保証する、という旨の保証です。

    蓄電池の寿命を表すサイクル回数

    また、蓄電池の寿命を表す言葉に「サイクル回数」があります。サイクル回数とは、「蓄電池がフル充電から残量ゼロになるまで放電」した回数を「1サイクル」としてカウントします。

    リチウムイオン電池は、一般的にサイクル回数が「4000回」と言われていますが、家庭用蓄電池販売しているメーカーから発表される値は「6000~12,000サイクル」とメーカーごとに開きがあり、このサイクル数を公表している会社とそうでない会社があります。

    買い替え時期は蓄電池の残容量次第

    蓄電池は、サイクル回数を重ねていくと、充電できる最大量が減少します。減少をする容量はメーカーや使い方によって異なり、だいたい10年ないし15年の保証期間で初期容量のメーカーにより50~60%までの容量を保証する、という旨の保証が大半です。

    蓄電池の買い替え時期は、単純に「寿命が過ぎたら」ではなく、「寿命後に蓄電池の最大容量が使用に耐えられないほど減ったら」という認識で良いと思います。

    使い方次第で家庭用蓄電池の寿命は延ばせる?

    家庭用蓄電池の寿命は、使い方を気をつけることで延ばすことも可能です。具体的には、「寒過ぎない、暑過ぎない場所での使用(15~25℃が最適温度)を超えない場所にで使用する」や「充放電のサイクル数を1日1回にする」「満充電をしない、放電し切らない」といった方法が挙げられます。

    家庭用蓄電池の寿命について、さらに詳しくはこちらの記事をご覧ください。

    家庭用蓄電池の保証は何年?何を保証してくれる?

    家庭用蓄電池には、メーカーごとに保証が用意されています。
    メーカーごとにそれぞれ保証年数や保証条件が異なりますが、基本的には「保証年数以内に規定の割合(60%など)まで蓄電池の最大容量が減った場合」や、説明書通り使用していたのに蓄電池が故障した場合に保証の対象となります。

    以下は、主要メーカーが設けている蓄電池の保証です。

    パナソニックの蓄電池保証は10年/60%以上

    パナソニック蓄電池のメーカー保証内容は、

    • 保証期間:10年
    • 保証条件:最大容量の60%を下回った場合、または故障が発生した場合

    となっています。

    つまり、10年間で蓄電池の最大容量が60%未満になった場合、または故障が発生した場合に、メーカー保証を受けることができます。

    シャープの蓄電池保証は10年/60%以上

    シャープ蓄電池のメーカー保証内容は、

    • 保証期間:10年
    • 保証条件:最大容量の60%を下回った場合、または故障が発生した場合

    となっています。

    つまり、10年間で蓄電池の最大容量が60%未満になった場合、または故障が発生した場合に、メーカー保証を受けることができます。

    ニチコンの蓄電池保証は15年/50%以上

    ニチコン蓄電池のメーカー保証内容は、

    • 保証期間:15年
    • 保証条件:最大容量の50%を下回った場合、または故障が発生した場合

    となっています。

    つまり、10年間で蓄電池の最大容量が50%未満になった場合、または故障が発生した場合に、メーカー保証を受けることができます。

    電気自動車を蓄電池として使うV2Hってなに?

    V2Hは「車(Vehicle)から家(Home)へ」という意味で、

    • 電気自動車の電気を自宅で使用

    できるようにするシステムがV2Hです。

    • 自宅の電気を電気自動車へ充電
    • 太陽光発電で創った電気を電気自動車に充電
    • 夜間の割安な電気で電気自動車の充電ができる

    といったことは、V2Hでなくても特に問題なく可能です。

    V2H対応車種は今後増えていく予定

    V2Hに対応した電気自動車は、現在のところ

    • 三菱自動車:i-MiEV、MINICAB-MiEV、MINICAB-MiEV Truck、アウトランダーPHEV
    • 日産自動車:リーフ、e-NV200

    などが挙げられます。

    まだ数は少ないですが、今後も新しい電気自動車がどんどん発表されることが期待されています。