
テスラのランニングコストの実態!太陽光や蓄電池との連携は?
目次
テスラ・モデル3(パフォーマンス・ステルス)を購入した筆者が電気自動車(特にテスラ)の充電の利便性や、運用するコストについて解説していきます。
太陽光発電システムや、蓄電池は併用しておりませんが、実際に併用した場合にどれぐらいのコストで乗ることができるのか?また実際に乗っていて充電に関わる利便性は実際どうなのか?といったポイントなども解説していきます。
なお、計算に基づく電費(ガソリン車で言う処の燃費)は、モデル3での数値になりますので、車種が変わった場合は計算が若干変わってきます。
テスラの充電についての疑問にお答え
どれくらい走行できるの?
車種やグレードによっても異なりますが、一番安価なモデル3のスタンダードレンジでも約400㎞走行ができ、モデルSのロングレンジでは約600㎞の走行が可能です。
実際の走行感としては、冷暖房の使用の有無や気温(特に寒い時期)で左右されますが、暖房をかなり使用して走行したとすると、約2割程度消費量が増加しますので、季節や使い方などによっては、これ以下になってきます。
私のモデル3は75kWhのリチウムイオン電池を搭載しており、満充電で約500㎞走行可能です。
※約半分の充電量で260㎞と表示
電池には運用方法がある
住宅用蓄電池と同じで、満充電や放電しきってしまうことはリチウムイオン電池の性質上、劣化を早めてしまうことに繋がります。一番身近なスマートフォンのリチウムイオン電池で体感している方もいると思いますが、使っていて1~2年ぐらいで劣化が進んでくるから電気自動車は大丈夫?という質問もよくあります。
スマートフォンの場合は、寝る前に充電して起きたら満充電、というやり方をされている方も多いかと思いますが、そのやり方は実は電池の劣化を早めています。そのため、電気自動車のうまい運用の仕方は「残量をMAXでも90%~80%までしか充電しない」という方法です。この方法で、電池の耐久性を伸ばすことができます。
また反対に、限界まで放電しきらないという運用も重要です。そのため、まめに継ぎ足し充電をして20~30%程度まで下がる時は、遠出をするときぐらいで、普段は50%以上で運用をしていけば耐久性を伸ばすことができます。
ただ、リチウムイオン電池は徐々に劣化はしていきます。私の車の電池は、購入直後は航続距離が500㎞と表示されていましたが、約半年で走行距離7,000㎞で、MAX航続距離は約480㎞となっており、数%の劣化が進んでいます。
充電の早さ「急速充電」と「普通充電」
電気自動車の特徴の1つである「充電時間」です。
ガソリン車に慣れていると、ガソリンの給油は数分あればできる!電気自動車は時間がかかるよね?という話はごもっとも正解です。
急速充電での充電時間
どれくらい充電するか?出力が何キロか?によって、異なりますが
例えば筆者の車両はモデル3の容量75kwの電池で、約500㎞走行ができます。仮に残走行距離が100㎞(残量2割)まで減った車両を400㎞(残量8割)まで回復しようとした場合、
- 一般的な急速充電設備:(約30~40kw出力の場合)1時間半~1時間15分
- テスラのスーパーチャージャー:約30分
※ショッピングモールなどの一般的な急速充電スポットは1回/30分迄が規則や暗黙の了解です(次の方に公平に運用ができるように)
普通充電での充電時間
200Vで充電するところが屋外でも多く、自宅充電の方も、最近は新築の場合は屋外コンセントを設置しますが、200Vが主流です。(100Vの普通のコンセントでも充電出来ます)
- 普通充電設備(200V・15Aの場合):約15時間
- 普通充電設備(100V・10Aの場合):約45時間
賢い充電の仕方
電気自動車を運用している方は、「充電の為の時間」ではなく「買い物や自宅にいる時に充電しておく」という方法を取ります。
充電している間は、車の中で待機していないといけない訳ではありません。
自宅充電ができれば、夜19時に帰宅して、充電ケーブルを差しておけば、翌朝7時には約5割(約250㎞分)回復できることになります。通勤でしか使わない普段などは、特に残量が減るまで充電せず放置しておく訳でもなく、残量が半分を切った頃に家充電すると、翌朝には約8割まで充電完了していて、ガソリンスタンドまでわざわざ行ったり、安いスタンドに並ぶ必要もありません。
また、リチウムイオン電池の性質上、残量が0%付近まで放電してしまうと劣化がすすむため、意外とこまめに充電した方が長持ちもすると言われております。
テスラ車は、いたずら防止策もしっかり
よく「充電ケーブルにいたずらされないか?」と言われることがありますが、故意的に壊されるとどうしようもありませんが、カギがかかった状態では充電ケーブルを抜くことはできないようになっています。
また「セントリーモード」と言って車両の周囲全て録画できるモードもある為、充電中このモードをONにしておけば、いたずらされてもしっかり録画されてしまいます。(かなり高画質に録画されており、アメリカ等ではこの録画データで逮捕されている例もあり)
ただ、電池を結構消耗(1日で20~30㎞分走れる電気)するので筆者は使用を限定しています。
充電はどこでするの?
充電自体は、様々なところで可能で、筆者は電気自動車に乗っていて不便と感じたことはほとんどありません。
自宅
一番便利な充電場所は「自宅」です。基本的には戸建てので駐車場が庭にある方になってきますが、集合住宅でも充電は可能です。筆者は集合住宅で充電を行っています。
特別な設備は不要で、一般家庭にある100Vのコンセント、もしくは200Vの屋外コンセントがあれば充電できてしまいます。モバイルコネクターという持ち運びができる充電ケーブルで、スマホを充電する感覚で気軽に家で充電できます。
またテスラはウォールコネクター(外壁などに常設する充電ケーブル)という専用の家充電用のコネクタを別売りで購入可能で、戸建ての方は自宅にこの設備を設置される方もいらっしゃいます。
※集合住宅に管理会社の許可を得て、設置した200Vコンセント(退去時に復旧前提)
※テスラ車の充電口と、充電ケーブル
※持ち運びができるモバイルコネクター(別売税抜3万円)。100Vと200Vは差し替えて使用可能。
ショッピングモールや電気自動車充電付きコインパーキングなど
充電設備の数だけであれば、ガソリンスタンドより既に数は圧倒的に多くなっています。
全国に展開しているイオンは、各モールに最低でも1~2箇所の充電スポットがありますので、お買い物をしている間に充電することができます。
昨今は電気自動車や、PHV(プラグインハイブリッド)が増えてきたので、休日の混雑時は充電スポットが満杯になることもありますので、そこでどうしても充電が必要な場合は、そこで待機時間が発生することはありますので、唯一そこが不便な点ではあります。ただ、ショッピングモールでの充電がメインではないので、どうしてもそこで充電が必要な状況、ということは少ないです。
(急速充電設備は30分もしくは電池残量が8割になったら、次の方に譲るという暗黙の了解があります。無料の充電設備等の場合は守らない方も中にはいますが…)
※愛知県内の道の駅での充電風景。公共にある充電スポットでも付属のアダプターで充電可能。
※充電している間に、食事をして、道の駅で買い物をしていれば、充電時間はそこまで気になりません。
日産を主としたディーラー
日産のリーフが優先になるかと思いますが、日産の充電設備でも充電可能です。先ほどのショッピングモールなどでの充電と同様に、テスラ社と充電コネクター形状が異なるため、日本で一般的に普及しているCHAdeMO(チャデモ)規格に変換するコネクター(選択制で新車購入時に付帯されてきます)があるので、車にそれを載せておけば問題ありません。
日産で運用している充電カード(ZESP3)がありますが、以前は日産ユーザーのみしか加入できませんでしたが、他社の電気自動車所有でも加入できるようになり、そちらに加入すると割安で充電することができます。(カードがなくても30分税別1500円で充電可能です)
※日産のディーラーをお借りして充電(私は半年で1度だけ)
テスラ車専用充電場所「スーパーチャージャー」
テスラのユーザーの多くが、遠出の際に利用するのが「スーパーチャージャー」です。
全国各地に23箇所(2020年3月現在)あります。各都市のインターチェンジを降りたすぐ近くにあることが多いので、数百キロ以上遠方へ行く際は利用する方が多いです。
この充電設備は、充電速度が速く一般的なCHAdeMO(チャデモ)の3~4倍の速度がMAX値で出ます(約120kw)。そのため、先ほどの約2割の残量から8割の残量まで約30分で完了してしまうため、ランチなどを近くで済ませてしまう間に充電することができます。
※新東名・浜松SA横にあるスーパーチャージャー。
食事の間に充電完了します。残量によっては30分かからないので、食事をしてお土産をゆっくり見ていると、満充電の通知がスマートフォンにすぐ来てしまいます。
テスラの保証や安心感は?
テスラは新車保証では車種やグレードにより若干異なりますが、車両保証自体は4年もしくは80,000kmの早い方、肝心の心臓部のバッテリーやドライブユニットは8年もしくは160,000~192,000kmの早い方となっております(車種や購入時期等によって異なる場合あり)
また電池性能については、電気自動車とパワーウォール、産業用のパワーパック全て同じ向上のラインで製造された電池を使用していますが、パナソニックとの共同で立ち上げた工場で生産しています。パナソニックの監修、材料や技術などの提供や交流があり、品質自体はかなり信頼の高いものとなっており、5年以上乗られている方も劣化についてはあるものの、1割以下で済んでいる方もいます。
テスラ車のランニングコスト(電気代)について
ガソリン車のガソリンにあたる、電気代が実際どれくらいになるか?を細かく解説していきたいと思います。
車種によってはスーパーチャージャー永久無料(無制限利用特典)!
セダンタイプのモデルS、SUVタイプのモデルXを新車で購入する場合、または認定中古車(条件が付随される場合あり)で購入される場合、テスラ専用のスーパーチャージャーでの充電が永久無料(無制限利用特典)となります。
自宅近くにこのスーパーチャージャーがあれば、ガソリン代(電気代)がかからずに車の運用ができてしまいます。そのため、通常の車でも発生する保険・税金・消耗品の交換等を除いて走行に要するランニングコストは0円!が可能です。
勿論、自宅充電や公共設備などを利用する場合はこの限りではありません。
筆者のモデル3は、スーパーチャージャーは有料ですが、出力にもよりますが20%から80%までの充電で約1,200円~1,500円以内とガソリンと比較しても安価です(約250~300㎞走行分)。
自宅充電ではいくら?(テスラ車以外の電気自動車同様)
充電する電気の単価によって、異なってきます。具体的な例で考えてみましょう。
先ほどと同様、モデル3の容量75kwのタイプで、約500㎞走行ができる状態で、残走行距離が100㎞(残量2割)まで減った車両を400㎞(残量8割)まで回復しようとした場合、
300㎞の走行距離分の電気代(カッコ内は再生可能エネルギー賦課金加味した金額)
- 深夜電力が13円で充電した場合:約590円(約720円)
- 現在の平均単価25円で充電した場合:約1,125円(約1,260円)
- 時間帯別契約で最も高額な単価38円で充電した場合:約1,710円(約1,845円)
となります。
基本的にわざわざ最も高い電気代の時間帯に充電される方は少ないので、大体300㎞の走行分が、1,000円~1,300円程度となります。
実際の充電量
下のグラフをご覧になっていただくと、実際に充電をした日は使用量が突出しています。
毎回約20kWh分を充電していることが分かると思います。(普段は10kWh前後、充電した日は30kWh前後)
電気代は、20kWh×約25円(買電単価)+約3円(再生可能エネルギー賦課金)=500円~560円になります。
この充電で走行距離としては、だいたい130~150km分になります。
※筆者の自宅の日別の電気使用量のグラフです。
公共施設やショッピングモールでの充電代(テスラ車以外の電気自動車同様・2020年3月現在)
各施設により価格が異なります。また急速充電は有料で、普通充電は無料等の充電速度によっても有料無料が分かれる施設もあります。
ショッピングモール
全国で最大手のイオンは、WAONカードにチャージしてあること前提ですが、急速充電は300円で30分利用可能と良心的な値段です。(場所によって異なる可能性ありますので、ご利用の際はご確認ください)
出力にもよりますが、30分で大体100㎞分程度回復するところが多いです。普通充電はWAONカードの認証は必要なものの、基本無料です。
ららぽーと等で無料で急速充電や普通充電を運用してくれているところもありますので、そういった更に良心的なところも探せばあります。
道の駅など
道の駅などでは無料~1分数十円とまちまちな運用です。
仮に1分20円だとしても、30分で600円でイオン等同様に100㎞程度回復できる急速充電設備が多いと思われます。出力と単価で変わってきますので、高い出力で、安い施設は人気があったりもします。
ガソリン車との比較
ガソリン車は「燃費」で現されますが、同様に300㎞分のコストを通常のガソリン車とハイブリッドカーで比較します。ガソリンは150円/Lと仮定します。
- ガソリン車(10㎞/L):4,500円(30L消費)
- ハイブリッドカー(20㎞/L):2,250円(15L消費)
- 電気自動車(150Wh/km):0円~だいたい1500円以内
※充電場所や単価により大きく異なる
となります。
電気自動車はランニングが安価!
燃費の良いハイブリッドカーと比較しても、7割以下のコストで運用できてしまうため、テスラは車両自体が一般的なガソリン車に比較すると、高額ですがランニングコストは大幅に削減できるため、長距離の乗れば乗るほど「元が取れる」ようなコスト差が出てきます。
ガソリン車のように、オイル交換等は不要な上に、ブレーキは回生ブレーキと言いモーターの制御でブレーキをかけるので、ブレーキパッドの減りも極端に少ないです。このあたりは電気自動車の特性の為、日産リーフ等も同様化ではないかと思います。
ガソリン車との年間トータルコストでの比較!
仮にテスラのモデル3スタンダード、近似車格のトヨタ86(W×B・2.0Lガソリン車)、トヨタのカムリ(WS・2.5Lハイブリッド)の3車種の年間トータルコストを比較してみましょう。
条件
- 年間走行距離:15,000㎞
- ガソリン代:150円
- 電気代:28円(平均電気単価+再生可能エネルギー賦課金)
- 燃費/電費:ガソリン車12㎞/L・ハイブリッド車20㎞/L・テスラ車150w/㎞(実走行に近いWLTC参考)
- 支払条件:全額6年ローン・金利2%統一
- 車両価格:モデル3:500万円/86(GT):310万円/カムリ(WS):380万円
- 保険料:計算から除く
- オイル交換:5,000㎞ごとに1回5,000円
電気自動車(テスラ・モデル3)
- 走行にかかる費用:63,000円(150W×15,000㎞×28円)
- オイル交換:0円
ランニング合計:63,000円
ガソリン車(トヨタ86)
- 走行にかかる費用:187,500円(15,000㎞÷12㎞/L×150円)
- オイル交換:15,000円
ランニング合計:248,226円
ハイブリッド車(カムリハイブリッド)
- 走行にかかる費用:93,750円(15,000㎞÷20㎞/L ×150円)
- オイル交換:15,000円
ランニング合計:108,700円
車両代金も考慮した場合
- 電気自動車:885,024円(12か月支払) 合計コスト:948,024円(+166,712円)
- ガソリン車:584,544円(12か月支払) 合計コスト:796,938円(+15,626円)
- ハイブリッド車:672,612円(12か月支払) 合計コスト:781,312円
以上となります。
電気自動車の場合は、車両を置いておくと自然放電等を行いますので、ここから実際はランニングコストの数値はかかってきますが、1割悪化したと仮定したとしても約15万円程度となります。
車両価格が100万円以上違うため、車両代金を含むとシミュレーション上は電気自動車と逆転まではしませんが、車両本体抜き(または車両価格が同じぐらいのクラウン等)で比較した場合、圧倒的にランニングコストとしては安上がりであることがわかります。
太陽光発電や蓄電池を使った時の経済効果
テスラの場合はV2Hができませんが、太陽光発電で作った電気を車両へ送ることができます。この太陽光発電や蓄電池を活用し、どれくらの経済効果があるか?をみていきましょう。
太陽光発電を今後または最近(この数年)新規設置された方は、売電単価が以前に比べると安くなっており、買う電気より安い単価でしか売ることができません。また卒Fitと呼ばれる、設置から10年以上経過した余剰電力固定買取制度が終了された方は、48円から6円~9円前後の買取単価になってしまうので、安い単価でしか買い取ってもらえないなら、「自分で使ってしまった方がトク」という考え方が出てきます。
太陽光発電の電気でどれくらい充電できる?
住宅に設置される太陽光発電システムの平均的なパネル容量は4~5kwになります。仮に単結晶パネルを5.48kW設置された住宅をみてみましょう。
例えば、こちらの大阪府のご家族の例を引用して計算してみます。
- 1月:385kWh
- 2月:551kWh
- 3月:730kWh
- 4月:648kWh
- 5月:788kWh
- 6月:619kWh
- 7月:818kWh
- 平均:約650kWh(総発電量の月平均)
の発電量があります。ご家庭で当然異なりますが、平均して発電量の約3割が自己消費、約7割が売電となりますので、仮に自己消費電力:余剰電力=3:7と仮定します。この7割の余剰電力を100%売電していた電気を、電気自動車の充電に回したとしましょう。また晴天率は30日中、20日発電し10日は全く発電しないものと仮定します。
- 平均発電量650kWh×0.7=約455kWh(平均の想定余剰電力)
このうち全て電気自動車の充電に充てた場合、計算上は約3,000~2300kmの走行分(1㎞あたり150W~200W使用)に充てることができます。ただ、現実的には日中は買い物などで車を使い、移動で自宅に駐車し続けておけない場合も想定されることから、仮に半分の電気でも充電すれば無料(太陽光発電のシステムは減価償却していると仮定)で、約1,000㎞程度のガソリン代として変換することができます。
例えば1Lあたり12㎞走行する自動車に置き換えれば、1Ⅼ150円のガソリンとすると、約12,450円のガソリン代の削減に繋がります。
この電気を、余剰電力として売電を行ったとすると、約1000㎞分は電気は大よそ150kWh~200kWhになりますが、売電した場合の金額はこちらです。
- Fit終了により売電単価8円の場合:約1,200~約1,600円(ひと月の売電収入金額)
- 現在30円で売電できている場合:約4,500円~約6,000円(ひと月の売電収入金額)
上記のようになり、「余剰電力をガソリン(電気)に変換して運用」した場合は、ガソリンが依然高いこともありますが、その差額メリットは相当な金額になります。8円前後の安い単価でしか売れないのであれば、自動車に充電してしまう!という考え方は実際有効かつ、V2Hのシステムを構築するより安価です。
1日でどれくらい溜まるの?
わかりやすく1日で単純に平均的にどれくらい溜まるか?を計算すると、
455kWh÷20日=約23kWh/日 (1日当たりの平均余剰電力)
実際は、電気自動車に家庭用の200Vから充電できるMAX出力は3kWのため、常に3kWで充電できるわけでないことや、買い物で車を動かすことを考慮すると、現実的にはこの23kWhの半分、約10kWh分を電気自動車に充電したとすると、約60~70㎞分の走行エネルギーに変換します。(10000W÷150W/㎞=66㎞分)
近所の買い物するぐらいのエネルギーは貯めることができるため、太陽光発電システムがある場合、卒Fitの選択肢として、蓄電池以外に「電気自動車があえば電気自動車に充電する」という選択肢もなくはないのでしょうか?
パワーウォールとの連携について(スマートフォとの連携)
テスラ社の定置型蓄電池のパワーウォールに関して
テスラは電気自動車と共に、住宅用・産業用の蓄電池を製造しています。そのため品質に関しては電気自動車用と、蓄電池用では差はありません。
パワーウォールの詳細のスペックなどに関しては、こちらの記事をご覧ください。 お得に購入!テスラ蓄電池パワーウォールの価格と認定施工店一覧
パワーウォールとテスラ車との連携でできることは?
基本的には単機能型蓄電池の為、車両側へ蓄電した電気を送ることは可能です。
また、テスラは車両の管理も、パワーウォールの管理も全てアプリで一括管理ができます。
アプリで蓄電池の残量や、車両の残走行距離もリアルタイムで確認することが可能です。
全てのテスラ車は、LTE回線を持っている為、このアプリから遠隔で様々な操作が可能になっています。
※空調の遠隔ON/OFF
※コントロール:遠隔でカギの開錠施錠・ホーンを鳴らす・トランク等を開ける・周囲を警戒して録画するセントリーモードのON/OFF等がスマートフォンから可能
※充電の残時間等も
※充電時間は200V充電(12Aに絞っている為、最大出力の4分の3の出力)で、残量を約50%から80%までの充電を自宅充電で行っている。
このLTE回線で、充電待ちの際はYoutubeや、NETFLIXやSpotify(会員登録費用等は自己負担)などのサービスが利用できたり、1ヵ月~数か月に一度アップロードで新しい機能が車に付帯されて、数年前に購入した車両でも常に最新の状態が保たれます。(中のコンピューターの年代が現在3世代目のため、このコンピューターが古いとできない機能も中にはある)
テスラ車およびパワーウォールはV2H非対応
V2Hは「Vehicle to Home」の略で、電気自動車にためた電気を住宅側に供給して、住宅側で電気を使えるようにした仕組みのこと。
テスラ社は自社で電気自動車と蓄電池両方を製造していますが、V2Hへの対応するシステムはありません。太陽光発電システムと連携して、太陽光発電で発電した電気を自動車へ送ることは可能ですが、テスラ車から住宅側へ電気の供給は2020年3月現在では、全車種でできず、おそらく今後もV2Hへ対応する可能性は低いと考えられます。
なおリーフ等のV2Hに対応した電気自動車と、パワーウォールの組み合わせでも、V2Hとしての連携は出来ません。
V2HやV2H対応車種については以下の記事で解説しています。 V2Hはデメリットあり!電気自動車の対応車種や価格・補助金
V2Hに対応しない理由(推測)
テスラがV2Hを対応しない理由としては、基本的に住宅の電気はパワーウォールに貯めて運用する考え方だからです。またV2Hを行うことにより、通常使用より電池の劣化が早まるため、役割分担を明確にしているものと推測されます。
「車が外出していると使えない」という理由よりむしろ「劣化と役割分担」と思われます。
また先述しました、太陽光発電の電気を車両へ充電することでの経済メリットが、ガソリンに比較すると非常にメリット性が高く、パワーウォールも13.5kWhと大容量のため、V2Hで運用する必要がないこともあると思われます。
テスラではありませんが、日産は2019年まで日産のディーラーでの充電が月額2000円で充電し放題という、ZESP2というプランがありました。
このプランを利用し、日産で充電し自宅でV2Hを稼働して、日産で充電した電気を自宅で使う…ということが発生して、本来の使い方でない使い方をされる方もいるようで(違反ではないですが)、テスラの場合は充電が車種によって無料のため、V2Hが可能であればこの方式が取れてしまうので、その懸念を警戒している可能性もあります。
ただし、この方式は毎日のように急激な充放電を繰り返すため、リーフの電池の劣化が急激に進むようですので、機能的な面、あとは当たり前ですがマナー的観点からもおすすめはしません。
V2HやV2H対応車種については以下の記事で解説しています。 V2Hはデメリットあり!電気自動車の対応車種や価格・補助金
テスラのパワーウォールは買いか?
蓄電池が設置できる環境があり、蓄電池を遅かれ早かれ設置を検討中であれば「かなり買い」です(ただし待てれば、です)
テスラのパワーウォールは、特にテスラの車両を所有していなくても購入設置は可能です。また日産リーフや三菱アウトランダーなどでも「充電するだけ」であれば特段問題なく可能です。
詳細はこちらの記事 お得に購入!テスラ蓄電池パワーウォールの価格と認定施工店一覧
をご覧になってもらえればと思いますが、価格と容量のバランスが桁違いに割安です。
国内メーカーの蓄電池が、単機能で10万円~15万円/kWhとなっている中、99万円で13.5kWhとなっており、kW単価10万円を軽く切っています。また容量は勿論のこと、最大出力が5kW~7kWと普段使いではシステムダウンする心配はほぼありません(使い過ぎに注意ですが)
パワーウォールの心配事項
2020年3月現在、日本で販売される蓄電池が取得しているJET認証という認証の申請中です。このJET認証がないと、設置はできても個別に国に認証を取る必要が出てきて、実際に蓄電池を系統連携(電力会社と電気のやり取りを行うこと)させて、稼働させても良い、というお墨付きを貰うために1年近くかかってしまうため、この認証を取得済みで販売していく必要があります。
2020年上半期には認証が取れそうとの、情報もありますが時期が2020年3月現在、未確定なことと、施工を実際に行う工事業者が指定業者での工事なりますが、全国で数社しかない状態のようで、既にオーダーされている分の消化を行うだけでも、かなりの時間を待つことになると予想されます。
この「いつになるかわからない」という「テスラ時間」が待てる人かどうか、が導入されるか否かの分かれるポイントになるのではと思います。
こちらの懸念事項だけ許せるのであれば、導入を検討するだけの価値は、商品自体にはあります。