電気を無駄なく!シャープクラウド蓄電池システムの機能と価格

FIT法が成立以前から太陽光発電システムに取り組み続けていたシャープの「クラウド蓄電池システム」をご紹介。クラウド接続により生活スタイル、電気使用量、天気などを考慮して電力をマネージメント。製品の特長を関連する周辺機器なども交えて解説。

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電気を無駄なく!シャープクラウド蓄電池システムの機能と価格

目次

約10年前にFIT法が成立して売電価格が倍の48円に跳ね上がる以前から、地道に太陽光発電システムに取り組みを続けていたのがシャープです。

1959年に太陽電池の開発を開始し、1963年には太陽光発電モジュール(太陽光パネル)の量産を開始しました。
1966年には太陽光発電パネルを設置した灯台が長崎県御神島(現在の尾上島)に完成しました。
この灯台の太陽光発電パネルは今も修理などを何回かしながらでもまだ現役に発電をしているとのことです。

太陽光発電システムをスタートとして、長い歴史とノウハウを持っているシャープですが、長年培ってきた技術はプロユーザーから高い評価もあり、例えば日経アーキテクチュアの2018年太陽光発電関連機器部門ランキングにて、建材設備メーカー1位を獲得。

現在は蓄電池の需要が卒FIT市場(太陽光発電のFIT売電の権利が10年で執行する方が2019年11月から発生)と言われており、シャープはこの市場に向けた新しい製品とサービスの展開を行っています。

またシャープの家電製品とHEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)などを介して、繋がるところが魅力のひとつでもあります。

今回はシャープの住宅用蓄電池であるクラウド蓄電池システムについて今回は解説していきます。

その他、家庭用蓄電池の主要メーカーの一覧はこちら

クラウド蓄電池システムの機能

天気予測と電力マネージメントについて

まずは名前にもあるクラウドで何ができるのか?ということですが、クラウドに接続していることにより毎日変化する生活スタイル、電気使用量、そして天気予報などを考慮して天気に合わせた電力のマネージメントを行ってくれます。
同時設置が推奨のシャープのHEMSシステムの回路を使いながら、インターネットから天気予報・天気情報を取り込み、最適な運転モードで動きます。

これがないシステムは、天気予報を確認して…という面倒なことを毎日やれたものではないので、多くの方はどちらかの運転モードにしたまま、になっていることが多いかと推測されます。

また使用電気料金で目標を設定しておくと、節電に関するアドバイスをくれたりと、賢い機能が付いています。

経済性促進モード

的に言えば、エコキュートと同じ動き、すなわち安い深夜電力を溜めておいて日中に使う場合です。

ただ単純に毎日同じ動きをする訳ではなく、例えば翌日の天気予報が雨であることを、クラウドから取得した場合に、その前日の夜間に安い深夜電力を蓄電池自体に自動で入れておきます。
翌日、雨で太陽光発電の発電量が見込めないことから、割高な電気料金となっている平日の時間帯に、その安い深夜電力で溜めておいた電気を住宅側へ放電するようにクラウドが働き、高い電気を極力買わないようにするモードになっています。

自産自消モード

上記の経済性促進モードの反対に、翌日が晴れの予報の場合、現在の太陽光発電の売電価格ではあまり高収益を得ることが難しいことと、電気料金が高くなっている背景から、こちらのモードで蓄電池を活用するこに特に期待ができます。
特に、太陽光発電の余剰電力が比較的安い(契約売電単価20円台目安)家庭はこのモードは有効です。

晴れと予測している場合には、太陽光発電の余剰電力については、売電をせず自身の蓄電池に溜めるようにクラウドから指示を出します。
これにより、安い単価で余剰電力を売ってしまうのではなく、タダで作った電気を自分で賄うようにして、自給自足(自産自消)を促すモードになっています。

売電するより自給自足として太陽光発電で作った電気を蓄電池に溜めるモードです。

またクラウド型に進化したことにより、太陽光発電で作った電気も、蓄電池と連携して無駄なく利用することができるようになってきました。

具体的には、太陽光発電の出力制御の際に、自動的に蓄電池に電気を回して、発電していても売電が実質的にできない電気を無駄にせずに済むようになりました。

そして蓄電池への充電時間もシャープは高速対応しており、4.2kWhの蓄電池で約3時間、8.4kWhで約2.5時間(4.0kWで充電)で満充電にすることができますので、台風が近づいて来た、と思って満充電にする際も素早い対応が可能です。

出品制御とは

電気は社会全体で需要と供給のバランスがぴったり合っていないと成り立たないようになっており、その調整を電力会社が行っています。
その中で出力制御と呼ばれる仕組みは、現在九州地方を中心に太陽光発電が想定以上に電気を作る側(供給)が増えすぎているのに対して、その電気を使う需要があまり無い場合に、そのバランスを取るために太陽光発電側に信号を送って、受け取らないようにしてしまうことです。
太陽光発電システムで発電自体はしているが、電力会社が買取をしなく、パワコンへの抑制をかけることから、出力制御ないし出力抑制と呼ばれています。

クラウド型蓄電池には3タイプの蓄電池容量

シャープのクラウド型蓄電池には、蓄電池容量が3タイプ選択可能となっています。

  • コンパクトタイプ:4.2kWh(公式容量) / 3.3kWh(初期実効容量)
  • 屋内ミドルタイプ:6.5kWh(公式容量) / 5.1kWh(初期実効容量)
  • 大容量タイプ:8.4kWh(公式容量) / 6.9kWh(初期実効容量)

上記の3タイプでどんな家電製品が、どれぐらいの期間使えるのか?についてはこちらにまとめております。

4.2kWhの蓄電池(コンパクトタイプ)

  • 冷蔵庫が24時間×3日
  • テレビ3時間×3日
  • 照明5時間×3日
  • スマートフォン充電1台×3日

6.5kWhの蓄電池(屋内ミドルタイプ)

  • 冷蔵庫が24時間×3日
  • テレビ3時間×3日
  • 照明5時間×3日
  • 炊飯器1回×3日
  • スマートフォン充電4台×3日

8.4kWhの蓄電池(大容量タイプ)

  • 冷蔵庫が24時間×3日
  • テレビ3時間×3日
  • 照明5時間×3日
  • 炊飯器1回×3日
  • スマートフォン充電3台×3日
  • 電気ケトル3回×3日
  • 扇風機6時間×3日

となっています。

ここでのシュミレーションはあくまで日照が少なくともあり、日中発電をして蓄電池の容量を回復しながらの場合での使用できる量となっていますので、雨天が続けば底をついてしまいますので、あくまで参考程度にお考え下さい。

容量は4.2kWhでも実際に使える容量はおよそ3.3kWh

また各社で言い方が若干異なったりもしますが、蓄電池はカタログ記載の容量と、実際に使える量が異なります。
シャープではそれぞれ、カタログ記載の容量は「公式容量」と、実際に使える容量として「定格容量」や「実効容量」として記載されています。
上記のシャープの蓄電池であれば公証容量は4.2kWhでも実際に使える容量は3.3kWhになります。

他社蓄電池も10%~5%程度は残すように設計

なぜか?ということは蓄電池の性質上、完全に使い切ってしまうと起動できなくなるという問題がありますので各社10%~5%程度は残すように設計されています。
自動車のバッテリー上がりの状態を想像してもらうと分かりやすいかと思います。

そして、ここで分かるのは5kWh前後ですと非常時には、最低限の電気しか使えないということが理解いただけると思いますが、
平常時に関しては、日中は太陽光発電の発電した電気で賄うことで必要最低限の容量で特段問題はありません。

停電時は予め決めた回線をバックアップ

停電時した際の、自立運転の動きについて解説いたします。

シャープのクラウド蓄電池システムは、特定負荷型になります。
特定負荷型とは、あらかじめ電気工事で、停電時に蓄電池から電気を流せる回路を決めておいて、その回路だけバックアップを行うものです。
そのため蓄電池があるからと言っても、家中の電気が停電時に使える訳ではない点は覚えておきましょう。

また普段から、停電時に備えておいて最低限の電気容量を設定しておくことが可能です。初期設定時は20%ですが、10%ごとに任意に設定できます。

100V/2000Wまでの出力が可能

また出力に関してですが、シャープのクラウド蓄電池システムは100V/2000Wまでの出力対応が可能となっています。
どれぐらいの家電製品が一気に使用できるかは、下記の一覧を参考にして、足し算して2000Wを超えない範囲で使用が可能です。

100V家電製品の例

  • 冷蔵庫(最新型):約150~400W
  • 32型テレビ:約200~300W
  • 照明(LEDシーリングライト):約40~50W
  • 扇風機:約5~50W
  • 炊飯器:約300~700W
  • 電子レンジ:約500~1200W(切り替えができるものがあります)
  • スマートフォン充電:約5~10W

シャープの遠隔見守りサービス

シャープのエネルギー商材の特長の1つとして、シャープでの遠隔見守りサービスというものがあります。
他社にはあまり無いサービスで、蓄電池に運転状況が正常なのか、また太陽光発電システム自体も正常に発電できているか、をインターネットを通じてメーカーが管理するサービスです。

そのため、太陽光発電が問題ないか屋根の上る必要もありませんし、見た目では不具合がわかりにくい蓄電池に関しても、不具合が発生すればすぐ発見・対応してもらえるので安心です。

見守りサービスの提供期間ですが、保証期間に応じて10年もしくは15年となっています。

※蓄電池WEBモニタリングサービスの利用には加入が必要です

HEMSとの連携がおすすめ

HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)というものがあり、電気の流れを管理するシステムです。
このシステムが、インターネットと接続することにより、先述した天気予報に応じて蓄電池の電気の流れをコントロールしたりします。

そのため、蓄電池を導入するのであれば、こちらのHEMSも同時に導入して頂くことがおすすめとなっています。

シャープでは他社にないものとして、ロボット型の可愛いHEMSも用意しており、音声で簡単操作が可能なタイプもあります。

「COCORO HOME」連携でスマートフォンから家電の電源操作

またシャープが提供するスマートフォン向けのアプリの「COCORO HOME」と連携しておくと、家で使っている電気をスマートフォンで確認できたり、遠隔で手元のスマートフォンからエアコンやテレビの電源をOFFにすることができるものもあります。

急いで外出してしまった時に、エアコンの切り忘れなどを対処することができます。

※こちらは家電製品が、このサービスに対応している機種か否かの確認が必要です

クラウド型蓄電池の保証は無償10年、有償15年

シャープの住宅用蓄電池本体に関しては、基本の無償保証が10年となっています。また有償での延長保証があり、その場合15年保証となります。

その保証内容ですが、お引渡し日から最初の定格容量の60%を下回る場合に、保証を行うというものです。また15年保証の場合は、品番によって異なりますが60%もしくは50%の充電可能容量を下限として保証を行います。

有償15年延長保証の価格

4.2kWhタイプ:30,000円(税抜)
6.5kWhタイプ:40,000円(税抜)
8.4kWhタイプ:50,000円(税抜)

また蓄電池のサイクル(1回の充放電)は12000回の寿命目安をシャープとしては見ています。

蓄電池の寿命を表す「サイクル回数」

「サイクル回数」とは、「満充電から完全放電までを行った回数」のことを指しています。
100%まで充電した蓄電池を0%まで放電して完全に電気を使い切った状態が「1サイクル」としてカウントされます。

サイクル回数、蓄電池の寿命の考え方は、下記ページで詳しく解説しています。

クラウド型蓄電池のスペック詳細と価格

4.2kWhタイプ(JH-WB1621)

  • 初期実効容量:3.3kWh(屋外設置)・3.4kWh(屋内設置)
  • バッテリー:リン酸鉄リチウムイオン電池
  • 設置場所:屋内・屋外 兼用
  • 動作温度:0度~40度
  • 寸法:幅500mm×奥行360mm×高さ605mm
  • 重量:約77kg
  • 定価:363,000円(税抜)

6.5kWhタイプ(JH-WB1711)

  • 初期実効容量:5.1~5.2kWh
  • バッテリー:リチウムイオン電池
  • 設置場所:屋内用
  • 動作温度:-10度~40度
  • 寸法:幅520mm×奥行263mm×高さ500mm
  • 重量:約69kg
  • 定価:447,800円(税抜)

8.4kWhタイプ(JH-WB1821)

  • 初期実効容量:6.9~7.0kWh
  • バッテリー:リン酸鉄リチウムイオン電池
  • 設置場所:屋内・屋外 兼用
  • 動作温度:0度~40度
  • 寸法:幅700mm×奥行360mm×高さ605mm
  • 重量:約135kg
  • 定価:549,800円(税抜)