エアコン電気代の節約。暖房・冷房つけっぱなしは安い?

エアコンを「24時間つけっぱなし」にした場合の節約効果や注意点を解説。他にも「自動運転を活用する」、「室外機を塞がない」、「冷房より除湿を使う」などの節約術を紹介。電気代の計算式や、暖房1時間あたりの電気代比較も。

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エアコン電気代の節約。暖房・冷房つけっぱなしは安い?

目次

エアコン電気代の節約には「24時間つけっぱなし」が有効

エアコンの省エネ性能はこの10年程度で大幅に向上しました。エアコンの省エネ性能の向上にともない「24時間つけっぱなし」といった節約方法も誕生しました。

このエアコンの「24時間つけっぱなし」の節約効果には半信半疑の人も多いと思います。しかし、実際にエアコンの「24時間つけっぱなし」は、条件さえ満たせば高い節電効果が期待できます。

エアコン「24時間つけっぱなし」が節電に有効な理由

エアコンの「24時間つけっぱなし」が節電に有効な理由は、「エアコンで電気代が多くかかるタイミング」を見ていくとよく分かります。

エアコンで電気代が多くかかってしまうタイミングには、

  • 室内温度と設定温度の差が大きいとき
  • 暖房運転で室内を暖めている場合
  • エアコン電源を頻繁にオン・オフしている場合

が挙げられます。

これらの理由に共通していることはエアコンは室内温度を設定温度まで上げる、または下げるときに、最もパワー(電気代)を使うという点です。

エアコンの「24時間つけっぱなし」が節電に効果的なのは、この「室内温度と設定温度の差」を、常に最小限に抑えることができるためです。

とはいえ、エアコンの「24時間つけっぱなし」節約術が向いている人と向いていない人がいます。エアコンを「24時間つけっぱなし」で運用しようと思っている場合は、自分がどちらになるか見極めてからにしましょう。

エアコン「24時間つけっぱなし」がオススメな人

エアコンの「24時間つけっぱなし」は、昼間の外出が少ない主婦や、自宅で仕事することが多いフリーランスや自営業の方に向いています。

その理由として、ずっと家にいる人の場合、エアコンをこまめに電源オフ/オンしていると逆に電気代が高くなってしまうためです。そのため、「24時間つけっぱなし」のほうが電気代を節約できるでしょう。

「24時間つけっぱなし」が向いている人

  • 日中の外出が30~1時間以下程度の人
  • 家でずっと仕事をしている自営業やフリーランス
  • 家で過ごすことが多い専業主婦

エアコン「24時間つけっぱなし」が不向きな人

エアコンの「24時間つけっぱなし」は、昼間は外に働きに出ているサラリーマンや、日中長時間の外出が多い人には向いていません。

その理由として、昼間に外出している時間が長いと、エアコンをつけっぱなしにするよりも、エアコンの電源をオフにしておいたほうが電気代がかからないためです。

「24時間つけっぱなし」が不向きな人

  • 昼間は仕事で家にいないサラリーマン
  • 日中3~4時間の外出が多い人(パートに行っている主婦など)

古いエアコンで「24時間つけっぱなし」は注意

古いエアコンは、最新エアコンに比べて省エネ性能が劣っています。そのため、「24時間つけっぱなし」運転をしても、節約にならないことがあるので注意が必要です。

具体的には、最新エアコンは15年前のエアコンに比べて約27%、10年前のエアコンに比べて約22%の省エネ効果があります。

エアコン製造年ごとの年間消費電力量比較(6畳向け)

  • 最新エアコン:717kWh
  • 10年前のエアコン:918kWh(約22%損)
  • 15年前のエアコン:978kWh(約27%損)

※最新エアコンはダイキン製S22UTES(2017年モデル)、10年前のエアコンはダイキン製S22JTNS(2008年モデル)、15年前のエアコンはダイキン製S22ETDS(2003年モデル)にて比較しています。
※年間省電力量と省エネ効果はあくまでも目安です。エアコンの機種や使用する時間、環境などによって変化します。

もし、10年や15年前の古いエアコンをお使いの場合、年間で20%以上も損をしてしまうことになりますので、最新エアコンへの買い替えがオススメです。

「自動運転」が効果的!エアコン電気代の節約術

エアコン風量は「弱」よりも「自動運転」

エアコンの風量は、「弱」がもっとも消費電力が少なく、続いて「中」「強」の順に消費電力が多くなっていきます。しかし、ずっと「弱」にしておけば一番省エネ効果が高いわけでもなく、電源を入れた直後の設定温度と室内温度に差が大きい時は「強」運転で一気に暖めたり、冷やしたりしたほうが効率がよくなります。

そのため、エアコンの運転モードは「自動運転」がオススメです。自動運転は、最初は「強」や「中」で室内温度を設定温度まで近づけたあとは、自動的に「弱」運転に切り替えてくれます。

また、エアコンを「24時間つけっぱなし」で運用する場合も、必ず「自動運転」で行いましょう。

冷房・暖房の設定温度を必要以上に下げない(上げない)

冷房や暖房の設定温度は、必要以上に下げたり上げたりすると、余計に電気代がかかってしまいます。エアコン暖房の場合、温度を1度下げるだけで、約10%の節電効果があるという話もあります。

エアコンで冷房や暖房を使用するときは、

  • エアコン冷房:26~28度
  • エアコン暖房:20~22度

を目安にすると、節電効果が期待できます。

一昔前だと、「冷房は28度」を厳守といった風潮がありましたが、温度の感じ方は性別や体温によっても変わり人それぞれなので、必ずしも28度にこだわる必要はありません。節電効果ばかり気にして、暑いと感じながら使い続けるのでは、本末転倒だからです。

エアコンを省エネ効果の高い設定温度で使用していくためには、次でご紹介するエアコン以外の冷暖房器具を使用したりするのが効果的です。

エアコン以外の冷暖房器具も活用する

エアコンの冷房や暖房を省エネ効果の高い設定温度で運用していくためには、エアコンだけではなく扇風機やこたつなどの冷暖房器具も一緒に活用するようにしましょう。

なお、冬場の暖房時も、サーキュレーターを使用して部屋の天井付近に溜まっている暖かい空気を循環させることで、部屋全体を効率的に温めることができます。

冷房と一緒に活用したい機器

  • 扇風機
  • サーキュレーター
  • うちわ
  • 除湿機

暖房と一緒に活用したい機器

  • こたつ
  • 電気毛布
  • ホットカーペット
  • 加湿器
  • サーキュレーター

体感温度に影響する「湿度」

湿度は、空気中に含まれる水の量ですが、実は体感温度にも関係しています。人間は湿度が高いとき「暖かく」感じやすく、湿度が低いときは「涼しく」感じるようにできています。

つまり、冬場は加湿器などで湿度を上げてあげることにより、「設定温度20度」の暖房でも暖かく感じやすくなります。夏場は反対に除湿機で湿度を下げてあげると、より涼しく感じられます。エアコンの「除湿」機能を使うのも効果的です。

ただし、冬場の湿度は高すぎると結露やカビの原因になりますので、湿度計で40~60%の範囲を目安にしてください。

夏はレース、冬は厚手カーテンを活用する

エアコンの冷房や暖房をより効果的に使用するためには、カーテンを使い分けることも重要なポイントです。

夏場は、日差しが入るだけでも室内温度が上がってしまうので、レースを使用して日差しをカットし、冷房効率を高めましょう。

冬場は、窓をつたって外の冷気が入ってくるため、厚手のカーテンを使用して冷気を防ぎましょう。暖房効率をアップさせることができます。

むやみにエアコンの電源を「ON/OFF」しない

「室内が十分に暖まった」、「冷房が効きすぎて寒い」といった理由で、エアコンの電源を切ってしまう人もいるかもしれませんが、これはかえって電気代を上げてしまう原因になります。

エアコンでもっとも電気代がかかるのは、室内温度を設定温度に近づけるときです。そのため、「エアコンの電源を切って再び暑くなったら(寒くなったら)電源を入れる」という使い方は、余計に電気代がかかってしまうのです。

エアコンを「自動運転」で動かしていれば、室内温度が設定温度に近づくと自動で電気代が少ない運転に移行してくれるので、いちいち電源を切る必要はありません。もし暑かったり寒かったりする場合は、設定温度を調節しましょう。

暖房は風向きを「下」に、冷房は風向きを「上か水平」に

エアコンをより効率的に使うためには、風向きにも注意しなくてはいけません。

暖房を使用する場合は、風向きを「下向き」にしましょう。暖かい空気は上にたまる性質があるため、暖房の風向きを下にしてあげることで、部屋全体に暖かい空気が行き渡るようになります。

冷房を使用する場合は、風向きを「上向きか水平」にしましょう。冷たい空気は部屋の下へたまる性質があるため、冷房の風向きを上か水平にしてあげることで、部屋全体を冷たい空気が循環します。

なお、暖房・冷房ともに、より効果的に空気を循環させるためには、サーキュレーターや扇風機を使用するのがオススメです。

夏は冷房より節約効果が高いドライ(除湿)も活用

エアコンの冷房運転よりも、「除湿運転」のほうが電気代の節約になることをご存知ですか?

そもそも、冷房運転と除湿運転の違いについて確認しておきましょう。

  • 冷房運転:”温度”を下げることを一番に考えた機能。部屋から熱を追い出す。
  • 除湿運転:”湿度”を下げることを一番に考えた機能。空気中の水分を追い出す。

冷房は温度を、除湿は湿度を下げることを一番の目的とした機能であることがわかりました。ただし、除湿運転は室温をまったく下げないかというとそういう訳でもなく、弱めの冷房と同じ程度の効果はあります。

そして、もっとも重要なポイントは、除湿運転のほうが冷房運転よりも電気代が安いという点です。

そのため、梅雨時など「室温はそれほど高くないけど、湿度が高くてジメジメしている」というときは除湿運転、真夏など「とにかく暑くて室温を下げたい」ときは冷房というように使い分けることで、電気代を節約することができます。

「再熱除湿」に注意!

除湿運転には、厳密に言うと2種類あります。上記で紹介した湿度と温度を同時に下げる「弱冷房除湿」と、室温は下げずに除湿だけ行う「再熱除湿」です。

冷房運転より電気代が安いのは、「弱冷房除湿」のほうで、「再熱除湿」は冷房運転より電気代が高くなってしまうので、注意が必要です。

電気代が冷房より高い「再熱除湿」ですが、室内の温度は下げずに湿度だけ下げたいときに効果的です。

室外機の周りに物を置かない

室外機のまわりに、植木鉢や物を置いたりしていませんか?実は、エアコンの室外機まわりに物があると、余計に電気代がかかる原因になってしまう場合があります。

室外機は、室内の温かい空気を外に放出する役割があります(冷房時)。このとき、室外機の周りに十分なスペースがないと、熱を外に排出しきれず、エアコンの効率が下がってしまうのです。

そのため、エアコン室外機のまわりに余計なものは置かず、

  • 前方:20cm
  • 横:5~7cm
  • うしろ:5~7cm

程度のスペースを空けておくようにしましょう。また、雪が降る地方では、室外機の周りに雪が積もらないように、防雪フードや防雪ネットなどの雪対策をしておくと良いでしょう。

室外機は40度を超えると効率がさがる

室外機は、真夏に40度以上になると、運転効率が下がってしまいます。
とはいえ、室外機に水をかけたりすることはもちろんやってはいけません。

室外機の温度が上がってしまう原因には「日差し」が大きく関わります。そのため、室外機に日差しがよく当たる場合、日よけなどを設置して日差しをカットしてあげることが重要です。その際、風通しをさまたげないように注意しましょう。工務店などに依頼すると、専用の日よけカバーを設置してくれる場合もありますので、相談してみるのもオススメです。

エアコンの電気代のうち、「ほとんどは室外機が消費している」と言われています。そのため、エアコン「24時間つけっぱなし」などを行う際は、室外機がつねに効率的に動けるよう、ベストな状態をキープしておくのがとても重要です。

フィルターや室外機の汚れを定期的に確認・掃除する

エアコンのフィルターや室外機は、1年間使用するだけで思った以上に汚れている場合があります。エアコンのフィルターや室外機が汚れていると、余計に電気代がかかってしまいますので、夏や冬のエアコンをよく使用するシーズン前に綺麗にしておくことをオススメします。

エアコンクリーニング業者に依頼することで、プロの機材を使ったパーツを取り外した清掃でエアコン内部を徹底的に綺麗にすることができます。

また、自分でエアコン内部を掃除する方法については、以下の記事をご覧ください。

最新の省エネ効果が高いエアコンへ買い換える

古いタイプのエアコンは、それだけで省エネ効率が落ちるので、余計に電気代がかかってしまいます。

エアコン製造年ごとの年間消費電力量比較(6畳向け)

  • 最新エアコン:717kWh
  • 10年前のエアコン:918kWh(約22%損)
  • 15年前のエアコン:978kWh(約27%損)

※最新エアコンはダイキン製S22UTES(2017年モデル)、10年前のエアコンはダイキン製S22JTNS(2008年モデル)、15年前のエアコンはダイキン製S22ETDS(2003年モデル)にて比較しています。
※年間省電力量と省エネ効果はあくまでも目安です。エアコンの機種や使用する時間、環境などによって変化します。

もし、10年以上前のエアコンを使用している場合は、最新機種へ買い換えることをオススメします。

エアコン電気代の計算式

エアコンを購入する前に、どのくらい電気代がかかるか知りたくありませんか?

エアコンのカタログなどを見ると、「年間消費電力量」という数値が載っています。これは、エアコンメーカーが、「そのエアコンを1年間使用した場合、どのくらい電力を消費するか」を示した値です。

この「年間消費電力量」に電気代を掛け算することで、エアコンを1年間平均的に使用した場合にかかる、大まかな電気代を算出することができます。

例)年間消費電力量:717kWh×電気代:26円=18,642円
※年間消費電力量はダイキン「S22UTES」を参照。
※電気代は、東京電力従量電灯Bプランの「第2段階料金(120kWh~300kWh)」にもとずいた価格。
※エアコンの使用時間は、冷房1日5時間程度、暖房1日10時間程度を想定。

エアコンの消費電力は様々な条件で変化する

この方法で出せるエアコンの電気代は、あくまでも参考程度に考えておくほうが良いでしょう。

その理由は、電気代の元となるエアコンの消費電力が様々な理由で変化するためです。たとえば、夏場ですと外気温の高い12~15時は、エアコンの消費電力も高くなります。

できるだけエアコンの消費電力を抑えるためにも、この記事で紹介している「エアコン節約術」などを活用して、賢く節電していくことが重要です。

エアコンの暖房は冷房よりも電気代が高い?

エアコン暖房の電気代が、実は冷房使用時よりも高いことをご存知でしょうか?
その理由は単純で、夏場と冬場の室内温度にあります。

夏場、室内温度は30~35度程度として、そこから28度まで室内温度を下げようと思った場合、2~7度の温度変化で済みます。

しかし、これが冬場の場合、地域にもよりますが室温は0~5度程度。エアコン暖房の設定温度を20度とした場合、15~20度も暖めなくてはいけません。

エアコンがもっとも電気代を消費するのは、室内温度を設定温度に近づけるときです。つまり、冬場のほうが室内温度とエアコンの設定温度の差が大きいため、エアコンはよりパワーを必要とするという訳です。

エアコン暖房1時間の電気代をストーブ等と比較

エアコン暖房を1時間使用したときの電気代は、ストーブやヒーターなどの暖房器具と比べるとどのくらいになるのでしょうか?

以下は、エアコン暖房を1時間使用したときの電気代を、電気ストーブ(1000Wタイプ)、オイルヒーター(1500Wタイプ)、ホットカーペット(450Wタイプ)、こたつ、電気毛布(75Wタイプ)と比較した一覧です。

  • エアコン暖房:3.38円~31.46円(ダイキン「S22UTES」)
  • 電気ストーブ:27円(1000Wタイプ)
  • オイルヒーター:30.7円(1500Wタイプ)
  • ホットカーペット:約12.2円(450Wタイプ)
  • こたつ:約5.4円
  • 電気毛布:約1.5円(75Wタイプ)

※上記はあくまで目安であり、使用する暖房器具の性能や、契約している電気代によっても異なります。
※電気代は26円にて計算。東京電力従量電灯Bプランの「第2段階料金(120kWh~300kWh)」にもとずいた価格。

エアコン暖房が3.38円~31.46円と開いているのは、エアコン暖房は部屋を暖めるときにもっとも電力を消費し、その後はあまり電力を消費しないためです。そのため、実際は電気代31.46円で動いている時間は少なく、部屋が暖まったあとは1時間3.38円程度で動くようになります。

ずっと変わらず1時間あたり27円の電気代がかかってしまうストーブなどに比べれば、エアコン暖房はかなりお得な暖房器具と言えるでしょう。